《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第25話

“く~”

「っ!?」

花からの謝の言葉にケイが照れていると、花のお腹が可く鳴った。

その音をケイに聞かれてしまい、花の顔が真っ赤に染まった。

「お腹が空いてるみたいだね? 1日寢っぱなしだったから仕方ないよ」

雨が降り、1日拠點の中で過ごすことを余儀なくされたケイがかしに海岸へ向かった所、1人の人間が流れ著いているのを確認した。

この島には、年間數人の人間が流れ著く。

が海水で膨らんだ見るも無殘な土座衛門。

ケイが住み著いてこの10年、2人ほど息のある者が流れ著いたが、回復する間もなく息を引き取った。

海岸で橫たわる花をまた死かと思ってケイが近づくと、弱くはあるが息をしていた。

回復魔法をかけたり、回復薬を飲ませたりするとどうにか呼吸は安定し、そのままずっと眠ったままだった。

1日何も食べないでいたのだから腹が鳴るのは當然のこと。

そう思い、ケイは踵を返した。

「そのままちょっと待ってて、朝食がすぐにできるから」

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「ご、ごめんなさい」

そう言って、ケイは先程まで調理していた朝食を取りに外の竈へと向かって行った。

助けられた上に食事まで用意してもらい、申し訳なく思った花は更に顔を赤くしてめた。

「おいで! マル・・!」

“ピョーン!”

花の側にいた玉にケイが聲をかけると、その玉はケイの肩に飛び乗った。

そしてそのまま花を殘して外へ向かった。

「お待たせ」

「っ! ……これは日向食?」

ケイがお盆の上に料理を乗せて持ってきた。

の中の料理を見て、花は目を見開いた。

昔、子供の頃母が作ってくれた料理に似ていたからだ。

ケイからしたら良く食べる朝食で、赤米のお粥、野菜多めの味噌、出らかく煮た魚だ。

母がなくなってからは、この料理を作るための調味料がなくなってしまったため食べられなくなってしまったが、遠く離れた地で目にするとは思わなかった。

「……日向?」

ケイは、花が発した言葉に引っかかった。

どこぞのサッカー漫畫の猛虎の奴の名字のような響きだったからだ。

的に問いかけてしまった。

「……私の両親が生まれ育った國です。大陸の東にある小さな島國です」

「へ~……、そこの料理に似てるの?」

問いかけられた花は両親の顔が一瞬浮かび表が暗くなり、ワンテンポ間が空くように答えを返した。

ケイはその表に気付かず、というよりも気付いていたとしても興味が勝り、そのまま話を続けた。

「はい。しかし……、調味料は亡くなった母が作っていて、父と私は作り方が分からなくて隨分目にすることはありませんでしたが……」

『ワ~オ、ヘビ~……』

話が続くにつれて、花の表は更に暗くなっていく。

特に母と父の部分で深く。

それで、ケイは話の途中で花の両親が何かあったと気付いた。

空気が一気に重くなったようにじる。

そもそも、花の見た目は子高生ほどの年齢。

この世界だと15歳で人扱いらしいが、見た目的にはギリギリ人しているようだが、の1人旅とは考えにくい。

となると、アンヘル同様何かあったのかもしれない。

「…………とりあえず食べて」

「……はい」

“もきゅもきゅ!”“もきゅもきゅ!”

久々の人とのコミュニケーションだからだろうか、先に食事をしてから話せばよかった。

なんとなく重い空気のままの朝食になってしまった。

そんな2人を気にしていないように、黒い大小の玉が食事をしていた。

「……花は日向の言葉は喋れるのかい?」

食べ終わってもし空気が重いままなので、ケイはその流れを換えられないかと話しかけた。

「……々・・あって、片言なら……」

「……何でもいいから喋ってもらえる?」

々・・の部分が気になるが、會話を続けた。

『ワタシのナマエは、ミカデス』

花は簡単でベタな自己紹介をしてきた。

先程の々・・は、花が子供のころから追っ手から逃れる生活だったからだ。

最初の追っ手が日向からきた時、花は両親と3人で小さな村に住んでいた。

しかし、日向の人間は珍しく、追っ手は難なく居場所を突き止めることになる。

追っ手が迫っていることに気が付き、早々に村から逃走を計った。

それからは、なるべく日向の人間だと広まらないようにしようと家族で話し合い、花たちは大陸の言語を主とするように生活してきた。

それがあり、滅多に使わなくなったため、花は日向語がそれほど上手くなかった。

まだ日本にきて1、2年位の外國人が喋るような、イントネーションにし癖がある日本語だった。

『日本語!?』

「えっ!? ニホン?」

花の日向語に対し、久々の日本語を聞いたケイは、思わず反応してしまった。

しかし、花はケイの勢いある反応に、し気圧されたじで首を傾げた。

「……いや、何でもない」

その花の反応で、いくら何でも反応が過剰だったとケイ自も気付いて照れた。

「ところで……」

「ん?」

結局空気はあまり変わらないままだった。

花も耐えられなかったのか、ただ単に聞きたかったからだろうか、先程から転がったりして遊んでいる大小の玉に目を向けた。

ケイもそれにつられるようにそちらに目を向ける。

「あぁ、こいつらは俺の従魔で……」

説明するのを忘れていたケイは、大きい玉を右手に、小さい方を左手に乗せて花に見せた。

「大きい方がキュウで、小さい方はその子供・・?のマルだ」

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