《俺のハクスラ異世界冒険記は、ドタバタなのにスローライフ過ぎてストーリーに脈略が乏しいです。》1-24【コボルトの戦利品】
【おめでとうございます。レベル7になりました!】
「おっ、レベルが上がったわん」
俺がコボルトキングを倒した直後にレベルが上がった。
上顎と下顎を境目に頭から上を切斷されたコボルトキングのが、虛ろな瞳を見開いた頭と一緒に並んで倒れている。
「ちょっとエグイな……」
その無慘な死を見て俺は、しやり過ぎたかなって反省する。
いくらコボルト相手でも変なところから頭を両斷するのはちょっと殘酷過ぎたかも知れない。
反省───。
それから一息ついて辺りを見回すと、ハーレムの雌コボルトたちが目にる。
四匹は木製の玉座に隠れて震えていた。
あっ、もう一匹だけ雄のコボルトも混ざってやがる。
そもそもこいつを追い掛けて、この大部屋に飛び込んだんだよな。
完全に忘れていたぜ。
それだけハーレムが羨ましかったのかも知れない。
クソ!
今思い出してもムカついてくるぜ!
そして、雌コボルトたちは俺と視線が合うと、ビビったのか一斉に両腕を上げながら逃げ出した。
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逃げる後ろ姿は括れた腰にフカフカの並みのおと尾を揺らして可くも見えた。
何よりビキニやハイレグ水著が魅的なんだよな。
しドキリとして心臓が痛む。
なので俺は追わなかった。
追ってもしゃあないし、もう面倒臭いや。
ほぼほぼコボルトの群れは壊滅させたので、雌コボルトまでは追い回す必要がないだろうと思う。
それに、傍からみたら俺がセクシーな水著姿の犬人間にして猥な行為を働こうとして追っかけているド変態野郎に見えるやも知れない。
誰も見て居ないけど、そんな誤解はけたくなかった。
これ以上は主人公としての好度を下げたら不味いだろうからな……。
もう普通の主人公なら復帰不可能なぐらいまで好度が落ちているかも知れないけれどね……。
なんだか好度の奈落に両足がきっちり著いているようなじがするけれど……。
まあ、気にしない気にしない!
だって誰にも見られて居ないもの!
「あっ……」
「くぅ~ん……」
もう一匹だけ雄のコボルトが殘っていた。
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見られた……。
俺が雌コボルトのおを眺めてニヤニヤしていたのを見られたぞ。
「殺す……か」
「ヒィーーー!!」
俺の脅しのような一言を聞いた雄コボルトが全速力で逃げ出した。
まあ、逃がしてやるよ。
もう追わない。
だって勝負は付いただろうからな。
「さて、俺も村に帰ろっと」
その前に、とりあえずアイテムと現金の回収だけはちゃんとやらなくてはならないだろう。
それが冒険者のたしなみである。
俺は時間が掛かったが、廃鉱を探索してから外に出た。
コボルトの死や荷を漁って得られた金額は121Gだった。
まあ、良く分からないが現金はボチボチだろう。
マジックアイテムは、コボルトキングが持っていたシミターと、廃鉱の荷から掘り出したランタンだけだった。
今回、俺の怒りの燃料の代わりになったスクロールは一枚もない。
てか、ハズレのスクロールばっかり三枚も連発したんだから、最後ぐらいは當たりのスクロールぐらい出て來いってもんだ。
それが普通は禮儀だろう。
なんとも気が利かない結末だな。
まあ、マジックアイテムはゲット出來たから、いいか。
そして、拾ったマジックアイテムの鑑定の結果はこうだ。
【シミター+2】
勇気が向上する。筋力が向上する。
おそらく勇気の向上は、勇敢になるってことだろうか?
筋力の向上は、そのままだろう。
コボルトキングが男らしくてパワフルにじられたのは、この効果が追加されていたからかも知れないな。
勇敢でパワフルか~……。
そんなマッチョマンなら、ハーレムの一つや二つぐらい作りたくなってもしゃあねえかな~。
俺にはコボルトキングの心が良く理解出來た。
同じハーレム理想主義者としてだ。
あっ、いた、いたたっ……。
おっと危ねぇ~……。
まあ、とにかく大當たりのシミターをゲットってことだね。
続いてランタンの鑑定結果は、と言うと──。
【魔法のランタン+1】
油の消費量が1/10に減る。
なんとも自然環境に配慮された省エネな家電製品だろうか。
正直、要らん……。
まあ、なかなか苦労した廃鉱攻略戦だったが、実りはこんなもんだった。
これがないのか多いのかは、まだまだ冒険者としての経験數が淺い俺には判斷が出來なかった。
この辺は、今後も冒険者として生きていくのならば自然に積み重なって行くことだろう。
今後に期待だね。
さてさて、次はお楽しみの新スキルのチェックだ。
今回はレベルが上がるまで、かなり戦闘を繰り広げていたから、きっと戦闘スキルを習得しているはずだ。
まあ、ほとんど寢首を刈るような不意打ちと、狂犬まがいの狼藉的な戦闘ばかりだったけれどね……。
それでもコボルトキングとは派手に戦ったはずだ。
あれは良い経験になったはずだろう。
俺は期待を込めてステータス畫面を呼び出した。
「ステータス、かも~ん」
そして半明のステータス畫面が開かれた。
俺はすぐさまスキル欄を凝視する。
すると、やはり新スキルをいくつか習得していた。
どれどれ、どんなスキルかな?
