《妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~》91:巫の里
俺は朝起きると、フィリアを起こし、すぐに下に降りた。
俺たちが下に降りると、すでにティナとフロン、ノワールがいた。
そして、ティナとフロンは俺のことをじーっと見てくる。
「昨晩はお楽しみでしたね。ご主人様」
一番最初に口を開いたのはフロンだった。
するとそれを聞いたフィリアの顔が赤く染まる。
「おい、からかうなよ」
「あのマッサージですよね?」
ティナは「わかってますよ」とでも言いたげな表で俺にそう聞いて來る。
「あぁ、そうだ」
「けど、あのマッサージ疲れはすごく取れるんですけど、気持ちよすぎて……」
ティナが言わんとすることは何かだいたいわかる。
それを肯定するように、フロンとフィリアがコクコクと頷く。
〝なら今度私にもする。昨日はすぐに寢てしまったからどんなものかわからない〟
〝あら、ムラクモちゃんがやってもらうならおねぇーさんも!〟
“ボ、ボクだってしてほしい”
と、脳で3人から要求される。
(ムラクモとヒサメはいいが、ヨリヒメは昨日逃げたからな)
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俺がそうヨリヒメに昨日の仕返しと言わんばかりに責めてみる。
“うぐっ、それを言われたらボク何も言えないじゃんか! ユウちゃんのばか!”
(ふっ、冗談だよ)
俺がそう言うと、ヨリヒメは“もーう、めないでよ!”と言ってきた。
俺は脳でやり取りしながらも、ティナの向かい側の椅子に腰を下ろす。
《ならますたーには私が、あのマッサージをしてあげましょうか?》
エルがそんな提案をしてくる。確かにあのマッサージは俺とエルにしかできない、が。
ティナたちがあーもれる様子を見ると、どんなじか気になりもするが、俺は男としての大切な何かを失ってしまう気がして、エルのいを斷った。
《そうですか》
すこし、しょんぼりしたようなエルの聲が聞こえる。
(なら、俺がエルにしてやる)
俺がそう提案し返すと、エルから慌てた様に《い、いえ私には不要です》と拒否された。
俺たちは、今後の予定を離しながら、早々に飯を食べ終え、宿の外に出た。
そのあと俺たちはすぐに街を出た。
ティナの案の元、ノワールに乗り巫の里を目指した。
巫の里はエルフの國とオルディナの町の間、そこからし外れた場所に位置する。
ティナのステータスの中にユニーク:神託と言うものがある。それは神の言葉を聞くことができるというものだ。発は自分ではできず、神の気まぐれだと言われている。
ティナがオルディナの町に來ることになった理由がこれだ。
ある日、ティナに聲が聞こえたそうだ。その聲はこういった。
『オルディナの町に迎え。汝はそこで運命の出會いを果たし、自分の進むべき道を悟るだろう』と
その結果、俺とティナは出會った。
俺はこの話を聞いたとき、なんとなく、誰の差し金かを理解した。
「どうしたんですかユウ様?」
俺の後ろに座っているティナが、俺を気にする。
「何がだ?」
「ご主人様笑ってる」
ティナが言おうとしたことをフロンが代弁する。
俺は自分の口元を手でる。すると、確かに口角が上がっていた。
「主様、何か面白いことでもあったの?」
フィリアが俺にそう聞いて來る。
俺は「なんでもない」と答えつつ、ノワールに速度を上げるよう伝えた。
元々、巫の里とオルディナの町はそこまで離れてはいない。
ノワールが飛ばして進んだ結果、晝過ぎには巫の里、手前の森の上空を飛んでいた。
「ノワールここでいい」
ノワールは翼を広げ、スピードを落とす。
そのまま、翼をバサバサと音を立てながら、地面に著地する。
「ティナ、巫の里は確か……」
「はい、この山の上です」
俺たちの前には、高くそびえる山があった。
それは急斜面だが、ちゃんと上に登るための斜面が形されていた。
一度は、ノワールで直接里に行くことを考えたが、それでは人々を混させてしまう。
竜は人にとって、危険と思われるものだ。
「よし、上るか」
俺たちは山を登り始める。
登る途中にも魔はなからず出現した。
だが、俺が刀を抜く前にフィリアが、フロンが、ティナが魔を処理してしまう。
一番多く魔を処理しているのは、フィリアだ。
「やっぱり、が軽いわね」
フィリアには霊眼がある。霊眼は瞳に霊を宿し、見通す眼を使うもの。
その目は、周辺の察知能力、遠くを見通す能力。それらを兼ね備えた目だ。
フィリアはそれを駆使し、遠くから敵を見つけ、遠距離から弓で、敵を撃つ。
ルサールカの弓の能力とフィリアの腕があるからこそできることだ。
「むぅ、フィーはせこいです」
フロンは頬を膨らませながら、フィーを見た。
そんなフロンをティナが「まぁまぁ」と宥める。
俺はそんな景を見ながら、山を登っていく。
すると、山の斜面をすべるように人が降りてきた。
それは、フロンよりし低いぐらいの男の子。
「ここに何の用だ」
男の子は俺に威嚇するように短剣を向ける。
だが、その短剣はすぐに降ろされた。
「ティ、ティナ姉ちゃん?」
男の子が剣を下ろしたのはその視線にティナを捉えたからだ。
ティナは、俺の前に歩み出ると、男の子に笑顔を向けた。
「久しぶりね、カル」
「な、なんでここに?」
すると、後ろから、男が數人やってくる。
「大丈夫か! カルってティナじゃねーか」
先頭を走っていた男が真っ先にティナに反応する。
「お久しぶりです。ソルさん。ちょっと用事があって戻ってきました。そのことについても話したいので、里にってもいいでしょうか?」
「あぁ、構わねーけど。そこの3人は?」
男は俺たちを指さし、ティナに問う。
「旅の仲間? と言えばいいでしょうか。説明しにくいですね」
確かに俺たちの関係は面倒で、説明しにくい。
それを察したのか。男は「まぁ、ティナの連れなら構わねーか。付いてきな」
俺たちは男の後に付いていく。
そうして俺たちは山の頂上手前にある。巫の里へとたどり著いた。
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