年が明けた。

ここは南半球なので、季節は春から夏になった。

「石臼ってどういう構造だ？」

錬金は便利だが、魔力を大量に使用するので１日に１回しかできないため、かなり使い勝手が悪い。

手にれた魔石で、大工道を幾つも錬したが、揃えるのに結構な日にちを要した。

その大工道も、島に流れ著く金屬がないため、のこぎりだけが錬できていない。

仕方がないので風魔法で切ったりしているのだが、コントロールを間違え、切りすぎたりすることがあるので、何か金屬製のが流れ著かないか待ちわびている。

それはさておき、天ぷらが食べたいケイは、食用の油を手にれようと、一生懸命菜種を集めた。

それはいいのだが、搾る道がない。

無ければ作ればいい。

ということで、作ろうと思ったが、石臼の構造がいまいち分からない。

そのため、錬金で作ろうとした場合失敗する可能が高い。

仕方がないので、ケイは筒を作り、棒で潰す方法でできないか試すことにした。

「このまま絞っていいのかな？」

ケイは菜種油の作り方なんて見たことがない。

しかし、ごま油の作り方はテレビで見たことがある。

ごまの場合、煎ったりしてから搾っていたいた気がする。

菜種も煎ってからの方が良いのだろうかケイは悩む。

量を試しに煎ってから潰してみた。

どうやら煎ってからの方が良いらしい。

筒にれて潰して濾す。

結構な量を潰したが、取れたのは小さじ一杯程度で割に合わない。

しかし、待の油を手にれられたのが嬉しくなり、同じ作業を繰り返して小さい鍋の底から２ｃｍ程の油を作ることができた。

「１回しかできないじゃん！」

かなり懸命に菜種を集めたのに、結果がこれでケイは落ち込んだ。

天ぷらで使ったら、一回で無くなってしまいそうだ。

「ちょっとだけ揚げてみるか……」

手にった量はないが、ずっと期待していたので、この島に來て初めての揚げを試すことにした。

魚では小さくても油に浸からない。

野草を素揚げしてみることにした。

「…………苦い」

子供の味覚だからだろうか、どれも苦みが強くじ、テンションだだ下がりでしかなかった。

これ以上使うのはもったいないので、菜種油は他の調理で使うことにした。

「……寢ちゃいそうだ」

大工道があれば、大工の技があるケイなら々作れる。

島で集めた木材を使い、サマーチェアを作った。

日除けも作り、その下の砂浜に置いたサマーチェアに座りのんびりしていると、だんだん眠くなってくる。

寢ている時でも探知ができるようになりたいところだが、そこまで魔力のコントロールは上手くなっていない。

なので、このまま眠たら危険でしかない。

最近は畑で野菜を育て、海で魚介類や海藻を手にれ、調査がてらに西に向かっては食になりそうな魔を狩って來る。

そんな、ゆったりした時間を過ごせるようになってきた。

島に流れ著いた時ガリガリだったケイのも、毎日十分な食事ができているため、普通の健康的な型になってきたと思う。

ゆったり座っているケイのすぐ側には、手製の竿掛け（ロッドホルダー）に竿がかけてある。

釣竿を投げ、手製の竿掛けに竿を掛け、日除けの下でサマーチェアで魚がかかるまでのんびりしている。

その様は、まるで夏休みに海を楽しむ海水浴客のようだ。

寢ることができないことだけが難點だが、贅沢な日々が送れるようになった。

西の陸地の探索を進め、どんな植が多いだとか、どんな魔がいるのかなどを地道に調べている。

ある日、豬型の魔を見つけた。

この世界の系の魔は、人間に狩られることが多い。

だからだろうか、めっちゃくちゃ強く進化している。

遠くから見ていたのだが、突進してスライムを散させているのを見た時はビビったものだ。

もしも、軽自車並みの大きさの豬が、迫って來たとしたらトラウマになりそうだ。

以前見つけた鶏といい、まだ戦わない方がよさそうだ。

遭遇する魔で一番多いのは、やっぱりダントツでスライムだ。

倒しても魔石だけしかメリットがないが、しいがあった時に錬金を行う用に集めている。

しかし、使い道もないのに集めていても、かさ張るだけでそのうち邪魔になりそうだ。

スライムだけでなく、蛇と蛙の魔にも良く遭遇する。

食料源になるのでちょっとうれしく、當初あった食べることへのためらいもなくなりつつある。

腕の発達した鶏（エルフの書で調べると、腕鶏と描いてあった）にも會うが、怖いのでまだちょっかいを出したことはない。

蟲系の魔も々いて、結構頻繁に會う。

倒して鑑定すると一応食べられるらしいが、見た目が見た目なので、魔石だけ頂いて食べることは遠慮している。

夏になり、々な植が青々と生えている。

ただ、雑草が多いのが殘念だ。

その中でも、桃の木を発見したのは嬉しかった。

々な蟲が集まっていて気持ちが悪く、魔法で追い払わなければならず、手にれるのに苦労した。

食べてみたのだが、手れのされていない植は大味くない。

水っぽく甘みがなかった。

これも手れすればもしかしたら味い桃ができるかもしれないので、育つかどうか分からないが１０粒ほど木の鉢に種を植えた。

もちろん、木の鉢は手製だ。

手にいれた桃は、水っぽいが甘みがしあるので果を煮てみた。

「……味っ！！」

水分が飛んでドロドロになったのを舐めてみたら、甘みを強くじた。

甘みの弱いジャムと言ったところだが、久々の甘みがうれしく、ケイは思わずんでしまった。

もっと作ろうと、ケイはしの期間桃集めに集中することにしたのだった。