《妹はこの世界でただ一人の味方》お兄ちゃん
私には義理の兄がいます。再婚した父親の子供で私より4歳上です。しばらくは家族みんなで楽しく過ごせていました。
しかしそんな日々は唐突に終わりを告げました。お父さんは心筋梗塞で亡くなりました。それと同時に私の母親もいなくなりました。いながらも私は母親がお父さんのお金目當てで結婚した事をその時知りました。
私にとって再婚する前の父親は暴力やタバコ、酒を飲むだけの害蟲みたいな存在でした。それと比べるとどうしても素晴らしいお父さんに見えていました。だから私はしばらくの間ショックで泣いていました。
私も死のうかな?と考えている時に助けられました。それが兄です。私が泣いている間も産の話をしたり、建を買うときの親代りを親戚に頼むなどいろいろな事をしてくれました。
きっと本人が一番泣きたいはずなのに、泣きたりてないはずなのに私をめてくれました。
「いっぱい泣いていいんだよ。俺はずっとそばにいるから。何かあったら頼ってくれ。今は辛い。だからお互いができる事をしよう。今は俺が結をめる事ができるからな。」
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そう言って私を抱きしめて何度も「大丈夫だよ。大丈夫だよ。」と言ってくれたのを今でも忘れません。
そして月日は流れ、今は兄と二人で住んでいます。昔と比べると小さい家。それでも私はこっちの家の方が好きです。
「おはよう! 結。 今日も可いな! お兄ちゃんって呼んで!」
「おはよう。それと呼ばないから。」
つい冷たくあしらってしまいます。本當は・・・お兄ちゃんって呼びたいのに。いざ言うとなると恥ずかしくて言えません。
「なぁ結。最近學校どうだ?」
「普通。」
「それは何よりだな。」
私にとってこの何でもないやりとりは一番好きな時間です。お兄ちゃんはこんな面倒な妹で嫌な時間を過ごしているかもしれませんが・・・。
「「いただきます」」
しばらく無言で食べていましたが、お兄ちゃんが口を開けました。
「味しいか?」
「味しい。」
「それは良かった。」
この言葉に偽りはありません。コンビニやレストランの食事よりお兄ちゃんが作った料理が味しいです。
朝食を食べ終わると私は學校に行く準備をしてましたが、頭にふと思い浮かんだ事があったので聞くことにしました。
「ねえねえ。ちゃんと學校行ってるの?」
というのも制服を見ないからだ。まあ私が洗濯する機會がないから見ないだけなのかもしれないけど。
「ん?いきなりどうしたんだ結?學校やめて俺と結婚したいのか?」
結婚。・・・結婚かぁ。お兄ちゃんとなら結婚していいんだけど、今言うのも変な気がする。
「ふざけないで。そうじゃなくていつも私より出る時間が遅いから。」
「家事を終わらせてるだけだよ。學校にはちゃんと行ってる。」
よかった。私の勘違いか。
「なら良かった。學校の友達は大切だからしっかり作ってね。」
友達・・・私には縁のないをお兄ちゃんには作ってもらわないと。
「もちろん。でも結だけいればいいんだよなぁ。」
それはこっちのセリフだよお兄ちゃん。私もお兄ちゃんだけいればいい。でもそれを私は言えない。
「はいはい。行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
さて學校です。さっさと卒業したいです。もう高校までの予習も終わらせているので中學の授業がつまらないです。・・・お兄ちゃんとなら楽しいんだろうな。
そう言ってバッグの中を見た。
その中には結が隠し撮りした兄の寫真が。結はカバンの中には教科書が一切っておらず、兄の寫真がただただあるだけ。教科書は全て學校に置いてきてある。
あぁ。お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん。
學校の男子はお兄ちゃんみたいにカッコ良くないです。子は底辺です。毎日のように告白される私を見て妬んで、イジメと同じレベルのことをしてきます。まぁを隠されたり、機に落書きされるなど私のとかに傷をつけるものでなければ何でもいいんですけどね。
隠されたものは見つけ出すし、落書きは無視するだけなんで。
もう校門まで來てしまった。はぁ。もっとお兄ちゃんを見てたかった。・・・嫌ですけど行きますか。
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以下作者のコメント
キリが良くなったのでここで一旦終わりにしました。次は結の學校生活を書こうと思います。ていうか書きます。
明日更新しようと思います。
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