《【書籍化作品】自宅にダンジョンが出來た。》対人戦(1)

「山岸さん、どうかしましたか?」

「いえ、とくには……、それより、たちの服裝ですが――、スカートですが大丈夫なんですか?」

「ああ、なるほど……」

何故か知らないが山が佐々木の方を見て頷いている。

もしかしたら、山は佐々木に気があるのかも知れないな。

「彼たちは、制服と同じ素材で作られたタイツを支給されているので大丈夫です。それにダンジョンは冷えますので防寒にもなりますから」

「なるほど……」

「私としても、タイツとスカートよりはズボンの方がいいと思うのですが……、上の人間がスカートとタイツでないと人材は集まらないし見栄えが悪いと拘っていまして――、それとたちもズボンよりは可いからという理由でズボンの案は卻下されてしまいました」

が肩を竦める。

その態度に噓はじない。

まぁ陸上自衛隊は、戦いのプロだからな。

いくら、耐久を確保したと言っても不安定な要素は取り除いておきたいのだろう。

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まぁ、どうりで中學・高校生くらいの男たちが探索者協會に所屬しているたちの後ろにいるはずだ。

楠を先頭に、ホールから通路へと進む。

すぐに壁は石で作られたに変わり地面は石畳から土へと変化する。

通路の明かりは、等間隔に壁際に設置されているLEDライトが確保しているため、暗くはない。

「ここからは本格的なダンジョンエリアにりますので気を付けてください」

キャンペーンガールの一人である江原というが聲を張り上げている。

すると中學生や高校生たちは元気よく「はい!」と答えていたが、その顔にはお姉さんとお近づきになりたいという疚しいが浮かんでいるのを俺は見逃さない。

まぁ、後ろからの後ろ姿をジッと見ていたのだから誰だって分かるはずだが……。

そして楠とキャンペーンガールの間には、主婦や年配の方が居り振り返りながら年若い男たちのことを生暖かい目で見ていた。

いつもある景なのかもしれないな。

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「そろそろですね」

後ろから山が語り掛けてくる。

それと同時に、通路が開けて大きな広場に足を踏みれた。

広場というには生易しい。

學校のグランドほどの広さがある。

「これは畑ですか?」

「はい。落花生畑です。もちろん、私たちが管理しているわけではなくダンジョンが勝手に生産しているです」

ダンジョンが勝手にね……。

俺が見てる前で「それでは、しばらく自由時間となります!」と楠が言っているが、まだダンジョンにって10分も歩いていない。

だが、主婦たちは慣れた手つきでスコップを手に持つと、畑にスコップで振り下ろしていた。

そして、を思いっきり力をれて引っ張っている。

俺が見ている間に、主婦が土から引き揚げたのは大きさ30センチほどはある落花生であった。

その異様さに、俺は思った。

落花生とはいったい……。

そのくらい心、首を傾げたくなるほど大きなであった。

主婦たちは、鍬で落花生の殻を壊し中から石炭の合いをしたモンスターコアを取り出しリュックサックの中に詰める。

その手際は、とても手慣れている。

「すごいですよね。皆さん……」

心しているが、その意見には俺も賛同したい。

モンスターコアを取り出す主婦たち、それはもう職人蕓の域に達している。

まるで! 無駄な作がない! さすが主婦と言っていい。

日本の主婦はすごいな。

「山岸さん。貝塚ダンジョンは、モンスターの質は高くはありません」

「はい、それは佐々木から伺っていますが」

「ですが、この落花生からモンスターコアが出るので稼ぎは決して安くはないのです。主婦の方たちの手さばきを見ていると分かると思いますが彼たちは1時間に20個、多いと30個のモンスターコアを集めることができるのです。何のの危険もじないツアーで」

「な、なるほど……。たしか1個の買い取りが100円でしたよね?」

「はい。時給に直すと2000円から3000円でしょうね」

「……一日8時間出勤で、一日の稼ぎが16000円から24000円……」

「はい。土日祝日はお休みのため、週5日出勤ですね」

「5日……、8萬円から12萬円の稼ぎですか? 高いですね……」

「はい。ダンジョンツアーに參加している主婦の方の中には月50萬円を稼ぐ猛者もいますね」

俺の給料の倍を稼いでいるだと?

「そんな報はネットにはどこにも……」

「稼げる仕事は教えないのが世の常ですからね」

たしかに、そのとおりだ。

これなら俺もダンジョンで稼いだ方がいい気がしてきた。

し、私も試しにやってみます。せっかくツアーに參加したのですから」

俺は、自分の近くに生えていたを握る。

「山岸さん!?」

が慌てた様子を見せる。

何を慌てているのか――。

俺は手に摑んだをそのまま引っ張り上げる。

すると――、ボコッと音が周囲に鳴り響くと同時に30センチほどの落花生が連なったが地面から姿を現す。

思ったよりも力をれなくても落花生が地面の下から引きずり出せたな。

「――さて……」

俺は、についている落花生を摑むとから引き剝がしたあと、両手で殻を砕く。

すると、10センチほどの実と、握りこぶしほどの大きさの黒い石炭のような――、モンスターコアが地面の上に落ち転がる。

もっと固いかと思っていたが思ったより楽だな。

スコップや鍬を渡されたから使う必要があるのかと思ったが必要は無さそうだな。

「山岸さん」

「はい?」

顔を上げる。

そこには気難しそうな表をした山が立っていた。

「山岸さんは、普段からを鍛えているのですか?」

――ん?

