《【1章完】脇役の公爵令嬢は回帰し、本の悪となり嗤い歩む【書籍化&コミカライズ】》第43話 オルガ様と仲良く?

「アサリア嬢、ラウロ殿、本日はありがとう。君達のおで怪我人もほとんど出さずに終わることが出來た」

西の砦の魔獣の押し寄せが終わり、最初にお會いした部屋に戻って、オルガ様に改めてお禮を言われた。

「いえ、公爵家としての責務を果たしただけですので」

「俺も騎士として働いただけです」

私達がそう言うと、オルガ様が笑みを浮かべながら頷く。

「ふむ、君達ならそう言うと思ったよ。アサリア嬢とラウロ殿の戦いを見られたのは、非常に良かった」

「それなら私達も、アイギス公爵家の魔法、そして西の砦の騎士の方々の戦いを見られたので、貴重な経験でした」

初めてアイギス公爵家の風の魔法が見たけど、とてもすごかった。

數ある魔法の中で唯一目に見えない攻撃、風魔法。

魔法を発した気配があるのだが、その魔法がどういう形なのか、どのくらいの威力をしているのかが見えないから、とてもわかりづらい。

さらに魔法の速度もなかなか早いから、どんどんと魔獣を倒していっていた。

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「君達に負けないように、私もセシリオちゃんも気合がっていたからな。今後も公爵家同士、いい関係を築きたいと思っている」

「私も同じ気持ちです、これからよろしくお願いします」

オルガ様がまた手を出してきたので、私もそれに応じて握手をする。

「アサリア嬢と仲良くなるために、まず謝らないといけないことがある」

「はい? なんでしょうか?」

「私は、君が嫌いだった」

「……えっ?」

い、いきなりなんで? なんでオルガ様に嫌われているの?

それに「これから仲良くしよう」って言われたのに、「嫌いだった」って……。

「私が勝手に勘違いをして嫌いになっていただけだ。今は嫌いじゃないし、むしろ好ましいと思っている」

「は、はぁ、勘違いですか?」

「ああ、アサリア嬢はルイス皇太子と婚約をして、皇太子妃になるつもりだったのだろう?」

「……はい、そうです」

オルガ様は「皇太子妃になるつもりだった」と言っているから、おそらく私とルイス皇太子の今の関係についてし知っているのだろう。

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別に「なるつもりはない」と明言はしていないし、肯定も否定もしないでいいでしょう。

「それがアサリア嬢を嫌いだった理由だ。私達は四大公爵として生まれて、公爵家の責務を果たさないといけない。それなのに皇太子妃になって責務から逃げている、と思っていた」

