《妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~》106:期待と聲援

俺はエーナのドアをノックする音で、目を覚ました。

「そろそろ、ご飯できるから降りておいでよ」

「んぅ~」

「あっ、ご主人起きた」

真橫から聲が聞こえる。

俺の手にはやわらかい、橫を見るとノワールが俺の手を握りながら、俺の顔を覗き込んでいた。

添い寢されているというより、見張られていた気分だ。なんせ、ノワールはベットの橫に居て、俺の手を握っているからだ。

「おはよ」

「おはよーなの!」

俺は布団から出て、支度を始める。ティナたちは毎度安定の宿のお手伝いらしい。

なぜか、俺はノワールに手を引かれながら、下の階へと向かった。

「ご主人様。起きたんですね」

「あっ、ユウ様、おはようございます」

フロンやティナが臺所から他の客たちに、ご飯を配膳していた。

ティナたちが俺に反応すると同時に、ティナたちのことを気にかけていた、特に男どもが俺を目の敵のように見てくる。

「ほんと、ユウさんモテモテね。誰がお嫁さん候補かしら?」

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エーナがそんなことを言うと、ティナもフロンもフィリアも顔を赤くして俯く。そして俺に嫉妬の目線が集まる。

まぁ、気にするほどでもない。と言うより段々慣れてきた。

「さぁな」

俺がそう短答を返すと、エーナは「あらら」とか言いながら再び臺所に戻っていった。

そしてエーナにもういいと言われたのか、ティナがエプロン等を外し、俺がいるテーブルに4人で座る。

「ユウ様、今日は睡してましたね」

「まぁな。疲れてたんだろ?」

「私何度も揺すりましたもん。全然起きる気配有りませんでいつも通り宿のお手伝いをしてました」

揺すられても起きないとか、どれだけ疲れたんだよ。

いや、心當たりはあるな。それは時空ノ瞳こいつだ。転移含めて、何回か使ったからな。魔力が減ってきてたんだろう。

俺はそう、勝手に理由をつけて、ご飯を食べ始めた。

「うまいな」

「それ私が作りました!」

フロンが手をあげる。

すると、フィリアが俺に向かって箸を突き出す。

「これ、私が作ったの。食べて」

ぐいぐいっと押されて、俺はしょうがなく口を開ける。

食べさせられたのは卵焼きだった。

「まだ、これぐらいしか作れない」

「いや、普通においしいぞ?」

落ち込みかけていたフィリアに俺はそう言った。するフィリアは「ほんと?」と聞いてきて、俺が頷くと。「もっとお料理頑張ってみよう」と言う聲が聞こえた。

いつもだったら、このやり取りにしてくるティナが反応しないなと思い、橫を見ると、ティナと目が合う。

「ティナ?」

「い、いえ味しそうに食べているなーと」

「実際味しいからな」

「それならよかったです」

ティナが自然に俺に笑顔を向けた。俺はしばらくその笑顔から目を離すことが出來なかった。

「もー、食べてるのにそこでイチャイチャしない!」

橫からフロンが俺の口にサンドイッチを突っ込んでくる。

「い、イチャイチャなんか……」

し顔を赤くしながらティナが否定する。

俺はどうにか、サンドイッチを飲み込んで、今後の予定について話すことにした。

「まぁ、それは置いといてだ。この後俺とティナはクーシャのところに行くけど、お前たちはどうする?」

「私は、その行きたい場所が……」

ここはフィリアの生まれ故郷だ。知り合いとか會いたい人がいるのだろう。

「私は、買いにでも行こうかと」

フロンも用事はあるみたいだ。なら、城に行くのは俺とティナだけか。

「あっ、そういえばノワールは?」

俺を下に導して以降、ノワールを見ていない。

「ノワールちゃんならほらあそこ」

フィリアが指さす方向には仔竜の姿のノワールがエーナに餌付けされていた。

「キュア!」

ノワールは食べ終わると、バサバサと飛び俺の頭上に乗っかる。

それと同時にノワールの足についている従魔の証が俺の頭に當たる。

これがあるおかげか。みんなノワールを見てもさほど驚かない。

「フロン。すまんがノワールも連れて行ってくれるか?」

「はむっ、ひょうはいでふ了解です」

「こら、食べながら喋るな」

橫にいたフィリアが、フロンを注意する。

まぁなんにしろ、フロンがノワールを連れて行ってくれるみたいだ。

「ご馳走様。俺は先に準備を済ませるからティナも早めにな」

「ユウ様食べるの早くないですか!?」

ティナの皿にはまだ食べが半分近く殘っていた。

「冗談だ。ゆっくり食べてくれ」

俺はそのまま、部屋に戻り一息つくことにした。

「お、お待たせしました」

ティナも支度を整え、俺が待つ下の階に降りてきた。

「なんだいお二人でデートかい? やっぱり本命はティナちゃんか」

「だから、からかわないでくださいよ、エーナさん」

「悪い悪い。ついね? どうぞごゆっくり~」

そんなエーナの見送りと共に俺たちは宿をでた。

町は昨日、ネルから一通り案してもらっているので、大は把握している。何よりユニーク:完全記憶を持っているエルさんがいる限り俺が迷うことは無い。

「ユウ様とこう二人で歩くのも久しぶりですね」

「そうだな。あのデート以來か?」

俺たちは城を目指して歩みを進める。

フェールン亭から、城まではそう離れてはいない。

「今回はまたフィリアさんのために戦うんですよね」

「あぁ、そうだな」

「頑張ってくださいよ。ユウ様があんな男に負けるところなんて見たくありませんから。いえ、心配するのはユウ様より相手の方の方ですね。殺さないでくださいよ?」

ふふっと笑いながらティナがそう言ってくる。

冗談で言っているのは分かってる。

「まぁ、駆け引きに俺を出されたのは納得いかんが、こうなったからには俺は負けたくないな」

「そうですね。せっかくここまで來たんです。今更離れ離れなんて嫌ですから」

「そうだな」

丁度、俺たちは城のり口に著いた。昨日の今日だからか、顔パスで通してくれた。

「それじゃ私はこっちですので。応援、してますからね」

「あぁ、任せとけ」

俺とティナはそう言うと違う道を進んでいった。

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