「――? ええ、まあ……」

突然のことに俺は迷いながらも適當に答える。

「山岸さん、じつは……、この貝塚ダンジョンで採れる落花生の殻は、とても固いのです」

……とても固い?

そういえば……、ツアー參加者の人間は誰でもが鍬を使って殻を壊していたな。

俺は、手で壊せないか何となく試したつもりだったが……、いたって簡単に殻を壊せてしまった。

それが、問題だったのか?

俺の疑問を余所に山は、地面から俺が引き抜いた落花生の束から、一つ落花生を手に持つと両手で挾み込み力をれていく。

すると、ピキッという音と共に、落花生の殻が割れた。

「はぁはぁはぁ……、どうでしょうか? これだけ貝塚ダンジョンの落花生の殻は堅いのです。ちなみに私の握力は106あります」

「握力106!?」

「驚きましたか?」

が息を整えながら答えてくる。

「じつは、それだけではないのです。レベルが上がるとある特典がつくことが分かってきました。それはレベル補正と呼ばれる

「レベル補正?」

「はい。握力計を使って測定した計測した結果……、人間はレベルが上がるたびに能力が上がっていくのです。その割合は、ダンジョンではレベル5のたびに1%、ダンジョンの外ではレベル10のたびに1%ボーナスがつきます。現在の私のレベルは288、握力は106、そこに57%の補正がついてますので現在の握力は163あります」

「…………なるほど……」

「…………」

適當に相槌を打つ。

そんな俺をジッと山は見てくる。

そして回りで落花生を職人蕓のように掘り、鍬で落花生の殻を割っていた主婦は、俺たちに目もくれず落花生からモンスターコアを取り出すのを再開していた。

さすがは、主婦の皆様。

マイペースには定評がある。

仕方ないな、ここは演技をして何とかするしかなさそうだ。

「たしかに! これ固いですね!」

俺は、両手で殻を砕くふりをしながら砕けませんよアピールをしつつ、リュックサックから鍬を外し鍬で殻を砕きながら山の方をチラリと見る。

相変わらず山の鋭い視線が背中に突き刺さってくる。

これはしばらく、細心の注意を払って行するしか無さそうだ。

「いやー、一個目は偶然、殻を素手で砕けましたけど、それ以降は駄目ですね。さすが、ダンジョンの落花生と言ったところでしょうか?」

我ながら苦しい言い訳だと思うが、それ以外に言う言葉がない。

それにしても、ステータスは初期化しているのに、どうして素手で砕けたのか……。

――スキル「大賢者」が発しました。

大賢者が発したってことは嫌な予しかしない。

俺は、視界に表示されているステータスの項目を急いで選ぶ。

ステータス

名前 山岸(やまぎし) 直人(なおと)

年齢 41歳

長 162センチ

重 71キログラム

レベル1(レベル449)

HP 10/10(4490/4490)

MP 10/10(4490/4490)

力17+〔152〕(+)

敏捷15+〔134〕(+)

腕力16+〔143〕(+)

魔力 0+〔+0〕(+)

幸運 0(+)

魅力 2(+)

▽所有ポイント 390

ステータスに分からない項目が追加されいるぞ……。

このステータスの橫についているカッコに囲まれた數字は何だ?

唐突に視界に半明なプレートが開きログが流れる。

――スキル「大賢者」が回答します。

――山岸直人には、基礎ステータスを基準としてレベル1につき2%のステータス補正がつきます。

それだけログが流れると半明なプレートは最小化する。

つまり、山の場合にはLV5につき1%のステータス補正がつくが、俺の場合はLV1ごとに2%の補正がつくということなのか?

まてまて、山の腕力が53で、握力が106ってことは……。

ステータス:腕力の2倍が握力ということになる。

つまり、俺の握力は……、159の2倍になるわけだから……、握力318キロ!?

もはや人間をやめて猿の領域に足を踏みれているぞ!? たしかオランウータンの握力って400キロくらいだったよな?

…………と、とりあえず落ち著こう。

まずは山のステータスを見て確認だ。

ステータス

名前 山(やまね) 昇(のぼる)

職業 軍人 ※陸上自衛隊2等陸尉、報調査室所屬、日本ダンジョン探索者協會所屬特殊戦隊班

年齢 48歳

長 177センチ

重 65キログラム

レベル288

HP2880/HP2880

MP2880/MP2880

力47(+)

敏捷41(+)

腕力53(+)

魔力 0(+)

幸運 6(+)

魅力 7(+)

所有ポイント287

何も書いてない……。

どうなっているんだ?

スキル「解析LV10」どころかスキル「大賢者」も仕事をしていないぞ!?

――スキル「大賢者」が回答します。

――山岸直人以外のステータス付與に関しては、私の管轄外になるため參照できるのはステータスのみとなっています。

――それと、私は最適な仕事をしているため、無職の貴方に何かを言われる義理はありません。

ずいぶんと辛辣な答えが……、俺だって好きで無職をしているわけではないのに……。

それと話し方に意志があるように思える。

気のせいだと思うが……。

「団長! 大変です!」

俺がステータスを確認し終えたところで、ホールに人が走り込んできた。

服裝から見て日本ダンジョン探索者協會の人間のようだ。

息を切らしていることから余程のことがあったと推察できるが……。

「どうした?」

「大変です! 本日、一番にダンジョンへ降りていった探索者パーティから連絡があり、地下9階にて所屬不明の集団から攻撃をけていると報告が本部にりました」

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