《【書籍化作品】自宅にダンジョンが出來た。》自宅の前にが。
モノレール千城臺駅から、ラパーク千城臺まで続く空中連絡通路を歩き、寶くじ売り場へと向かう階段を降りる。
もちろん歩きながら、自分のステータスをオープンにすることも忘れない。
名前 山岸(やまぎし) 直人(なおと)
年齢 41歳
長 162センチ
重 102キログラム
レベル1(レベル64)
HP 10/10(640/640)
MP 10/10(640/640)
力17(+)
敏捷11(+)
腕力16(+)
魔力 0(+)
幸運 0(+)
魅力 0(+)
▽所有ポイント 54
「あら、いらっしゃい」
寶くじ売り場の売り場窓口に到著すると人の好さそうな60歳近いご婦人が語り掛けてきた。
「すみません、スクラッチクジはありますか?」
「ええ。ありますよ、何枚購しますか?」
俺は窓にられているスクラッチクジの価格をチェックする。
価格は200円。
200円のスクラッチクジは
1等 3000000円 18本
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2等 100000円 360本
3等 50000円 1080本
4等 10000円 8100本
5等 1000円 90000本
6等 200円 450000本
と書かれている。
「ふむ……、それでは1枚頂けますか?」
まずは試しだ。
ステータスを上げない狀態で、一枚だけ購し実験を行うことにする。
何も疾しいことはない。
これは、きちんと検証する必要があるからするだけだ。
「はいよ、200円ね」
俺は、ご婦人に100円玉貨を2枚渡す。
そして、ご婦人からスクラッチをけ取り、財布の中から10円貨を取り出し、その場で縦3マスX橫3マスの計9マスの3つを削る。
當然、ビンゴなどせずに外れる。
「當然の結果だな……」
20年ほど前に、3億円の年末ジャンボを當てるために3萬円注ぎ込んで外れた悪夢が脳裏を掠める。
だが、それはもう過ぎたこと。
――ここからが本番だ!
名前 山岸(やまぎし) 直人(なおと)
年齢 41歳
長 162センチ
重 102キログラム
レベル1(レベル64)
HP 10/10(640/640)
MP 10/10(640/640)
力17(+)
敏捷11(+)
腕力16(+)
魔力 0(+)
幸運 0(+)
魅力 0(+)
▽所有ポイント 54
……まずは所有ポイントを全て幸運に振り切る。
名前 山岸(やまぎし) 直人(なおと)
年齢 41歳
長 162センチ
重 102キログラム
レベル1(レベル64)
HP 10/10(640/640)
MP 10/10(640/640)
力17(+)
敏捷11(+)
腕力16(+)
魔力 0(+)
幸運54(+)
魅力 0(+)
▽所有ポイント 0
「――さて、いくか……、すみません、スクラッチを200円1枚ください」
「あいよ」
一枚ずつしか購しない俺にも想よくスクラッチを差し出してくる。
俺は200円を払ってけ取り、その場でスクラッチを削る。
數字はビンゴ!
寶くじ売り場の窓ガラスに張られている価格は10萬円を指示していた。
すばらしい。
幸運ステータス……、すごいな。
……だが! まだまだ検証が足りない。
あと1回……、――いや、あと10回か100回くらいは検証が必要だろう。
「すいません、200円くじを100枚ください」
俺は1萬円札を2枚渡し、驚いたご婦人が100枚スクラッチを束で渡してくれた。
さあ! 稼ぐ時間だ! ――じゃなくて、検証の時間だ!
「えっと……、これね……」
スクラッチ100枚を寒空の下で10円玉で削ること1時間近く。
俺は、その場で換金するためにご婦人にスクラッチ101枚を渡していた。
訳は、
100000円 1本
50000円 5本
10000円 17本
1000円 78本
「合計59萬8000円になるわね」
ご婦人が信じられないといった表で俺を見てくる。
まるで俺が不正をしたと言わんばかりの表だ。
まったく酷いものだ。
俺は何も詐欺のようなことはしていないのに。
「それではお願いします」
それにしても、幸運ステータスはすごいものだ。
もう、幸運ステータスだけでいいんじゃないのか?
