《妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~》103:プロポーズ
「ここがエルフの國ですよ。お兄様!」
盜賊の襲撃のあと何度となく迫ってくる魔を蹴散らしてようやくエルフの國に著いたところだ。
セインとは違いそこまで広くはないが、その代わりに多くの自然に囲まれている。
さすが妖種エルフの國と言ったところか。
ネルは俺たちより先に門番のところへと向かっている。
俺たちもネルを追い歩いて門へと近づいていく。
すると、門の前にはネルと門番。そしてもう一人エルフの男が立っていた。
「おかえりなさいませ。クシャーナ様。それと護衛の方が……た」
その男は俺よりも長が高く。腰には剣、背中には弓があった。
男は俺たちを、いやフィリアの姿を見てうれしそうな顔。そして今にも泣きだしてしまいそうな顔だ。
そんな狀況に見つめられているフィリアは困している。
「ふぃ、フィリアで名前はあってますよね?」
男が恐る恐ると言ったじにフィリアに質問する。
「な、なんで私の名前を?」
「覚えていないのか?」
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名前を聞かれ驚くフィリアを見てさらに驚くネル。
どういう狀況だ。俺とかティナとか門番を含めてあの3人以外が狀況を理解できていない。いや、あの様子から見てフィリアも理解できていないのか。
「私をお忘れでしょうか。い時よくネルを含めよく一緒に遊びました」
「あっ!」
それを聞いてようやくフィリアが思い出したかのような表をする。
「まさか、あなた弱蟲エクト?」
「よ、弱蟲とは。確かにいころの私は非力で心も弱かった。ですが今はあなたがいなくなってしまってから強くなることを決め。この國の騎士にまで上り詰めたエクト・バイス・エルクリアです」
エクトと名乗ったその男はフィリアの前まで歩くと片膝をついた。
「で、あなたが強くなる理由になんで私が含まれているの?」
「えっ!?」
フィリアの質問に真っ先に反応を示したのはネルだ。
「あなた。あれだけアプローチされてて気づいてなかったの!?」
「アプローチと言われても花貰ったり、よく孤児院まで送ってくれたりはしてたけど、それだけじゃない?」
なんだかややこしいことになってきたぞ。ネルなんて頭を抱えている。
「ならば今、あなたが帰ってきたこの場で宣言させていただく。私エクトとどうか結婚してください」
それは聞く限り間違いないフィリアに対するプロポーズだ。ネルやティナ、フロンとクシャーナまで驚いている。
門番はいつの間にか定位置に戻っていた。
フィリアは戸いながらもちらちらと俺のことを見てくる。
その俺はと言うとそこまで何の反応も示していない。
冷たいと言われるかもしれないが、フィリアがエクトとやらと結婚する方を選んでも引き留めるつもりもない。フィリアが選んだことに文句を言うつもりもないしな。
(ご主人様!? 止めないんですか?)
フロンが俺を見ながら意思疎通を飛ばしてくる。
(いや、俺から関與するつもりはないな。フィリアが決めることだ)
(でも……)
(まぁ、フィリアが選んでここに殘るのはいいが、最低限あの男のの回りは調べる。何か問題があるならそれをフィリアに伝えて、その後はフィリアが決めることだ)
(ふふっ、関與しないとか言っておきながら、それだと関與してることになりますよ?)
フロンは俺の言葉に笑いながら指摘してくる。ただどこか嬉しそうにも見える。
(せっかくここまで面倒見たんだ。幸せになってもらわないと後腐れが殘る)
《ますたー。それだとツンデレみたいです》
(うるさい)
エルに冷やかされながらも俺は狀況を見守る。
エクトが膝をつきフィリアに手を出している狀態だ。後はフィリアがその手を取ればプロポーズをけたことになる。
俺はちらっとティナを見る。すると俺の視線に気づいたのかティナは笑顔を俺に向ける。
その表はまるで「大丈夫ですよ」と俺に言っているようだった。
フィリアは悩んだこう口にした。
「えーっと、ごめんなさい?」
「り、理由をお聞きしても? 私は騎士です。あなたを守れるだけの力もお金も持っているつもりです。それに何よりあなたを思う気持ちは昔から何も変わってはいません!」
エクトは立ち上がり、フィリアにその答えの理由を尋ねる。
フィリアはコホンとせき込み喋りだす。
「まず一つ。私たちは、いえ私はここに帰って來たつもりはありません。あくまで立ち寄っただけです」
フィリアがそう口にするとフロンがうんうん。と言ったじに頷いていた。
「二つ目。私が奴隷狩りにあったのは知ってますよね?」
「はい、ですから私は力をつけて……」
「なら、なぜ今の今までエルフの國にいるんですか? 私を思う気持ちがあるならば有る程度力を手にしたら國を出て探しに來るものでしょう?」
「そ、それは……」
「最後に三つ目。”私を守る力がある”とか言ってましたね? それですが」
話の途中でフィリアは俺のもとに近寄ってくる。そして大膽にも俺の正面から抱き著いて來る。
「私には主様がいれば十分です」
「なっ!?」
エクトがフィリアと俺がくっ付いている狀況を見てから俺のことをじっと睨んでくる。
周りでは、ネルとクシャーナが俺たちを見て頬赤くしてたり、ティナやフロンが「私たちは!?」と言いたそうな表をしていた。
「主様は強いです。とてつもなく」
フィリアの言葉にティナとフロンが頷く。よく見るとネルやクシャーナも頷いていた。
そして、最後にフィリアが弾を投下していく。
「私と結婚したいのなら。主様に勝ってください。そしたら、しはまじめに考えてあげます」
……は!?
〝ユウ。完ぺきに巻き込まれた〟
〝ふふっそうね、でもそう言うことならおねぇーさんも存分に力を貸してあげる〟
〝ユウを駆け引きに出せば斷れる。フィリア賢い〟
ぐぬぬ。なんか知らんが関與しないと誓った傍から巻き込まれた。
“ゆうちゃん必要なら黒鬼の力を使っても……”
(それだと殺すことになるだろーが)
“むむむ”
どうやら最近構ってもらえなくて寂しいようだ。
“そんなことないもん”
さて、ヨリヒメは置いておいてどうするかなこの狀況。
するとエクトが俺の元へ近づいて來る。
俺はフィリアを引き剝がし、橫に置く。
「貴様。名前は?」
「ユウ。ユウ・ツキカゲだ」
「私は貴様に決闘を申し「ちょっとと待て」込……なんだ」
「とりあえず騎士様? お役目果たそうぜ? 目の前に可いお姫様がいるだろ? こんな外で言い爭う前に中にろう」
エクトはクシャーナの存在を忘れていたようで。ぺこぺこと頭を下げながら、中へとっていく。
「貴様らもついて來い! 城で決著をつける!」
決著も何も、まだ始まってすらいないのに。
「お兄様! 早くおいでください!」
クシャーナがネルの橫でぴょんぴょん跳ねながら俺を呼ぶ。
「お、お兄様!? ってクシャーナ様こ、聲が……」
その呼び方と聲が戻っていることに驚いているエクト。
ネルがエクトにこれまでの経緯を説明している。
俺たちは仕方がなくそのあとを追ってエルフの國に足を踏みれた。
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