《【完結】辛口バーテンダーの別の顔はワイルド曹司》20.新居探し
「道香、そろそろ11時だぞ」
「んー」
髪をでる手が気持ち良くて道香は未だ微睡んで甘えた聲を出す。
「もう一日抱き合ってても俺は構わないぞ」
「……起きる」
ククっとを鳴らして笑うマサのおでこを叩くと、その額に掛かる髪を掻き上げておはようとキスをする。
「シャワー浴びてこい」
「うん」
マサに言われてベッドから立ち上がると、ベッドのそばに散らばった服や下著を掻き集めて、何も著ないままバスルームへ向かう。
その後ろ姿に刺激されて、マサがバスルームに駆け込んだのは言うまでもない。
シャワーを済ませて時計を見ると12時半になっていた。
「もう!なんでシャワーくらい普通に浴びさせてくれないの」
「煽ったお前が悪い」
マサは反省した様子もなく、冷蔵庫から取り出したペットボトルを道香に投げて寄越すと、昨夜の殘りを捨てるのは勿無いとレンジで溫め直して、箸と一緒にリビングに持ってきた。
「そんなに食べないだろうけど、出る前に食べとけば、家見て回るのに集中できるだろ」
Advertisement
「うん。いただきます」
「おう」
ご飯を食べながら、住むとしたらどの辺りかエリアを固定して、マサのノートパソコンでセキュリティがしっかりした新築のマンションを探す。
「さすがに億単位は厳しいけど、気になるところがあれば全部見に行こう」
「二人で住むのに億単位はないでしょう」
「便利なとこは相場も高いからな」
一生住むつもりで探せよとマサは道香に何気なく言う。それは結婚や家庭を想定しろということだろうか。
念のため、保育園や學校、病気やスーパーなど、近場に便利に使えるスポットがあるかも目を通して件を探す。
ハンバーグをパクつきながら、道香は何件か希の件をピックアップしてお気にりに追加する。
「高政さんは探さないの?」
噛んでいたを塊ごと飲み込んだらしく、慌てて水を飲むと、マサは顔をしかめて道香を見る。
「急に名前呼ぶなよ」
「マサが良いならそう呼ぶけど」
「どっちでも良いけど急に呼ぶな」
「じゃあ、マサさん」
「呼ばねえのかよ」
マサは小さく笑うと、ノートパソコンを覗き込んで、道香が見ていた価格帯よりも上限を上げて検索し始める。
「寢室とお互いの仕事部屋?私置き場?で3LDKだと広いか?」
「んー。確かに仕事持ち帰ったり、集中したい時は自分の部屋があったら良いけど、2LDKでも充分かな」
「まあ、家族が増えたらその時考えれば良いか」
やっぱり。と道香はマサの気の早さに驚きながらもじんわりと心があたたかくなる。
「當面、二人で住むのに必要なスペースで考えたらここくらいでも充分だけど」
「セキュリティがな。最低でもコンシェルジュが常駐してるタイプかな」
「ハードル高いね」
「當たり前だろ。お前が住むのに」
確かに々不安要素はあるので、セキュリティは萬全でないと困るのは確かだ。
道香は改めて気を引き締めると、マサと一緒に畫面を見つめて件を検索する。
「そういえば道香、スマホとか見ないで大丈夫なのか?」
「ああ!忘れてた。ありがとう」
カバンからスマホを取り出すと、メッセージが數件っている。大半はめぐみからだ。
心配してメッセージをくれていたのに、気を失うまで抱き合ってて気付かなかったとは言えない。すぐに返信を打って家探しをしてくる旨を伝える。
「道香、親さんにいつ挨拶に行けば良い」
「え?」
「同棲だろうが同居だろうが、いくつになっても大事な嫁り前の娘だろ。素も分からん男と住むのは心配すると思うぞ」
「まあ、確かに」
一人暮らしをして、ちょっとは経験もあるが、こんな気遣いをけたのは當然だが初めてだ。二百萬のクズ男とは大違いだ。
道香が一人でブツブツ呟いていると、その様子を面白そうに見ながらマサが聲を掛ける。
「なんなら今日行くか?」
「それを言うならマサさんのご実家にも挨拶くらいしないと」
「來てくれるならいつでも良いぞ。平日の仕事終わりとかの方が逆に親も揃ってるし」
「そうか、忙しいお立場だもんね」
「まあな」
「じゃあちょっと、親に連絡してみるね」
そのままスマホのメッセージで母親の慶子に連絡する。すると秒速で電話が鳴った。
「う、お母さんだ」
「出ろよ」
「……うん」
道香は盆休み以來実家に帰っていない。たまにメッセージのやり取りはしているが、そういった會話はしたことがなかった。
「もしもし?」
