《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第13話

この世界の生は、特殊な質でもない限り魔力を有している。

原理としては、空気中の魔素を吸収し、それがで魔力に変わり、その魔力で魔法を使えるらしい。

そして、生の種類によって魔力をにとどめておける容量は違い、同じ人間でも生まれながらにその量は違う。

魔力を使わずにいて容量を越えた魔力は、自然と空気中のに霧散してまた魔素に代わる。

その容量は、魔力を使ったり、コントロールをすることを繰り返し行うことで、しずつ増えていく。

増えると言ってもほんの僅かずつなため、地味で地道な努力が必要になってくる。

そういった地道なことが苦手な者は他にも方法がある。

理由は解明されてはいないが、生を殺すことでも容量は増えるらしい。

ゲームならレベルアップで片付けられるが、今のケイにとっては現実のことなので頭にれておかなければならない知識だ。

そして、それは魔でも同じと言われている。

つまり、キュウも同じ。

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ケイに魔力があると教えてもらったキュウは、それからはずっと魔力をコントロールする練習をしている。

まず、始めにの魔力をじ取り、それができてからかす訓練をするのだが、キュウとは言葉がわせないので、ちゃんと魔力をじ取っているのか分からない。

食事や睡眠、そしてケイに遊んでもらえる以外の時間を練習に當てているのだが、一向に魔法が使える気配はない。

“コテッ!”

「ん? またか? キュウ」

これで何度目になるだろうか、ポケットの中のキュウがかなくなっていた。

魔力の枯渇などではなく、疲労による気絶だ。

最初この姿を見た時、死んでしまったのかと思ってとんでもなく慌てたものだ。

「あんまりを詰めるなよ。確かにお前にも魔力はあるけど、相當な期間練習しないと使えるようになるとは思えないからな」

目を覚ましたキュウは、ケイに注意をけてしょんぼりしている。

キュウにも魔力があることは分かっている。

しかし、それはほんとに微弱、かなり注意して見ないと気付かないほどだ。

ケイでも魔法で火を出すのに一定量の魔力が必要だ。

まずは魔力をコントロールできるようになって、使える容量を増やさないと使えるようにはならないだろう。

魔力の容量を増やすには、容量を超えた魔力が外に出て行くのを抑え、にとどめておくようにするだけだ。

容量を越えた魔力がにあると、皮がびるように最大容量がほんのすこし増える、

それを毎日繰り返すことでキュウでも魔法を使えるようになると思っている。

ただこの練習は地味で結果が分かりにくい。

しかも、かなり集中しないといけないので神的疲労を伴う。

ケイも毎日練習しているが、疲れるので寢る前にやるようにしている。

「気長にやった方が続くと思うぞ」

“…………コクッ!”

ケイがでながら優しく言うと、キュウもゆっくり頷いた。

それからキュウは、気絶しない程度の練習に変わっていった。

キュウの練習果はまだ見えないが、ケイの方の探知は結構上手くなってきた。

というのも、はっきり言ってアンヘルのおかげだろう。

アンヘルが基礎練習をしっかりしていたからこそ、こういった応用的な技がすんなりと習得できているのだとケイは思っている。

その探知を利用して、今日は海藻の手をできないかを試しにきた。

海は目の前に広がっているので、中にって取れば海藻はすぐ手にる。

しかし、この周辺は結構波が荒い。

5歳のこのると溺れそうで怖い。

それに、前世で溺れて死んだ記憶があり、まだちょっと海で泳ぐのは控えたい気持ちもある。

海岸から拠點までの探知はまだできないが、半徑2、30mくらいは広げられるようになった。

それを使えば淺瀬の海藻がどこに生えているか分かるはずだ。

「あった!」

海岸付近は見つからず、足場の悪い巖場に移して探知を試してみたら、何種類か海藻を発見することができた。

「とりあえず、取ってみよう」

パッと見たじ、ケイが海藻で分かるのはわかめだけ、このまま海にらず取れないか昨日考え付いた方法を試して見ることにした。

わかめにれている部分の魔力だけを作して切り取り、それをまた魔力を作して摑み、引き寄せるという考えだ。

「おぉ! 功だ!」

魔力の一部をちょっとだけ刃のように鋭くし、わかめを切り、それを魔力にくっつけるようにして引き付ける。

魔力を細かく変化させることは難しく、まだゆっくりしかできない。

しかし、相手が生きでもないので、ゆっくりでも充分。

ケイは海にらずわかめを手にいれることができた。

魚や貝だけの生活から一歩出だ。

「早速食べよう!」

テンションも上がり、ケイはこのままわかめを食べようと、塩ゆですることにした。

「おぉ!」

沸騰したお湯に洗ったわかめをくぐらせると、きれいな緑に変化した。

前世でよく食べていたワカメだ。

「……上手い! ……けど、ドレッシングをかけたい」

味いことは味い。

たが、前世ではみそやサラダでよく食べていたのでちょっと足りなさをじた。

それでも久々に味わうこの食は楽しい。

「できれば今度は昆布だな」

日本人なら出が飲みたい。

海藻が取れるなら昆布も取れるだろう。

ただ、昆布は結構海岸から離れた場所にあるのか、今回の探知には引っかからなかった。

もうし探知の練習して、屆く距離をばさないとだめそうだ。

「地道に練習だな……」

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