《【書籍化作品】自宅にダンジョンが出來た。》在りし日の彼方(2)
「先輩……? ――って」
凜が、私と黒の獣を互に見る。
「……も、もしかして……あ、あれが……山岸さんなんですか?」
「そうよ」
私は、相沢凜に返答しながら魔法を展開していく。
山岸先輩の力は圧倒的。
おそらく私の魔法では數秒しか時間を稼ぐことは出來ない。
それでも、山岸鏡花さんが私の魔法を使ったときに得た経験から、どれだけの魔法を同時に展開できるのか――、どういう構で魔法を使っていいのかが分かる。
「――何となくですけど……」
私が予測していたよりも、彼――相沢凜というは、私の言葉を理解し呑み込んでいるのか、その言葉は落ち著いていた。
「なんとなく人とは違うかな? って、思っていました」
「そうなのね。それでは凜! 私が、山岸先輩の行をしでも止めて見せるから――」
「――で、でも、どこを攻撃すれば……」
そう、問題は、どこを攻撃すればいいのか? と、言う點。
すでに山岸先輩は、人とはかけ離れた姿――、そして存在になってしまっている。
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――『心の臓を抜け』
唐突に降ってくる言葉。
それは、山岸先輩と同一人の聲ではあったけれど、私が知っている山岸先輩の聲ではないことは直で分かった。
おそらくだけど、その聲は――、星が瞬く場所で出會った人の聲。
「今の聲は!?」
「凜も聞こえたの?」
「はい!」
「なら、私が時間を作って見せるから」
魔法を同時に発させようとしたところで、視界に無數の半明のプレートが開く。
――大賢者がサポートします。
――全魔法アビリティを再設定。
――システムの構築を開始……構築終了。
「これって……山岸鏡花さんの……」
そう呟いたと同時に、視界に黃のプレートが開く。
そこに流れていくログは、強化している私でも殘像が掛かるほど早く一切、読み解くことができない。
それでも、鏡花さんが力を貸してくれていることはできた。
「いくわよ!」
「はい!」
凜が、黒の狼と化した山岸先輩へと突っ込む。
それを私は目で追いながら――。
「疾風疾走」
私が知らない魔法が――言葉が――、口から零れると相沢凜のが緑のに包まれ一気に加速する。
それは私が先ほど使っていた強化魔法とは一線を畫すもの。
「ガルルルッル」
超スピードで近づいていく相沢凜を敵として認識したのかを數倍に膨らませた黒の獣である狼は尾を橫薙ぎに振るう。
「多重積層魔法グラビディ!」
無數の魔法を同時に発させることで、まったく違う魔法を作り出す。
超重力が、橫薙ぎに振るわれた狼の尾を地面へとい付ける。
「ガアアアアア」
突然の橫やりに、苛立ちを募らせた獣は私の方へと顔を向けてくると口を開く。
その咥には、高速で黒い粒子が集まっていく。
――質量崩壊粒子砲の起を確認。
――対粒子砲の防スペルの構築を開始。
――構築終了。
――魔法陣の構を開始。
――魔法を起。
無數のログが一瞬で流れると同時に私の前方には無數の半明の壁が幾つも作られていく。
それと同時に、私は膝つく。
「何て……魔力の消費量……」
心臓の鼓が早鐘を打っていて意識を保つのもやっと。
そんな中、獣が放った黒の咆哮は、大賢者である鏡花さんが作った防魔法を次々と貫通していく。
そして殆どが貫通され最後の一枚にヒビがったところで――、黒の獣の絶が周囲に響き渡る。
目を凝らして見れば――。
「私の存在を見て見ぬ振りですか? 山岸さん!」
怒りのあまり、私に攻撃を仕掛けてきていた黒の獣と化した山岸直人さんの心臓部に、相沢凜が攜えていた日本刀が深く突き刺さっていた。
- 連載中34 章
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