《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第49話
「アレシア!」
「はい?」
ある日のこと、あることを聞いたケイがアレシアに呼び掛けた。
トマトを収穫していたアレシアは、手を止めて振り向いた。
「村でパン屋をやっていたと聞いたのだが?」
「はい」
アレシアの家は家族でパン屋をやっていた。
ルイスの父も常連だったと聞いている。
ケイの問いかけにアレシアは頷く。
「作り方も分かるのか?」
「毎日見ていたので大分かります」
パンを作っていたのは基本父親で、アレシアは接客が基本だった。
しかし、小さい頃から父の作業を見てきたし、たまに作るのも手伝ったりしたことがある。
なので、作業工程は大わかる。
「おぉ、じゃあパンを作るのを手伝ってくれないか?」
「分かりました」
ケイは日本人の覚からか米が好きだ。
赤米とは言え、作り初めに比べれば大分味くなってきている。
しかし、たまに無にパンが食べたくなる。
たまに作っていたのだが、無発酵パン(インドのナン)のようなしかできないでいた。
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料理番組などで作り方の工程はなんとなく分かるのだが、問題は材料だ。
パンに必要なものといえば、小麥と酵母だ。
他によく聞くのがコーンスターチやらドライイーストなどと聞いたことがあるが、コーンスターチはたしかトウモロコシのでんぷんのことで、ドライイーストはイースト菌、つまりは酵母だ。
小麥の代わりには米、コーンスターチの代わりはジャガイモのでんぷん、つまりは片栗を使うことにする。
ケイもここまでなら分かっていたのだが、問題のパン酵母の作り方が分からない。
アレシアが言うには、同じ酵母でも醤油なんかとも違うでないとよく膨らまないそうだ。
「店ではどうやって酵母を作っていたんだ?」
「フルーツから作っていました」
聞いたところによると、他の店ではビールの酵母で作っている店が多かったようだが、アレシアの店ではフルーツで作った酵母を使っていたらしい。
「フルーツ……」
そういわれて、ケイは思い出した。
そう言えば、んなフルーツをビンにれて使った酵母を、パン作りに使っているというのをテレビで見たことがあった気がする。
パン作りなんてすることはないと思っていたので、しっかりと見ていなかった。
「これしかないんだが作れるか?」
フルーツと聞いてケイが持ってきたのは桃。
昔に見つけて育てているのだが、味はたいして向上していない。
相変わらず水っぽい。
しかし、砂糖を作る事もできない中で、この桃は結構重寶している。
搾った果を煮詰めると甘みが出るので、これを使って料理に使うようにしている。
料理によっては、桃の香りがどうしてもついてしまうのだが、気にしなければどうということではない。
「ん~……、難しいかもしれないですね……」
糖分を分解することで発酵するらしく、この水っぽいだけの桃だとちゃんと発酵するか分からないそうだ。
そうはいっても、この島で甘味といったらこの桃しかない。
「この桃の果を煮詰めたがあるから、これを足したらできるか?」
「そうですね。砂糖がないですから代わりになるかもしれません」
は試し、できなかったらちょっともったいなかったと思うしかない。
パンができれば食が広がる。
食に興味が無いという人間もいるが、ケイの中では考えられない。
・食・住で言えば、食が一番重要なのではないかと思っている。
しっかり食べていれば、住むところも探せるし作れる。
そのあとに服裝を気にするべきだ。
ケイの考えはともかく、桃の酵母づくりを始めた。
土魔法で作った蓋つきの瓶を作り、熱湯消毒してし冷ました後に桃とと水をれる。
「……これだけ?」
「はい」
工程だけ見ると、とんでもなく簡単だった。
これだけでいいなんて、拍子抜けした気分だ。
「これを冷蔵庫にれましょう」