「……なるほど」

「皇太子妃という仕事も大変で重要だとは思うが、戦場に立って戦うほど命が懸かっているとは思えない。だから私は、アサリア嬢のことが嫌いだった」

確かにそう捉えられても仕方ない。

お父様は私を戦場に立たせたくなくて、私と皇太子との婚約を結んだ。

私から逃げたいとか思ったことはないけど、オルガ様の言うことはほとんど合っている。

「だが先日の授與式、アサリア嬢とラウロ殿が他の砦を守るためにいたという行為、それは公爵家の責務を超えた働きをしていた。素晴らしいと、心の底から思う」

「あ、ありがとうございます」

「それほど実力をに付けるのもとても大変だったに違いない。さらにアサリア嬢はいずれ皇妃になるための勉強もしていただろうから」

まさかこんなに絶賛されるとは思わなかった。

だけどオルガ様は私が「皇妃の勉強」と「魔法の練習」を両立していると思っているようだが、し違うのよね。

回帰する前、婚約破棄されるまでは「皇妃の勉強」をずっとしていた。

だけどルイス皇太子に婚約破棄をされた後、二年間かけて「魔法の練習」をした。

その二つを同時にやっていた時期は特にないけど、私が回帰したことを知らなかったら同時にやってないとおかしいと思うだろう。

回帰したことを誰にも言うつもりはないから、オルガ様の勘違いを訂正することは出來ないんだけど。

「だから勝手に君のことを決めつけて、嫌っていたことを謝りたい。本當に申し訳ない」

「いえ、確かに私が皇太子と婚約をしたのは、父親が私を戦場に立たせたくないからでした。なので謝る必要はありません」

「許してくださり謝する。アサリア嬢の戦場での活躍は、今後も見られるということでいいのか?」

「ふふっ……はい、そう思ってもらって構いません」

「ははっ、そうか。それはとても楽しみだ」

今のオルガ様の問いかけは、「ルイス皇太子と婚約破棄をして戦場で戦い続けるのか」という意味が含まれていただろう。

それを私は肯定してしまったけど、言葉遊びだったから特に深く話すことはない。

私達は互いにそれを理解しながらも微笑んだ。

「しかし、アサリア嬢は本當に完璧だな。皇妃の勉強もしてきただろうに、魔法もあれほど出來るとは」

「いえ、まだまだ學ぶものは多いです」

「ふっ、私も負けてられないな」

私達は會話の合間に、紅茶を一口飲んだ。

その時、部屋の扉にノック音が響いて、セシリオ様がってきた。

「姉上……いえ、おねえたま、魔獣の処理が終わったから、報告に參りました」

「そうか、ご苦労だった、セシリオちゃん」

「うん、ありがとう……」

オルガ様を「おねえたま」と呼ぶ時が、一番顔に疲れが出ているような気がするけど。

「アサリア様、本日はありがとうございました。間近でアサリア様の魔法を見られてよかったです」

「こちらこそ、セシリオ様の魔法もとても參考になりました」

「いえ、おねえたまに比べたら全然です。もっと進していきます」

ニコッと人當たりが良さそうな笑みを浮かべるセシリオ様。

年というじで、カッコいいというよりかは可い顔立ちをしている方ね。

「ラウロ殿も、素晴らしい活躍でとてもすごかったよ!」

「騎士としての責務を果たしただけなので、褒められるほどのことではありません」

「いやいや、謙遜することはないよ! さすがスペンサー公爵家令嬢の専屬騎士、強くてカッコよかった!」

「……ありがとうございます」

珍しくラウロがし押されているじね。

セシリオ様の言葉が全く誇張されたようなものではなく、純粋に褒めてくれているとわかるからだろうか。

アイギス公爵家として生まれて、厳しい教育や訓練をし続けたはずのセシリオ様。

それなのに全く裏表がない好青年という印象をけるわね。

公爵家なら社界などで、いろいろと人の裏表を見てきているはず。

それなのにここまで純粋な雰囲気を持っている男も珍しい。

「ラウロ殿のような騎士って本當にカッコいいよね。すごい憧れるなぁ」

「そうですか?」

「うん、ほら、僕は長も低くて弱そうな見た目でしょう? ラウロ殿みたいな屈強で強い騎士に憧れるんだよね」

ラウロのことをし見上げながら、笑みを浮かべて話しているセシリオ様。

普通の貴族が言うようなことではないし、言ったとしてもお世辭に聞こえる言葉。

だけど彼が言うと、心の底から純粋にそう思っているようだ。

とても好印象なんだけど、逆にそれが怖いわね。

セシリオ様の容姿や誰にでも好印象を與えるような雰囲気を利用すれば、社界で一気に話題になって貴族社會のトップに立てると思う。

ただ今までセシリオ様の噂を「容姿が可らしい公爵家の令息」としか聞いてこなかったので、そういうことはしてないのだろう。

「ラウロ殿、今度一緒に訓練とかしない? ラウロ殿がどんな訓練をして鍛えているのか、興味があるな」

「別に構いませんが、普通の騎士の方と変わらないと思いますが」

「それでもいいよ。君の強さのも知りたいし、手合わせとかもしてみたいからね!」

「……アサリア様、よろしいですか?」

ラウロがし困ったように私に聞いてきた。

私の専屬騎士だから「強さの」と聞いて、私に判斷を任せるべきと思ったのだろう。

別にラウロの強さのなんて、ただ強いだけだからにしていることは特にない。

「アサリア様、どうですか? 純粋にラウロ殿に憧れて、訓練をしてみたいと思っているんですけど……」

同い年の男のはずなのに、子犬のような可さを持っているわね、セシリオ様は。

セシリオ様が純粋な印象を利用しているとし思っていたけど、それはなさそうね。

私も公爵令嬢としてそういうのを見抜く目は養ってきた。

何より……私はそういう雰囲気をずっと演じている偽、オリーネを知っている。

と比べるのはセシリオ様に失禮だけど、セシリオ様はとても純粋な青年というのはわかる。

「もちろん大丈夫ですよ。私もラウロと訓練をする時がありますので、その際にぜひご一緒しましょう」

「ありがとうございます、アサリア様! ラウロ殿、一緒に訓練できる日を楽しみにしてるよ!」

「……そうですね、俺もです」

ラウロがし口角を上げてそう言ったのを見て、私はし驚いた。

ラウロもセシリオ様には好印象を抱いているようだった。

セシリオ様の純粋で好青年のじは本當にすごい。

オルガ様がブラコンになる理由がわかる気がする。

「アサリア嬢、その時は私もご一緒してもいいかな?」

「はい、もちろんです、オルガ様」

「それならよかった。それとアサリア嬢、一つ忠告しておくことがあるのだが」

「えっ、なんでしょうか?」

とっても綺麗な笑みを浮かべながら、オルガ様が私の両肩を摑んだ。って、力強い……!

「セシリオちゃんに手を出すのは、許さない。絶対だ」

「か、かしこまりました……」

オルガ様の目が、ガチすぎるわ……。

全く手を出すつもりなんてなかったけど、するなら命を捨てる覚悟をしないといけない。

というか「手を出す」って普通、男からに使う言葉じゃないかしら?

「はぁ、おねえたまは……僕はもう子供じゃないのに」

「大変ですね、セシリオ様は」

「わかってくれるかな、ラウロ殿」

「……すみません、社辭令で言いました。俺には姉がいないのでわかりません」

「うん、なんだかラウロ殿の格がわかってきた気がするよ」

「そうですか? それならよかったです」

ラウロ、それは皮を言われてるだけよ。

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