《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第32話

秋、花が増えたことでし拡張した畑も収穫が全て終わり、後は冬支度をするだけになった。

「ダンジョンはいつから行くの?」

花からしたら、待ちに待った冬といったところだろうか。

収穫が終わると、早々に問いかけてきた。

半年くらい前から始めた魔力のコントロールも上達し、短い時間なら魔闘を使えるようになった。

時折2人で魔を狩りに行くようになったが、元々花は剣の基礎ができているので、大きな怪我をすることもなかった。

「じゃあ、明日にでも行こうか?」

「ほんと? やったー!」

もしもの時のことを考え、ケイもレベルアップはしておきたい。

最初からそういう約束だったし、別に斷る理由もない。

許可が下りて花はとても嬉しそうだ。

「ダンジョンにる前に気をつけることってある?」

「細かいことだけど……」

花に聞かれたので、ケイは注意點を言っておくことにした。

まず、ダンジョンの最下層は15層。

10層くらいまで出てくる魔は、この島でよく見る魔がほとんど。

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下の層に行くと島では見たこともない魔に會うこともある。

見たことない魔の場合、結構強いので注意する必要があり。

「下の階層の方は豬なんかよりも強かったりするの?」

「いるよ」

最下層にはダンジョンの核があり、それを壊してしまうとダンジョンはただの窟になってしまう。

魔力を大量に溜め込んだダンジョンだったなら、1度や2度核を破壊されても核が復活することもあるが、ここのダンジョンはそんなことにはならないので壊さない。

「5層毎にボス戦があるから、絶対に部屋に1人でらないように」

「うん」

ダンジョン自しでも強い魔を作り出そうとしているのか、5層ごとのボス戦はいつも敵が変わる。

時折、んな魔を合しただけで、空回りした魔も出現する時があるが、ハマった時はとんでもない強さの魔が出現したりと當たりはずれがある。

もしも1人でって、強い魔に當たったりしたら危険すぎる。

ボス部屋は、大者がるとり口が閉ざされてしまうので、助けにることもできない。

なので、勝手に1人でるのは厳

「どれくらい中にってるの?」

「毎回日帰りだよ」

2人で行くのだから、代で休憩を取れば數日は籠っていられる。

そう思ったからだろうか、花は泊りで行くつもりだったのかもしれない。

しかし、ケイはそれを否定した。

「気にしながら戦わないといけなくなるから、キュウたちは連れていけない」

キュウとマルの強化する実験で、しずつだが強くなってきてはいる。

とは言っても、まだスライムを倒すことすらできていない。

連れて行きたいのは山々だが、危険すぎるので無理だ。

「拠點に置いていくから、ご飯を作りに戻らないと……」

「なるほど……」

花もそう言われて仕方ないと思った。

キュウたちにはいつも癒してもらっているので、危ない目には遭わせたくない。

しかも、結構食があるため、毎日食事を與えないと元気がなくなってしまう。

それに、連れて行ってもらえないので、キュウとマルはしょんぼりしているのをみると、何日も放って置くことは可哀想でできない。

「ダンジョンは外に出さないのが基本だけど、たまに牛型の魔が出た場合は別で」

「何で?」

味いから」

このダンジョンには、牛型の魔が出現する時がある。

もしかしたらケイがこの島に流れ著く前に、牛型の魔がいたのかもしれない。

それがダンジョンに侵して、吸収されたのだろう。

といっても弱いのか、出てくる頻度が低い。

ダンジョンに出現した魔も魔石を所持しており、それをダンジョン外に持ち出すとダンジョンが弱化する。

出現する魔の數や質が落ちて、レベルアップも滯ってしまう。

そのリスクがあるが、牛を食べられる機會は滅多にないので、だけダンジョンに吸収される前に回収している。

花は従魔を持ったりしないの?」

「従魔か~……、考えた事なかったな……」

従魔は自分のを守るために持つのが基本となっており、父から自分が強くなれば従魔はわざわざ持つ必要がないとよく言われていた。

しかし、この島にきてケイがキュウたちと戯れる姿を見ていると、別にを守るためでなくても従魔を手にれても良いのではないかと思うようになってきた。

ケイに尋ねられ、花はどうしようか思案しだした。

「狼系の魔もたまに出るから候補にれたら?」

牛と同様に、狼の魔も昔は居たのかもしれない。

ダンジョンの下層で群れを作っている場合がある。

発見した時は殲滅したが、従魔にするのも有りだとケイは思っていた。

「ケイはキュウちゃんたちの他に従魔にするつもりはないの?」

「キュウが悲しい顔するから諦めた」

昔からそうだが、キュウはやきもち焼きだ。

狼の発見時にもケイが従魔にしようかと思っていると、シュンとして元気がなくなる。

その顔を見ると、いつも諦めるしかなくなる。

マルが生まれてからは、他に従魔を増やそうとするのはもうやめることにした。

もしかしたらマルみたいに10年に1匹増えていくんじゃないかと考え始めたからだ。

ドンドン増えていった時の事を考えると、食事のことで頭が痛い。

強くしようと実験を始めたのも、自分で食料を手にれられるようになればその悩みが解消されると期待した部分もあった。

「ダンジョンのことで聞きたいことがあったら、何でも聞いてくれていいよ」

「わかった」

そうやって話を終えると、2人は翌日のダンジョンに向けて準備を始めた。

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