「10萬円と5萬円は、そこの駅前の銀行で換金してね」
「ここで貰えるのでは?」
「ここは1萬円まで換金の寶くじ売り場なのよ?」
「そうなのですか……」
そんなローカルルールがあるとは知らなかったな。
寶くじなんてめったにやらないからな。
「はい、それじゃこれね」
24萬8000円を、ご婦人からけ取る。
すでに、この金額だけで俺が派遣會社を通して毎月、稼いでいた金額と同じくらいだ。
すぐに銀行に向かう。
やはり、そこでも銀行員にジロジロと見られたが無事に35萬円の現金をけ取ることができた。
銀行から離れいつも通りバスに乗ろうとロータリーに向かう。
「そうだった……」
今の俺は59萬8000円も手にれたばかり。
たまには贅沢をしてもいいだろう。
タクシー乗り場へと向かう。
タクシーを利用するなんて何年ぶりだろうか?
もう忘れてしまったくらい過去の出來事だ。
「目的地はどちらまで?」
タクシーに乗り込むとテンプレのように聞いてくるタクシー運転手。
「近くの牛野屋までお願いします」
「え!?」
「牛野屋までお願いします」
「――わ、わかりました」
いまの俺は財布の中に60萬円近くの現金がっている。
そうなると夕方の食事はしばかりリッチなでもいいな。
俗に言う自分へのご褒というやつだ。
「著きました」
自分の世界に浸っていると、いつの間にか到著していた。
「すいません。し待っていてもらえますか?」
「……わかりました」
駅から外れるとタクシーを拾いにくい。
よって待ってもらうという手段を取る。
ちなみに待っている間にもお金は発生するので普段はそんなことはしない……、というか俺はできない。
お金がもったいないからだ。
すぐに牛野屋にり、牛丼特盛りの生玉子セットを頼み購しタクシーのもとへと戻る。
「待たせました」
「それではどちらまで?」
今度こそ家に帰るまでの道を伝えた。
それから10分もかからず自宅の――、築30年のアパートの前に到著。
清算の段階で「釣りはいらねえ」と、1萬円を渡してタクシーから降りる。
実は以前からやってみたかったことの一つだ。
俺は、ボロボロのアパート――、もちろんセキュリティもないし管理人もいないし自扉もないアパートの階段を上がっていく。
カンカンという音が周辺に響き渡る。
「今日の夕飯は発だな。何せ、牛野屋の特盛りだからな」
普段は節約のために自炊がメインだが、臨時収がった今日くらいは贅沢をしても許されるだろう。
俺は階段を上がりきり通路を歩きだしたところで首を傾げる。
前方に誰かいる。
しかも、俺の部屋の前にパーカーを著た人影が見える。
「のラインからしてだな……」
だが、俺には付き合っているはいない。
「セールスには見えないな……」
とりあえず無視して部屋にることにしよう。
関わるとロクなことは無さそうだしな。
通路を歩き、自分の部屋の鍵を開ける。
そして部屋にろうとしたところで後ろから、パーカーを著たが抱きついてきた。
のらかさから見てであることは間違いなさそうだが……。
「ここの借主は俺だが、誰かと勘違いしていませんか?」
とりあえず言葉で説得して穏便に帰ってもらうとしよう。
そうしないと牛丼が冷めてしまうからな。
「先輩! 俺です! 佐々木です!」
「はあ?」
いきなりのことに俺は素っ頓狂な聲をあげていた。
自分自を佐々木と言ったはパーカーの被りものをとって俺を見てくる。
栗の髪のが背中までフワッと広がり、白なに大きな黒い瞳。
とてつもないが俺に抱き著いてきていて上目遣いで俺をみてきている。
どう考えても男の佐々木だった頃の面影がまったくない。
新手の詐欺か? 男がになるなどファンタジーもいいところだ。
悪い冗談にも程がある。
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