《妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~》119:還り

ユウたちは今迷宮都市から王都に向かうため、ノワールに乗り空を飛んでいた。もうしで、王都が見えてくる。そんなときユウとティナの頭の中に聲が聞こえてくる。

(やぁやぁ久しぶりだね、月影悠君。こうやって話すのは初めてかな?)

「お前はクロノスか?」

ティナはいきなり頭の中に流れてくる聲に驚きつつもユウの反応を見てすぐに落ち著きを取り戻した。ただ、聲が聞こえているのはユウとティナだけであり、フロンやフィリア、ノワールはいまいち狀況を飲み込めていなかった。

「こ、この方がクロノス様ですか?」

ティナは恐る恐る訪ねた。

(そうだよ。私が時空神クロノスさ。この月影悠を別の世界から連れてきた張本人であり、今回の面倒ごとに巻き込まれた神の一人だよ)

どんな説明だよとユウは心の中でつっこみつつ、ずっと聞きたかったことをクロノスに尋ねる。

「今までこっちからの連絡をスルーしてて、今更何の用かは知らないが、一つだけ答えてくれ、ムラクモは、死んだのか?」

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クロノスからの通信は意思疎通の範囲であるが、それを分かってユウはあえて聲を出して訪ねた。もちろんその聲はこの場にいる全員に聞こえるわけであり、フロンなどは神妙な顔つきでユウのことを見つめていた。

(連絡を取れなかったのはすまないと思っているよ、何せこっちも立て込んでいるものでね。で、あの刀。ムラクモちゃんの生存についてだったかい? 大丈夫死んではいないよ)

クロノスの聲はユウとティナにしか聞こえていない。ユウは右手の拳を強く握った。ティナは嬉しさのあまり、目から涙をこぼしていた。そして堪えられなくなり、一番近くにいたフロンに抱き著いた。

「フロンちゃん。ムラクモちゃん死んでないって。生きてるって……」

最後の方は涙でほとんど聞き取れなかったが、それが聞こえたフロンは抱き著いてきたティナをやさしく抱き返した。フロンの後ろにいたフィリアはさらにその上から包むように二人を抱きしめた。三人の瞳は涙で溢れていた。

(ティナちゃん恵の通信はここできっておくね)

(あぁ、助かる)

クロノスの微妙な配慮が地味にうれしかった。だが、クロノスの話はまだ続く。

(ムラクモちゃんは確かに死んでないよ。でもね、今は仮死狀態。死んでもないし生きてもない。そんな狀態の中で君を待っている。今回ばかしは僕も協力してあげる。いいかい?準備が出來たらあの祠に來るんだ。今の要件が終わってからでいい。あの祠にれるのはティナちゃんと君だけだ。忘れずにね。あぁ、いろいろ頼まな……)

それだけ言うと、最後にぶつぶつ言いながら、クロノスは通信を切った。

その後ノワールは後ろに乗っているティナたちのことを考えて、飛行速度を落とした。

王都に著いたのは夕日が落ちた頃だった

俺たちは王都に著くと、すぐにある場所へと向かった。

「まぁ、來るならここだよな」

「やっぱり、そんな軽いノリで帰ってくると思った」

帰って來た聲を聞くと、仔竜になっているノワールはティナの手から飛び出し、その聲の主へと飛んでいく。

「うわっ、急に來るとビックリする。ノワールちゃん久しぶり?」

俺たちの目の前に姿を現したのはシーナ・ソルロス。今、目の前にある建、ソルロスの宿の娘であり、俺が助けた冒険者の一人だ。

ほんとに意思疎通というスキルは便利だ。攜帯などの遠距離通信が確立されてない世界では特にな。

「でも、びっくりしたよ。いきなり王城から使いの人が來て部屋を開けてくれなんて言うんだからさ」

シーナの後ろから姿を現したのはアーナ・ソルロス。シーナの母親であり、この宿を切り盛りしている人だ。

王都からの使いは俺からお願いしたもので、意思疎通でアイリスに王都へ向かうと連絡したところ、勝手に宿の準備をされたって言うのが正しいのだが、それでもその配慮はありがたかった。

「すまない、短い間だが世話になる」

「あいよ。あっ、お代はすでに貰ってるからいらないよ。前と同じ部屋開けといたから、自由に使っておくれ」

「ご飯もうできてる。早く食堂來る」

すでに、宿の中にっていたシーナがノワールを抱えながら手招きする。よーく見ると食堂の椅子にはミラやアーミルの姿も見えた。どうやら、俺たちが今日來ることを聞いてわざわざ足を運んで來たらしい。

「べ、別にあんたの為にわざわざ足を運んできたわけじゃないんだから!」

ミラが俺を見て最初に投げ放った言葉はこれだった。その様子をアーナ、シーナ、アーミルが見て笑っていた。

「ささ、お席へどうぞ。お食事は今持ってきますので」

慣れた手つきで、まるで個々の従業員のようなきで、アーミルとミラがテーブルに食事を並べていく。その間シーナは仕事をせずにノワールと遊んでいた。

「さぁ、たーんとお食べ」

俺たちはその言葉に甘えて、ソルロスの宿で食事を済ませ、そのまま部屋で眠りについた。

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