【バーサーカースイッチLv1】
あー……。
なんかスキル名を見ただけで、嫌なじがするのは何故だろう。
心當たりがありすぎて怖い……。
それに能力も大が予想がついた。
ともあれ説明文を読んでみる。
【バーサーカースイッチLv1】
ON/OFFが出來るスキル。効果中は冷靜な判斷が失われるが、戦闘技やステータス値全般が1.25倍に向上する。
うむ、やっぱり微妙だな……。
予想通りバーサクするスキルだよ。
悪くもないが、良くもない。
でも、ステータス値が全般的に1.25倍に向上するってあるけど、やっぱりステータスって數値で表示されていないだけで、ちゃんとあるんだな。
それと───。
【マウントポジションLv1】
倒れた相手の上に乗っかり有利な攻撃ポジションを築く。
うう~~ん、やってるわ……。
確かにマウントポジションを取ってるわ~。
だから覚えるよね~……。
さ、さて次は、蹴り技が二つか~。
【廻し蹴りLv1】
廻し蹴りの威力と命中率が向上する。
【後ろ廻し蹴りLv1】
後ろ廻し蹴りの威力と命中率が向上する。
廻し蹴りと後ろ廻し蹴りか~。
廻し蹴りが、橫から前に足を振り回す蹴り技で、後ろ廻し蹴りがクルリっとをスピンさせてから背中向きで足を振るう廻し蹴りの技だね。
ローリングソバットとかだ。
なに俺?
俺は空手家かテコンドー使いになっちゃうのかな?
なんかファンタジーのスキルっぽくねえな……。
まあ、いいか~。
あと、いくつかレベルが上がったスキルがあるな。
【ショートソードスキルLv2】がLv3に上がって、【潛伏Lv1】がLv2に上がってるぜ。
まあ、これで今回のレベルアップはすべてである。
俺は戦利品のシミター+2を背中に背負い、魔法のランタン+1を腰にぶら下げると廃鉱を出た。
俺が廃鉱の外に出ると、辺りは暗くなっていた。
空を見上げれば、丁度夕日が山の裏側に隠れるところだった。
日が沈むと周りが一気に暗くなる。
「ああ~……、マジックトーチはまだレベル1だから一回しか使えないんだったぜ。今回の冒険でマジックトーチを使えばレベルが上がるかと思ってたんだけどな~……。しゃあない」
俺は腰からダガー+1を取り出すと、ダガーに込められた魔法のライトを唱える。
するとダガーの刀が輝いて辺りの闇を払い飛ばした。
「ライトの魔法って、マジックトーチより明るいじゃんか。このダガーも役に立つな。予想外だったぜ……。さて」
それじゃあ日も落ちてきたし村に帰るべ。
そして、俺が廃鉱のり口に背を向けた剎那だった。
何故か突然ながら背中に寒気が走る。
その寒気は悪寒となって俺のを駆け巡った。
「さむ、なんだっ!」
俺は咄嗟に振り返った。
そして、ダガーので照らされた廃鉱のり口を凝視する。
「な、何か、居る……?」
気配をじる。
人でもコボルトでもない気配だ。
俺が冷や汗を流しながら廃鉱のり口を凝視していると、廃鉱の中から何かが歩み出てきた。
人の影……?
いや、影じゃあないな……。
その影は白くて淡く輝いているようにも見える影だった。
まるで人の形を模倣したる霧のようにも見える。
しかも、不気味だ。
だが、悪意はじられない。
その影がしずつ數を増やして行く。
る影の數は複數だ。
そして、廃鉱のり口から出たる影たちは、夜空を見上げる。
「なに? 幽霊ですか? ゴーストですか?」
俺が戸っていると、夜空を見上げていたる影たちが、順々に浮き上がり夜の空に向かってフワフワと飛んで行く。
「なにこれ、なにこれ!?」
やがてる影はすべて夜空に登って消えて行った。
跡形もなく夜空に溶け込む。
そして、辺りからそいつらの気配も消える。
俺はしばらくる影が登って消えた夜空を見上げながら惚けていた。
「な、なんだったの……あれ?」
星が綺麗だ。
真ん丸いお月様も綺麗だった。
辺りには夜のせいじゃくだけが流れて行く。
蟲の音が僅かに聴こえてくるばかりだった。
風がし寒い。
靜かに時が流れて行くのがじられた。
もう、何かが起きる気配は微塵もない。
「か、帰ろ……」
もう何も起きなかったので俺は村に帰ることにした。
そして、帰り道の途中で俺は、る影たちのことを考える。
「あれは俺に殺されたコボルトたちの霊魂だったのだろうか?」
その可能が高いかも知れない。
だとしても、それが何故に見えたのだろうか?
俺は霊にも目覚めたのかな?
でも、スキルとしてはゲットしてないぞ?
「分からん……」
何せまだまだ分からないことが多すぎる。
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