《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第27話
腕鶏を仕留めた後、ケイはそのまま花との散歩を続けた。
「あっちに行くと豬の魔が群れを作っている縄張りにるから気を付けてくれ」
「豬……」
指を差しながらケイは花に注意を促す。
食材の選択を選ぶように言ってきたことを考えると、ケイは豬も倒せるのだろう。
豬型の魔は々な種類がいて、どれも食すと味いが、倒すにはかなりの実力が必要となる。
それを相手にできるということは、先程思った通りケイの実力は相當なものなのかもしれない。
「ここを行くとダンジョンに行きつくんだ」
「えっ? ダンジョンあるの?」
「うん」
もうすぐ8歳になるという頃、ケイはようやく豬を倒せるようになった。
何度か遠距離攻撃で倒せるかチャレンジしてみたが、何度も失敗して追いかけられたものだ。
10歳になる頃には、群れを相手にしても苦にならないほどに長した。
そうなったら島を自由にき回れるようになり、行ったこともない場所がないか島をき回った。
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腕鶏、豬の魔の領域、々な蟲が生息している森、その中央に地下へと向かう窟を発見。
それがダンジョンだった。
「見つけた時は大したことなかったんだけど、々育てているにかなり強い魔を出すようになってきたんだ」
「……育てた?」
この世界のダンジョンは、単純に魔と同じようなものという扱いになっている。
窟はのようなで、窟にって來た魔やを罠などで仕留め、吸収することで長すると言われている。
吸収した魔を窟を守る兵として使うこともあり、ダンジョン獨自の魔を作り出すこともある。
長すればするほど厄介な魔を作り出す。
豬を倒せるようになったが、ケイとしてはもしもの時のためにもっと強くなりたいと悩んでいた。
そのためには、もっと強い魔と戦う必要があったため、ダンジョンを発見した時にこれだとひらめいた。
ダンジョンを長させれば、自分も強くなれるのではないかと思ったのだ。
「そう思って々ここにれるようになったんだ」
「へ~……」
花はダンジョンには興味が無かったのでこれまで気にならなかったが、もしかしたら強くなるにはいい考えなのかもしれない。
ダンジョンに生きの死をれたら、どれほどの魔を出現させるのか、それを計算しながら長させれば、無理なく自分の強化ができるのではないだろうか。
「結構地道にコツコツ育てたんだ」
ケイも花が思ったのと同じように、無理なく強くなろうと窟には大したものをれないようにしてきた。
魚の骨や捌いた時に出る臓、腕鶏や豬の羽や骨や牙。
そんなしょうもないをれて育てた。
はっきり言ってゴミ捨て場みたいな扱いだ。
それらはキュウなら食べられるのだが、ほぼ毎日増えていくのでキュウが食べきれずにいたは料にしたりしていた。
ほとんど捨てるようななので、キュウは「何で?」といった表をしていたのが懐かしい。
「もうすぐ晝だし、そろそろ帰ろうか?」
そんな話をしながら晝近くになって來たので拠點に帰ることにした。
「花はこれからどうするんだ?」
「えっ?」
晝食をとり終え、ケイはふと思ったことを花に尋ねた。
よく考えたら、花は別にここに居続ける意味がない。
詳しい狀況は知らないが、他に目指す場所でもあるのではないか。
調も良くなったようだし、聞いてみようとケイは思った。
因みに、晝食は花と散歩中に手にれた腕鶏を使った鶏野菜炒めと赤米飯と海藻の味噌だ。
基本ケイの食事は一一菜が多い。
料理の腕もこの10年で上がっているので、よくできていると思う。
花も味しいと言っていたし……。
閑話休題
久々の人との會話でテンションが上がっていたのだろうか、花がここに住むかどうかわかっていないまま話を進めていた。
出て行くというのであれば船を造らなければならない。
それなら木材を集めるのにケイも手伝った方が良いだろう。
魔が良く出る範囲など把握しているのはケイだからだ。
「………………ここにしばらく置いてもらうことはできないかしら?」
「いいよ!」
しの逡巡した後、花はここに置かせてもらえないかと言って來た。
それに対し、ケイはあっさりと了承の返事をした。
「……隨分あっさりだけどいいの?」
「こいつらとだけの生活も別に良いんだけど、會話ができる相手がいるのも楽しいと思ってね……」
ここならしばらくは追っ手が來ることはない。
來たとしても船で近付いてくるしかない。
全方位見渡せるこの島なら、船の姿を見てから逃げても捕まらないはずだ。
ここにいて良いならそうさせてもらうが、ケイの答えはあまりにもあっさりとしすぎる気がした。
ケイへの疑念が沸くが、キュウたちと長閑に戯れるさまを見ていると、そんな考えも薄れていく。
「好きなだけいて良いよ」
花の中に々とケイへの疑問が沸き上がるが、とりあえずは靜かな生活ができる。
ならば、それでいい気がしてきた。
「……じゃあ、そうさせてもらうわ」
居て良いのならそうしよう。
自由に生きろと言うなら、自分の直を信じてみよう。
「ケイ・アンヘル…………アンヘル天使…………天の使いに期待しましょう」
手の上で弾むキュウたちを優しく見つめるケイに聞かれないように、花は小さく呟いた。
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