何でも雑菌を繁させないために、一度冷やした方が良いのだそうだ。
冷蔵庫とはいっても、ケイが作った上の段に氷をれるかなり昔のタイプの冷蔵庫だ。
「3日くらいしたら常溫で発酵するのを待ち、あとは1日に1、2回蓋を開けて新鮮な空気をれて軽く振ります」
中にいれたが沈殿したりしてしまったり、がよく混ざらないために振った方が良いとのことだ。
「あとは泡が良く出るようになれば使えます」
「なるほど……」
數日経ち、アレシアが言うようにビンの中は泡が立つようになった。
どうやらこれを使って作った生地が膨らむらしい。
「功してよかった」
「ですね!」
アレシアのお墨付きが出たので、これを使ってパンを作ることにした。
「…………バターがない」
パンを作る時に重要な素材であるバターが無いことに、ケイは今更気が付いた。
そもそも、この島には製品がない。
ダンジョンに牛は出るが、明らかに戦いに特化したような形態のばかりだ。
牛や山羊のような魔が出現してくれるといいのだが、そう都合のいいことは起きないだろう。
「ダンジョンの牛の雌を従魔にして連れてくれば……」
牛を手にれる方法を考えてみるが、危険すぎて飼うには適さない。
「他の油で代用して見ますか?」
「……だな」
バターの風味がパンの良い所ではあるのだが、無いのでは仕方がない。
代わりになるかどうか分からないが、とりあえず今ある油を使って作ってみることにした。
結果、やっぱりバターのじがないのが足りなくじるが、まあまあ良くできた。
みんなにも食べてもらったが、みんなも同じような想をしていた。
パン屋の娘であるアレシアだけは、納得いかないような表だった。
高校生男子による怪異探訪
學校內でも生粋のモテ男である三人と行動を共にする『俺』。接點など同じクラスに所屬しているくらいしかない四人が連む訳は、地元に流れる不可思議な『噂』、その共同探訪であった--。 微ホラーです。ホラーを目指しましたがあんまり怖くないです。戀愛要素の方が強いかもしれません。章毎に獨立した形式で話を投稿していこうと思っていますので、どうかよろしくお願いします。 〇各章のざっとしたあらすじ 《序章.桜》高校生四人組は咲かない桜の噂を耳にしてその検証に乗り出した 《一章.縁切り》美少女から告白を受けた主人公。そんな彼に剃刀レターが屆く 《二章.凍雨》過去話。異常に長い雨が街に降り続く 《三章.河童》美樹本からの頼みで彼の手伝いをすることに。市內で目撃された河童の調査を行う 《四章.七不思議》オカ研からの要請により自校の七不思議を調査することになる。大所帯で夜の校舎を彷徨く 《五章.夏祭り》夏休みの合間の登校日。久しぶりにクラスメートとも顔を合わせる中、檜山がどうにも元気がない。折しも、地元では毎年恒例の夏祭りが開催されようとしていた 《六章.鬼》長い夏休みも終わり新學期が始まった。殘暑も厳しい最中にまた不可思議な噂が流れる 《七章.黃昏時》季節も秋を迎え、月末には文化祭が開催される。例年にない活気に満ちる文化祭で主人公も忙しくクラスの出し物を手伝うが…… 《八章.コックリさん》怒濤の忙しさに見舞われた文化祭も無事に終わりを迎えた。校內には祭りの終わりの寂しさを紛らわせるように新たな流れが生まれていた 《九章.流言飛語》気まずさを抱えながらも楽しく終わった修學旅行。數日振りに戻ってきた校內ではまた新たな騒ぎが起きており、永野は自分の意思に関係なくその騒動に巻き込まれていく 《最終章.古戸萩》校內を席巻した騒動も鎮まり、またいつものような平和な日常が帰ってきたのだと思われたが……。一人沈黙を貫く友人のために奔走する ※一話4000~6000字くらいで投稿していますが、話を切りよくさせたいので短かったり長かったりすることがあります。 ※章の進みによりキーワードが追加されることがあります。R15と殘酷な描寫は保険で入れています。
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