《TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―》第18話 運會の始まり!

晴天に恵まれた今日の日、空には様々な國の國旗が浮かび、地には白い線で區切られたトラックに、今か今かと我が子の出番を心待ちにした生徒の家族たちが運場のトラックを囲んでいます。

――一ヶ月の練習期間を終えて、遂に運會當日がやってまいりました。

土曜日である今日は私の家族全員が見に來てくれています。

更に、花ちゃん一家も一緒に私の雄姿を見に來ているのです。

もはや花ちゃんの両親も私の両親みたいなものだね!

いやお義父さん、お義母さんと呼んだほうが……? その前に花ちゃんをお嫁さんに貰わないと……。

「それじゃあ、まずは開會式の場だから皆お父さんお母さんにかっこいい所を見せましょうね!」

「はーい!」

と新婚生活くらいまで妄想していると、開會式の前に行う場行進に並んでいる私たちの前で九重先生が鼓舞していました。

初めて擔任したクラスの皆のお披目だから、喜びもひとしおなのでしょう。

い九重先生にはちょっぴり似合わない鉢巻きを頭に著けて、生徒より気合がっております。

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そんな先生の鼓舞に乗せられて私たちのテンションもマックスです!

……一つ目のプログラムからテンションマックスで最後まで持つのか不安だけれど、私も頑張らないとね。

メグちゃんと花ちゃんにお姉ちゃんのかっこいいところ見せて、流石ですお姉ちゃんさすおねと呼ばれるのです!

「頑張ろうね千佳ちゃん!」

「うん! ちゃんも元気いっぱいだね」

「お母さんもお父さんも見に來てくれてるから!」

「うちも元気やで!」

「うんうん、湖月ちゃんも頑張ろうね」

「千佳ちゃんには負けへんで!」

「いや、同じチームだからね?」

相変わらずの湖月ちゃんに若干の不安をじつつも、ちゃんの嬉しそうな笑顔に癒されます。

ちゃんのお父さんは毎日夜遅くに帰り朝早くに會社に行くらしいので平日はあまり話ができず、今日は見に來てもらって嬉しいそうです。

ちゃんは甘えたがりだからしっかりと頑張ってる所を見せて、いっぱいお父さんとお話できたらいいね!

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それに対して、湖月ちゃんは母子家庭と湖月ちゃんママから聞いています。

ちゃんの話を聞いても寂しそうにはしていないけれど、本當は寂しいのかもしれません。

代わりにはならないと思うけど、私が一杯甘やかしてあげるからね!

「では皆行きますよ!」

九重先生の號令に合わせて、手作り満載の場門を潛って運場を行進していきます。

皆そわそわしながら歩いているのは、きっと家族が何処にいるのか探しているのでしょう。

周りを見ては真っ直ぐ前を向き直す、そしてまたキョロキョロと周りを見て家族を見つけたら笑顔になるんだけど、またキリッとして前に向き直る。

あぁこの子たち可い! の子限定で抱き締めたい!

と思いながら私も家族の場所を探します。

……あ、いた。

早くからお父さんが場所取りに行かされていた為、無事に最前列を確保できたようです。

湖月ちゃんママとちゃんパパ、ママも同じシートに座っているのが見えるので、あそこだけ大所帯になってますね。

これはお晝休憩も賑やかになりそうだ。

「お姉ちゃん!」

「ねぇねー!」

――丁度家族の前を通るときに天使たちの呼び聲が聞こえた。

危うく行進を忘れてそっちに向かい抱き締めお持ち帰りしそうになりましたが、ギリギリ殘った理で押しとどめます。

先生にばれないように小さく手を振ると、二人も笑顔で振り替えしてくれます。

くそっ、前を通り過ぎたからもう振り向かないと二人を見れないじゃないか!

滾ると振り向きたいを抑えつけ、ハプニングが起こることも無く無事に場行進を終えました。

「準備! の隊形に広がれ!」

「んぐっ!」

危ない。

前世の名殘でやぁ! ってびそうになってしまいました。

抑えようとして変な聲出たけど、誰にも気付かれて……あ、ちゃんが変な顔で首を傾げてます。

そんなちゃんもプリティですが、とりあえず笑顔で手を振っておきましょう。

今世は東京生まれの東京育ちだからね。

前世のことなんて忘れて楽しまないと!