『ああ、道香?何よ急に、アンタ盆休みにはそんな人居ないそぶりだったじゃない』
「逐一報告しないよー」
『まあ良いわ。挨拶もなしに何も言わないで勝手に同棲し始めるような相手じゃないだけ安心よ』
「うん。それで彼、忙しい人でね。もし今日大丈夫なら挨拶に伺いたいって言ってくれてるの」
『また急ね!と言うことは、もう引っ越しの話が固まってるのね?』
「うん。近いうちにあの家はもう出るよ」
『そうよねえ。短大の時に借りたから長いこと住んでたわよね。そう言えばアンタ知ってる?めぐみちゃんお見合いするらしいわよ』
「本人から聞いてる。ねえ、話線してる。今日、夕方以降になると思うけど大丈夫?」
『あらごめんね。そうね、ちょっと待って。(お父さーん、道香が彼氏紹介したいって!そう今日。大丈夫?ははは、そうね。)お待たせ。大丈夫よ』
「分かった。じゃあ行く前にまた連絡するから」
『はいはい。気を付けていらっしゃい。お父さんにはお母さんから説明しとくから』
じゃあねと電話が切れた。
「會話丸聞こえだった」
マサは笑っている。
「電話口でお父さんに大聲で話し掛けるんだもん、本當大雑把で」
「明るそうなお母さんだな」
「めぐみタイプのチャキチャキ系だよ」
「それ聞くと張するな」
「ははは、そんなに苦手?」
「アイツいつも喧嘩腰だからな」
「仲良くなればまた変わるって」
「道香の親友だろ、関わらないわけにもいかないからな」
マサは大きな溜め息を吐いて苦笑いする。
時計を見るともう14時前だ。道香は慌ててご飯を食べ終えると、著替えてメイクを整える。マサもその間、食べ終えて出たゴミを片付けると、道香とれ替わりで著替えを済ませて、バスルームで髪を整える。
マサは白のドレープTシャツに黒いジャケットを羽織り、下にはセットアップのズボンを履いている。
「挨拶に行くのにこれじゃカジュアル過ぎるか?」
「結婚報告じゃないから、その時にパリッと決めてくれたら大丈夫だよ」
道香はアイボリーのリボンタイシャツの上にベージュのジャケットを羽織り、下には黒のサイドプリーツスカートを合わせた。
「結婚報告か、早くできると良いな」
「まあ今日のところは彼氏の紹介と同棲の報告ね」
「自分で言い出して張して來たわ」
「頑張れ専務!」
「茶化すなよ」
マサは笑って道香の頭をくしゃっとでると、そろそろ出るか?と支度が済んだか確認する。道香がそれに答えると、おもむろにスマホを取り出して電話を掛けると、誰かのアポを取っているようだった。
「どうしたの?」
「見て回る足がいるし、不産関係の仕事してるやつに頼んだ」
「わあ、セレブ」
「たまたまだよ。セレブって言うな」
道香は夜に荷を取りに戻ることにして、カバンだけを持つと玄関に向かう。
マサは先程目星をつけた件のデータをタブレットに転送すると、トートバッグにそれをれて玄関で靴を履く。
気を付けるに越したことはないからと、マサが先に家を出て、安全を確認してから道香を外に出す。鍵を閉めるとエレベーターに乗り込み、マンションの下まで降りてエントラスを抜ける。涼やかで心地の好い風が吹いている。
「10分も掛からないから、散歩気分で歩くか」
「うん」
手を繋いでマサの知り合いが務める売買専門の不産屋に向かう。
後は野となれご令嬢!〜悪役令嬢である妹が婚約破棄されたとばっちりを受けて我が家が沒落したので、わたしは森でサバイバルすることにしました。〜
「すまん、我が家は沒落することになった」 父の衝撃的ひと言から、突然始まるサバイバル。 伯爵家の長女ヴェロニカの人生は順風満帆そのもの。大好きな婚約者もいて將來の幸せも約束された完璧なご令嬢だ。ただ一つの欠點、おかしな妹がいることを除けば……。 妹は小さい頃から自分を前世でプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢であるとの妄想に囚われていた。まるで本気にしていなかった家族であるが、ある日妹の婚約破棄をきっかけに沒落の道を進み始める。 そのとばっちりでヴェロニカも兵士たちに追われることになり、屋敷を出て安全な場所まで逃げようとしたところで、山中で追っ手の兵士に襲われてしまった。あわや慘殺、となるところを偶然通りかかった脫走兵を名乗る男、ロスに助けられる。 追っ手から逃げる中、互いに惹かれあっていく二人だが、ロスにはヴェロニカを愛してはいけない秘密があった。 道中は敵だらけ、生き延びる道はたった一つ。 森の中でサバイバル! 