俺の名前は月影つきかげ悠ゆう。

俺の両親は、俺が生まれてすぐ通事故で亡くなってしまった。

ひき逃げだったらしく、相手はすぐに逃げ、未だに見つかっていない。

そんな俺は父が、昔お世話になったという、月影家に引き取られた。

月影家は剣、刀の道場として有名な家だった。

俺は引き取られ心がつくと、義父に剣、刀を教えられた。

義父に頼んでししてからだろうか、俺は頭に響く不思議な聲を聞いた。

その聲は、俺が一人修行しているときに刀や剣を使った戦いに特化した戦い方を教えてくれた。

俺が修業を始めてから何年もたった。年に數回しか聞こえなかった謎の聲が、俺にあることを伝えた。

俺の両親は偶然ではなく意図的に殺されたと。

それからは、學校に通いながらも、家に帰っては修行を続けた。年に數回しか聞こえない謎の聲の教えは、俺に足りないものを指摘した。それを補いながら、また何年間も修行に明け暮れた。修行をした俺はようやく、義父から１本とれるぐらいまで長した。

そしてやっと一本とれた俺は、義父に頼み込んだ。

自分のための武がしいと。

試合で１本取れたから、それぐらいは許してくれると思って頼んだが、義父は猛反対した。

お前が武をしている理由は何だ？　と聞かれた俺は、それ以上何も言うことができなかった。

もちろん、俺が武をしている理由は正當な理由じゃない。だけど俺は、諦めることができなかった。

自分の目的、それがたとえ人としてダメなことだとしても、俺はそれしか目的がなかった。だから俺は武を、刀をした。

高校學當日、朝早い時間。俺は何度か足を運んだ裏山の祠まで行き、祠の中にある神刀を手に取った。

その刀は黒い鞘にっていた。

俺は柄に手をかけ、刀を鞘から抜き放った。

刀は、朝日に照らし出され、白く輝いた。それはとてもきれいで、何か神的な力をじた。

俺は構えをとり、刀を一振りした。

俺は刀が手に吸い付くようにじた。

この刀の使い方が手に取るようにわかる。

俺は、きっとこの刀を一目見たときから魅了されていたのだろう。初めて見つけたのはもっと小さいころだ。

俺はそっと刀を鞘に納め、走って家に戻った。

俺はこの日を忘れない。

俺の運命の歯車がき出したこの日を。

目の前には、俺を引き取って育ててくれた義父が俺の持ちだした刀で俺のお腹を貫いていた。

義父両手に持った刀を振るわせながら悲しげに何かを語ろうとしては口を閉じる。そして俺を見た。

俺は思う。

きっと、俺は道を踏み外したのだと……。

俺は力なく背中から床に倒れる。

太は高く上がり、床に滴ると俺、そして俺のお腹に刺さっている白銀に輝く刀を照らした。

《まに、合わなかった。すみません、ま……》

頭の中に例の聲が響く。

何度も聞いたその聲に俺は言った。

（いつも遅い。けど、ありがとう）と

そして俺は意識を失った。