《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第9話

「なかなか見つからないな……」

錬金を作るには魔石が必要になる。

前回は運よく冬眠中の蛙の魔を見つけ、仕留めることで難なく魔石手にれたが、同じことを期待して今日も転がってる石をどかしてカエルを探すが見つからない。

釣りに使う餌が増えるだけだ。

「これだけ人の気配がしないってことは、もしかして近くに人は住んでいないのか?」

魔石を手にれるため、拠點を中心にしずつ行範囲を増やしていっているが、いまだに人の気配が全くない。

拠點の近くには人が住んでいない可能が高いようだ。

冬眠中だから魔なく、もしかしたら住処には適しているのかもしれない。

ある意味運が良かったのだろうか。

人や魔ないのは、戦闘力に不安が殘る今のケイにはいいことだが、春になったら野草が取れ、食材になる捕まえやすい魔がいてほしいところだ。

まあ、それももう2~3週間ぐらいしたら分かることだ。

「従魔がほしいな……」“ビクッ!”

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ケイは獨り言のように呟いた。

それにポケットの中のキュウも反応する。

先程も言ったように、もうししたらここは春。

今のケイにとっては重要食材のじゃがいもを、拠點の側に畑をつくって植えようと考えている。

しかし、拠點周辺の探索をもっとしたいし、今メインの食材となっている魚も數日おきに釣りにもいかなくてはならない。

拠點から離れているに魔に掘り返されたら堪ったもんではない。

その間の見張りをしてくれる従魔が必要だと考えていた。

「あまり強いと俺が危ないし、かといって弱いと他の魔にすぐやられちゃうだろうし……困ったな」

前世でも松田家では犬を飼っていた。

それに、異世界といったら狼系の魔が出てくる作品が多い。

モフモフも期待できるし、やっぱり犬や狼系の魔を従魔にしたい。

「ん?」

“ウルウル……”

犬や狼系の魔を従魔にしたいと考えていたケイのポケットの中で、キュウが自分を見上げながら大粒の涙を溜めている姿が見えた。

「どうした?」

何があったのか分からないケイは、ポケットからだした手のひらの上のキュウに問いかけた。

「…………もしかして捨てられると思ったのか?」

“……コクッ!”

考えてみたらさっきの獨り言を聞いていたのだろうか。

キュウが泣きそうになることといえば、ケイの保護から外されること。

そう考えて問いかけると、どうやら正解のようだ。

「大丈夫だよ。お前も大事な家族だ」

「っ!?」

ケイが軽くでながらいうと、キュウは嬉しそうな表に変わった。

“スリスリ”

ケイの発言がよっぽど嬉しかったのか、でていたケイの指にすり寄って來た。

神は18歳、ほぼ人。

サバイバル狀態の今を楽しんでいる部分もあるが、誰にも頼れない、魔や人間にいつ命を狙われるか分からない現狀に不安も盡きない。

フワフワなのキュウの並みは、ケイにとって唯一の心の安らぎになっている。

だから今更手放すつもりはない。

「……それはそれとして、従魔がほしいな……」“ビクッ!”

◆◆◆◆◆

「っ!?」

冬眠中の魔と従魔に出來そうな魔を探していたが、なかなか見つからないでいたケイの視界に、モゾモゾとが目にった。

「これがスライム?」

従魔といったらスライム。

姿次第で従魔にしようと考えていたケイだったが、はっきり言ってあまり可くない。

ドラ◯エのみたいな姿を期待していたで、F◯に近いのじの姿にケイの気分は萎える。

「っ!?」

スライムの方もケイの姿を確認したのか、移方向を変えてケイに向かって來た。

「わっ!? 思ったより速い!?」

初めての遭遇は、距離があって良かった。

大人ならば逃げ切れる速度かもしれないが、子供のケイでは逃げ切れるか怪しいところだ。

しかし、速いと言っても距離がある。

十分対処できる速度だ。

「ハッ!」

スライムが迫るがケイは慌てない。

毎日の練習を思い出し、しっかり集中して魔力を手に集める。

っぽいのスライムなら火が効くだろう。

そう判斷したケイは魔力を火に変え、火事にならないように、しっかり樹々と距離がある場所まで來たところで火の玉をスライムに発した。

スライムもケイがこれほどの魔法を放つとは想っていなかったのか、避ける間もなく著弾した。

著弾したスライムは、あっという間に蒸発し、あとには小さい魔石が殘っていた。

「魔石ゲッツ!」

スライムの姿は殘念だったが、ようやく魔石を1個手にれられた。

ケイは嬉しくてテンションが上がった。

「おわっ!?」

1日費やして1個ではわりに合わないので、せめてもう1個と冬眠中の蛙を中心に探していたのだが、蛙と同じく冬眠中らしい魔を発見した。

セルピエンテと呼ばれる蛇の魔らしい。

とぐろを巻いているが、結構でかい。

「……カエルよりありそう」

たった數日でケイもたくましくなっているようで、蛇が完全に食材扱いになっていた。

蛙と同様に、蛇も冬眠中らしくかない。

「やっ!」

寢ていてかないのを好機とみたケイは、慎重に近付き、頭にナイフを一突きした。

見事に脳天を突き刺したことで仕留められ、魔法の指に収納できた。

「よし! 今日はもう帰ろう」

冬眠中の魔とは言っても、あまり張って怪我はしたくない。

今日の所はここまでにして、ケイは拠點に帰ることにした。

「蛇は毒がありそうだからちゃんと鑑定しないとな」

蛙よりも、蛇の調理は気分的には楽だった。

魚が捌けるのだから、ケイは蛇をウナギだと思うようにして捌いた。

鑑定したら毒はないらしく、どうやら食べられるようだ。

皮と臓は、捨てるならとキュウがしがったのであげることにした。

見たじ、毒はないけど不味そうだ。

もしかしたら、ケイ同様いつ食事ができるか分からないことを想定して、キュウが何でも食べるようにしているのかと思った。

“モグモグッ!”

普通に食べてる様子を見ると、キュウは関係なく臓が好きなのかもしれない。

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