《TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―》第26話 正月と寢起き

目を覚ますと私の目に映ったのは、知らない天井でした。

――いや、そういえば昨日お祖父ちゃんの家に泊まったんだった。

隣で抱きついたまま眠っているメグちゃんを起こさないように、どうにかこうにか抜け出して布団から出た私は、やんわりと殘っている眠気を覚ます為にキッチンへと向かいます。

それにしても、なかなか敷布団もいいものですね。

普段はベッドで寢ているので妙な寢心地だったけど、床は畳なのでそこまであまり堅くなかったし、偶にはこういうのもありかもしれない。

寢室から廊下に繋がっている襖を開けると、目を刺すような太が差し込んできました。

「おねーちゃんどこー?」

襖を開けた時の日差しで、どうやら起きてしまったメグちゃん。

寢ぼけまなこをりながら部屋を見渡し、私を見つけたらトテトテと走って抱きついてきます。

なにこれかわいい。

「おはよーおねーちゃん」

「おはようメグちゃん、起こしちゃってごめんね」

「ううん。お姉ちゃんどこ行くの?」

「眠気覚ましに水を飲もうかなって」

「わたしも行くー」

「いいよ、一緒に行こうね」

「わーい」

寢起きのせいでいつものメグちゃんより覇気がありません。

いつもの元気なメグちゃんと比べると一目瞭然です。

これがギャップ萌えかっ! かわいい!

「ほら、抱きついたままだと歩けないから、手を繋ごう?」

「うんー」

そうしてメグちゃんのプニプニした手の平を堪能しながら、キッチンへと歩いていきます。

「お祖父ちゃんの家は自然がかでいいねぇ」

「うんー」

「それに家も大きいし、庭に池もあるってすごいよね」

「んー」

「池の水面がって綺麗だね」

「んー」

「いや、メグちゃんの方が綺麗だよ?」

「んー」

「メグちゃん、眠いなら部屋で寢る?」

「……ん」

繋いでいたメグちゃんの手はいつの間にか私の腕を抱き込み、夢の世界へと旅立って行きました。

目的地のキッチンはすぐそこで、その隣りに居間があるのですがメグちゃんは耐えられなかったか……。

あと寢るのはいいんだけど、私のパジャマをはむはむしないで?

ということで居間で寛いでいたお父さんにメグちゃんを運んでもらい、私はキッチンへと辿り著きます。

まさか私の腕からメグちゃんを離す為に十分もの時間を費やすことになるとは……。

「お母さん、ちょっとお散歩してくるね?」

「遠くに行っちゃ駄目よ?」

「おお、それなら儂も一緒に行こうかの。孫との散歩は楽しそうじゃ」

朝食を済ませた私はお祖父ちゃんと一緒にお散歩をすることに。

お祖父ちゃんはとても優しいので、頼んでもいないのに肩車してくれます。

やっぱり足腰強すぎませんかね、お祖父ちゃん?

後、肩車されたら散歩じゃない気がするから、下ろしてお祖父ちゃん?

「お祖父ちゃん、お庭歩こ?」

「おお。いいとも」

この大きな武家屋敷には、石燈籠と池のある綺麗な庭があります。

週に一度庭師さんが整えているそうで、大きな松もまるで蕓作品のようです。

し山側に位置するお祖父ちゃんの家は雪が降っていて、積もった雪がまた庭を裝飾しています。

「寒いねー」

「そうじゃな。千佳の家では雪は降らんのか?」

「うん。お祖父ちゃんは毎年降ってるんでしょ? 大変じゃない?」

「無論じゃ。まだまだ若いもんには後れを取らんわい」

「流石お祖父ちゃん!」

お爺ちゃんと話しながら雪に足跡を付けて遊んでいると、二度寢から起床したメグちゃんを連れてお父さんとお母さんもやってきました。

「お姉ちゃん!」

「おっと、おはようメグちゃん」

「おはよう!」

寢起きのぼーっとしたメグちゃんもいいけど、やっぱり元気な方が好きだね。

こうしてお祖父ちゃんに私たちの元気な姿を見せることができ、雪合戦をしてお祖父ちゃんが本気の雪玉をお父さんにぶつけたりして、楽しいお祖父ちゃん家の朝が終わります。

晝食を食べてから皆で仲良く寫真を撮って、私たちは帰路へ著きました。

車の中、段々小さくなるお祖父ちゃんに手を振りながら、メグちゃんと一緒に笑います。

「楽しかったねお姉ちゃん!」

「また來たいね」

「うん!」

いつか花ちゃんや湖月ちゃん、ちゃんたちもって、お祖父ちゃんの家に遊びに行ければいいな。

こうして私たちの正月が終わって、また學校が始まるのでした。

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