《TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―》演劇って楽しいね!
クラブにってから一週間経って、早速演劇クラブの練習が始まりました。
祐里香ちゃんは仕事だそうで本日は丸一日いませんが、彼は彼で子役優として撮影に赴いているので私も頑張らないといけません。
「あ、どうも。諸弓千佳です」
「誰に言っているんですか? 千佳ちゃん」
「いや、何でもないよ。それじゃあ練習始めよっか!」
まず最初に行うのは、発聲練習。演劇ではマイクも使うのですが、お腹から聲を出す方が演技の幅が広がるそうです。
ほへぇと思いながらその説明を聞いて、先輩たちのお手本通りに練習しましょう!
お腹に手を當てて、はっはっはっと細かく息を吐きながら発生です。
「あ、え、い、う、え、お、あ、おー!」
「千佳ちゃん、いいじだよ」
「あ、り、が、と、う、ご、ざ、い、ま、すー!」
「いや、そこは普通に言っていいから」
次はストレッチです。演技では全をかすことがあるので、怪我しないようにしっかりと筋をばしておきましょう。
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「それじゃあ先輩、お願いしますぅぐぐッ!?」
「はぁはぁはぁ……千佳ちゃんの背中を押せるなんて、なんてご褒……」
「あだだだッ、すと、すとーっぷ!! だ、誰か止めてー!!」
その後何処からか現れたファンクラブの腕章を付けたの子たちに連れて行かれた先輩。何あの部隊? というかいつの間に腕章とか作ったの?
……また後で湖月ちゃんを問い詰めておこう。
「じゃあ四年生の皆で実際に演技をしてもらおうかな。臺本を配るから、三人グループを……はいはい皆。千佳ちゃんの傍ににじり寄らないの」
このままではグループが決まらないということで、私は部長さんともう一人の先輩と一緒にやることになりました。
そのせいで部長に凄くブーイングが飛んでいたのですが、その不信任案とか通らないよね?
「じゃあ千佳ちゃんと私たちで始めに演技をしてみます。千佳ちゃんは臺本に書いてある、王子様の役をお願い」
「はい、わかりました!」
皆忘れてるかもしれないけど、私は一応前世男なので。男役は任せてくださいな!
「じゃあお姫様の臺詞からスタート!――あぁ、どうしてこんなことになってしまったの」
お姫様役の部長が床に膝を落とし、座り込んで臺詞を読みました。
家でメグちゃんたちと練習した時に比べて、やっぱり雰囲気が違います。
まぁ、服裝は制服なんですけど。
……というか部長の権力を余すことなく使って、一番いい役取ってない?
そんな疑問が浮かぶ中、もう一人の先輩が演技にって語が進んでいきます。
「やぁアリア。いい加減私のものになりなよ」
「嫌よっ、私はあの人と約束したの!」
……ん?
なんかこれ、小學生がやる劇じゃなくない?
「あいつはもう帰ってこないさ。俺と一緒に來いって!」
「やめてっ! 私は信じているの、あの人は絶対に!」
なんか凄いお晝に流れてそうなドラマを見せられているんだけど……。
小學生だからもっと、桃太郎とかさ? 昔話とかした方がいいんじゃ。
って今思うとロミオとジュリエットをやるって言ってたよね。やだこの學校、神年齢高すぎっ?
「千佳ちゃん! 臺詞せりふ!」
「え? あっ、えっと……待ちたまえ!」
とりあえず臺本については後で考えるとして、今は集中しましょう!
「なっ、お前は!」
えっと、この次の臺詞はっと。
「私のアリアを返してもらおうか! その汚い手を離すんだ!」
足を踏み出して、適役の先輩を指差して臺詞を読む。
だ、大丈夫かな。棒読みになってないかな?
「コールっ! 生きていてくれたのね!」
「どうして、睡眠薬を飲ませた上で湖に沈めたはずなのに!」
思った以上にエグイ方法使ってるね!?
メグちゃんの臺本もそうだったけど、小學生向けのやつにしようよ!
「ふっ、あれくらい抜け出すのに造作は無いよ」
……説明書いてないけど、本當にどうやって出したんだ私は。
その謎の方が気になるんだけど。超気になるんだけど。
「くそっ、これでアリアを俺のものに出來ると思っていたのに!」
「殘念だったね。それに君には一つ申させてもらうよ!」
ここで適役に剣を向けて……剣持ってないんですけど?
あ、手振りだけでいいの? 分かりました。
「アリアはじゃない! 人を扱いする君には、アリアを渡すことは出來ないね!」
「ぐ、はぁぁ!!」
剣を振る手振りをすれば、過剰なリアクションで先輩が倒れました。
流石は先輩。迫真の演技です!
「コール!」
「アリア!」
ここで二人抱き締めて終わり、っと。
「私、千佳ちゃんに抱き締められて……きゅぅ~」
「おっと……って倒れる演技なんて書いてあったっけ?」
臺本を確認しても、抱き締めて終わりとしか書いてありません。
はっ!? もしかしてアドリブ!?
「……千佳ちゃん。部長、気絶してるみたいだよ」
「演技じゃなかったの!?」
こうして部長の職権用は幕を下ろしました。
気絶した部長はファンクラブの腕章をつけた子たちに擔架で運ばれ、その日帰って來ることはありませんでした。
それから一週間、部長はファンクラブの罰則をけることになるのですが、それがどんな罰則なのか、そして罰則があること自知らない私は。
「意外と演劇楽しいかも!」
ただ純粋に、クラブ活を楽しんでいるのでした。
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