スピーカーから出るラジオの音に合わせて、を解していきます。

學校のスピーカー、音が割れすぎて何言ってるか分からないんだけど……。

小中高一貫の大きな學園だし、早く買い換えてほしいものです。

隣りでをしている湖月ちゃんのへそチラを橫目に堪能しながら、場行進から始まり準備で終わった開會式は無事に終了しました。

さて最初から一年生のかけっこ競技です!

「――位置について、よーい」

打ち付けられた火薬が破裂して、青く澄んだ空へと響き渡る。

うーん、相変わらずあの火薬の音は慣れませんね。

來ると分かっててもがびっくりしちゃうから、その後は誰も見てないかキョロキョロ周りを見渡してしまいます。

……私やちゃんよりも順番が先だけれど、列の分け方によって橫に座っている湖月ちゃんが凄くニヤニヤしてる。後で口止めしておかないと。

さて、この競技は名前の順で進んでいくので、湖月ちゃんが次の走者だ。

「千佳ちゃーん! ちゃーん! 見といてなー!」

「見てるよー!」

「頑張れー!」

スタート位置に著いてからこっちを見てぶ湖月ちゃんにエールを送ると、はにかんだ湖月ちゃんはクラウチングスタートを取ります。

待って。一年生はスタンディングスタートでいいんだよ?

というか誰から教わったのそれ。……ごめん、練習の時に私が調子に乗って一回使ったのを真似してるんだね。

見様見真似にしては上手だけど。

「よーい!」

乾いた火薬の音に合わせて、湖月ちゃんがスタートを切ります。

タイミングはバッチリ!

そして小柄ながらも素早しっこい湖月ちゃんは他の生徒をグングンと突き放して、無事にゴール!

無事に一位を取った湖月ちゃんはこっちを見て両手を振っています。

うむ、可いぞ。嫁に貰おう。

「湖月ちゃんすごいね!」

「そうだね。私たちも頑張ろう」

「うん!」

一年生のかけっこは一回走るのに一クラス一名ずつ出場します。

なのでこの後は私の前にちゃんが走って、その次の番で私が走る形になります。

握りこぶしをしているちゃんの肩を叩いて張を解してあげましょう。

「大丈夫だよちゃん! 頑張って!」

「あ、ありがとう千佳ちゃん!」

スタートラインに立つちゃん。

ほっ……よかったスタンディングスタートで。

あれから何人かクラウチングスタートを真似した生徒がいたからね。

が出來てないは危ない姿勢だから、先生も止めてしいんだけどなぁ……。

「よーい!」

そしてちゃんの出番、フォームは不安定ですが懸命に手足をかしています。

スタートからし遅れ気味だけど、どうか無事に走りきってほしい!

ちゃんはそこまで運神経がある方ではないので、自分の中のベストを盡くしてね!

お願い、無事に走り切ってちゃん!

「わっ!?」

……ごめんちゃん、私がフラグ立てちゃった。

ボディプレスのように転けてしまったちゃんに、周りの生徒や保護者から悲鳴が上がります。

私は思わずちゃんの所まで駆けつけようとしたけれど、涙目ながらも立ち上がったちゃんを見てやめました。

ちゃんはガッツがある子だからね!

例え運神経が悪くても最後まで諦めずに走れる子なんです。

最高だよちゃん! 一生ファンになります!

そして無事にゴールしたちゃんと、慌てて駆け寄っている湖月ちゃんと九重先生を見屆け、私はスタートラインに立ちます。

ちゃんがあれだけの走りを見せてくれたんだ。

私も本気でやらないとね!

ちゃん! 湖月ちゃん! 見ててね!」

二人がこちらを見て手を振っているのを確認した後、両手を地面に著けてクラウチングスタートの勢を取ります。

クラウチングスタートは危ないってさっき自分で言ってた? 知らないね!

今世のは萬能で、運神経も抜群だし記憶力も高い。

神様のおかげで生まれたこの力、存分に見せてあげる!

「位置に著いて、よーい!」

空気を伝う音と共に、私は風と一つに。

小學一年生の小さなを安定させて、爪先で地面を蹴って手を振ります。

これがメグちゃん、ちゃん、家族の皆、そして湖月ちゃんとちゃんに捧ぐウイニングランだ!

そして乾いた音が鳴り響いて。

「――フライングです!」

……余談ですが、その後仕切り直したレースで一位を取った子の顔は真っ赤だったそうです。

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