食料は現地調達……! 襲いくる大自然と敵の兵士たちから逃れながらも生き延び続ける! 信じられるのは、銃と己の強い心だけ! ロスから生き抜く術を全て學びとったヴェロニカは最強のサバイバル令嬢となっていく。やがて陰謀に気がついたヴェロニカは、ゲームのシナリオをぶっ壊し運命に逆らい、計略を暴き、失われたもの全てを取り戻すことを決意した。 片手には獲物を、片手には銃を持ち、撃って撃って擊ちまくる白煙漂う物語。 ※この物語を書く前に短編を書きました。相互に若干のネタバレを含みます。またいただいた感想にもネタバレがあるので読まれる際はご注意ください。 ※続編を別作品として投稿しておりましたが、本作品に合流させました。內容としては同じものになります。
8 54同期の御曹司様は浮気がお嫌い
付き合っている戀人がいきなり他の女と結婚して、相手が妊娠したと告げられた。 真面目に付き合っていたはずなのに不倫扱いされて會社に居場所がなくなり、ボロボロになった私を助けてくれたのは同期入社の御曹司様。 「君が辛そうなのは見ていられない。俺が守るから、そばで笑ってほしい」 強引に同居が始まって甘やかされています。 ◇◆人生ボロボロOL × 財閥御曹司◆◇ 甘い生活に突然元カレ不倫男が現れて心が亂される生活に逆戻り。 「俺と浮気して。二番目の男でもいいから君が欲しい」
8 165俺の隣の席の人が毎日違うのですが?
俺の隣の席の女子は何故か毎日違う人がくる。 青髪ポニーテール、緋色ショート、金髪ロング×2黒髪の本人 そして月曜になったらまた最初に戻るを繰り返している。なのに誰にも気がつかれていない彼女達 これはそんな彼女達と俺との日常
8 174愛される王女の物語
第2王女は生まれた時に母をなくし、荒れ果てた後宮で第1王女とその義母に虐められていた。 周りは彼女を助けない。國民はもちろん、國王や王子さえ… それは彼女の生存を知り得なかったから。 徹底的に義母が隠していたのだ。 國王たちは後宮に近づくこともしなかった。 いや、近づきたくなかった。 義母とその娘に會いたくなくて、出來るだけ関わらないようにしていた。 では、そんな中で育った誰も知らない第2王女を偶然に出會い見つけたら…?
8 160【連載版】落ちこぼれ令嬢は、公爵閣下からの溺愛に気付かない〜婚約者に指名されたのは才色兼備の姉ではなく、私でした〜
アイルノーツ侯爵家の落ちこぼれ。 才色兼備の姉と異なり、平凡な才能しか持ち得なかったノアは、屋敷の內外でそう呼ばれていた。だが、彼女には唯一とも言える特別な能力があり、それ故に屋敷の中で孤立していても何とか逞しく生きていた。 そんなノアはある日、父からの命で姉と共にエスターク公爵家が主催するパーティーに參加する事となる。 自分は姉の引き立て役として同行させられるのだと理解しながらも斷れる筈もなく渋々ノアは參加する事に。 最初から最後まで出來る限り目立たないように過ごそうとするノアであったが、パーティーの最中に彼女の特別な能力が一人の男性に露見してしまう事となってしまう。 これは、姉の引き立て役でしかなかった落ちこぼれのノアが、紆余曲折あって公爵閣下の婚約者にと指名され、時に溺愛をされつつ幸せになる物語。
8 104私たち、殿下との婚約をお斷りさせていただきます!というかそもそも婚約は成立していません! ~二人の令嬢から捨てられた王子の斷罪劇
「私たち、ハリル王子殿下との婚約をお斷りさせていただきます!」伯爵家の姉妹フローラとミルドレッドの聲がきれいに重なった。王家主催の夜會で、なんとハリル王子に対し二人の姉妹が婚約破棄を申し出たのである。國王も列席する場で起きた前代未聞の事態に、會場はしんと靜まり返る。不貞を働いたことを理由に婚約破棄を申し渡したはずのフローラと、心から愛し合っていたはずの新しい婚約相手ミルドレッドからの婚約破棄の申し出に、混亂するハリル王子。しかもそもそもフローラとの婚約は受理されていないと知らされ、ハリルは頭を抱える。そこにハリルの母親であるこの國の側妃アルビアが現れ、事態は運命の斷罪劇へと進んでいく。 一風変わった婚約破棄からはじまる斷罪ざまぁストーリーです。 ※お陰様で、11/16(午前)現在、ジャンル別日間24位・総合日間35位です。ありがとうございます!引き続きお楽しみいただければ幸いです。 ※この作品はアルファポリス、カクヨム等他サイトでも掲載中です。
8 66