左腕をがっしりと摑むの子。

右腕をがっしりと摑むこれまたの子。

そして２人に挾まれる私、の子。

いやはやどうしてこうなった。

ある冬の日。

冷たい風に窓が揺れ、街を歩く人々があったかい服を著込んでいる季節。

そんな一日に俺は、いや、私は生まれました。

生まれたときから意識がありしっかりと前世の記憶と神様と話したことは覚えていて、暖かいタオルに包まれた私を抱く二人の腕は暖かかくて心から安心出來ました。

これは後でお母さんに聞いた話だけれど、この時のお父さんは號泣していたそうです。

ただあまりにも號泣顔が汚すぎてお母さんが父から私を奪い取ったらしいけど。

奪い取ったときの絶顔は今でも記憶に殘っていると、お母さんは笑顔で言っていました。

私がその顔を見れなかった理由は生まれたばかりの私には殆ど何も見えなかったからです。

勿論視覚障害とかではなく、生まれたばかりの赤ちゃんとはそういうもののようです。

ぼやっとした視界に不安になって盛大に泣いてしまったのは忘れたい記憶です！

こうして俺は転生して、私になりました。

何を言ってるのか分からないと思いますが言葉の通りである。

私こと諸弓千佳もろゆみ ちかはの子として生まれたのです。

神様は何を思って俺を私にしたのでしょうか。

人生が最高のものになるって言っていたけれど、の子の方が最高になれるということでしょうか。

まぁきっと神様は私のことを想ってやってくれているはず。

何故なら、の子に生まれたこと、お母さんに授をしてもらうこと、らしてオムツを換してもらうこと、これらは前世の記憶を持っている私からすれば恥ずかしいことだらけなはず。

けれど私は不思議とけれることが出來ました。

この現象には神様の力が働いてるのではと私は考えました。

それにこれが無かったら今頃おらしの恥ずかしさでもう一回死んじゃう所です。

これからは毎日神様に祈りを奉げようと誓った私でした。

そんなカルトな私が生まれてから１年、なんと妹が生まれました！

前世は兄がいましたが妹も弟もいなかったので新鮮な気持ちです。

妹の名前は恵めぐみ。

私が一ヶ月必死に呼び方を考えた結果、私の脳會議満場一致でメグちゃんと呼ぶことに決定。

メグちゃんが私の手を握ったとき、私はこの子を一生涯守ろうと誓いました。

だって可いしらかいんだもの！

こんなの大好きになるに決まってる、ずるい。

でも可い妹をくれてありがとう、そう私は神様に祈ったのです。

それから１ヶ月、お隣さんの家にも赤ちゃんが生まれました！

これまたの子で名前は千草花ちぐさ はな。

こちらも一ヶ月必死に呼び名を考えて、脳會議にて花ちゃんと呼ぶことに決定。

この子も可いんですよこれが！

一生涯とは言わずとも、この子が結婚するまで守ってみせよう。

その後は旦那さんが守ってくれるだろうから。

……もしも彼氏を連れてきたとしてもそう簡単にはくれてやるつもりはないがね！

そんなじで妹が２人いるかのような狀態になった私は、特に大きな出來事もなく健やかに長していきました。

いやぁ神様ありがとう。本當に。

毎日この子たちといるだけで生まれてよかったなと思うのです。

円満な家庭、可い妹たち、まだの子としての生活には慣れないけれど、なくとも今世が期待に満ち溢れたものだということはに沁みて分かりました。

そして生まれてから六年が経過して。

隨分とあっという間にじるのは多くの時間を寢て過ごしているからかもしれません。

いやさ、子供って力無いのね。すぐに眠たくなってしまうんだよ。

だから一年一年がとても短くじました。

妹と馴染と遊びながら偶には一人でぼんやりしながら、六年間ずっと考えていたことがあります。

せっかく生まれ変わったのだ、私は前世に出來なかったことやりたい。

妹や馴染と遊びに行くのは勿論、両親とも沢山思い出を作って周りの人に好かれるような、そんな私になりたい。

そう思うのはやはり前世を後悔しているということかもしれません。

ともあれ今世こそは好きなことをやって沢山の友達と笑って過ごしたい。

――考え事の日々が過ぎ、明日は小學校の學式。