《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第57話

の様子が最近おかしいので、ケイは花と共に今朝から探索に出かけることにした。

ケイたちの息子のレイナルドとカルロス、それと最近はご意見番のような立場のルイス・アレシアの夫婦も見張りの塀まで見送りに來てくれた。

「ルイスたちもわざわざ見送りに來なくてもよかったのに……」

「いや、我々は朝早いですからお気になさらず」

村の食事は理由がない限り、家族とか関係なくケイが建てた食堂で食べるようにしている。

朝食はパン食が基本となっているので、擔當のアレシアは朝が早く、ルイスも大午前中にチーズ作りをおこなっているため、朝は別につらくない。

なので、見送りくらいたいしたことではない。

「レイ! もしもの時にはお前がみんなを守れよ」

「……縁起でもないことを言うなよ父さん」

ケイのあまりにも急な発言に、レイナルドは一瞬固まった。

確かに、この異変の原因が強力な魔だった場合、ケイたちが怪我を負う可能もある。

Advertisement

しかし、ケイはこの島で一番強い人間。

そんなケイにもしものことがあった場合、レイナルドがどうこうできるとは思えない。

そんなことを考えると、いきなり不安にかられた。

「まぁ、その可能も考えとけって話だ。カルロスもだぞ」

「…………あぁ」「…………う、うん」

ケイの言葉に、レイナルドとカルロスは躊躇いつつも頷く。

こういったことを言うとフラグになりそうでケイ自も嫌なのだが、もしものこと想像しておけば対処のしようがある。

1人で無人島生活を始めた時も、人や魔との遭遇を想定して行してきたから、子供1人でも生き抜けたと思っている。

それに、フラグになったとしても、最悪逃げ帰るつもりだ。

花も同じような気持ちなのか、ケイがレイナルドに言ったことを黙って聞いていた。

「じゃあ、行ってくる」

「じゃあね」

見送りの4人に手を振って北西へ向けて歩き出した。

この島の魔の腕鶏は北西に分布していて、卵やは村の貴重な食料源だ。

最近では家畜として育てられないかイバンが試している。

腕鶏とはケイが勝手につけた名前だが、その名の通り危険なのは発達した羽だ。

鶏のように飛べるわけでもないので、雛のに羽を切ってしまえば脅威は低い。

食べる部分はなくなるが、安定的に卵やを手にれられるので、このまま問題なく進んでいってもらいたい。

◆◆◆◆◆

「…………腕鶏がいないわね」

「……うん」

腕鶏たちが縄張りにしていた場所へ著いたケイと花だが、數日前にきた時と様子が変わっていた。

花が言うように、1匹の腕鶏もいなくなっていて、割れた卵がいくつか散している。

ケイたちが見たように、南に移したのだろうか。

「もうし北へ行ってみようか?」

「山の方?」

南に逃げたということは、逆方向に何か原因があるかもしれない。

原因と思われる北の方にケイたちはいってみることにした。

花が問い返してきたように、西側の島の北側には小さな山がある。

北にあるものといったらそれぐらいしか思いつかないし、他には特に何もないため、村のみんなもそっちに行くことはあまりない。

異変が起きていて誰も気付かない場所で、行く頻度が低い所。

その條件を考えると、その山がはピッタリの場所ともいえる。

「豬に會うかもしれないから気を付けよう」

「えぇ」

山といってもたいした高さではなく、歩きで1~2時間ほどの時間で登頂できる高さだ。

その山の西の麓付近には豬の一部が住み著いている。

放って置くとその豬の群れの數が増えてしまうため、ちゃんとみんなで數を調整している。

そのため、スタンピードが起きるようなことはないと思う。

豬くらい今のケイと花なら余裕で倒せる魔だが、もしかしたら特殊個が出現した可能があるので注意が必要だ。

ケイとも花はその可能を心に留め、北の山へと向かった。

「……ケイ、おならした?」

「失敬な! してないよ」

ケイたちは夫婦になってもう20年以上経つ。

別におならをしたからといって何とも思わないが、不名譽なことには否定させてもらう。

「う~ん、何かちょっと臭った気がしたのよね」

2人とも嗅覚は普通の人族だ。

花が何かに気付いたようだが、ケイは何もじていない。

「豬の糞でも近くにあるんじゃないか?」

「……かな?」

豬の魔は雑食で々なを食べる。

その糞は結構臭い。

もしかしたら花はその匂いをじたのかもしれない。

そう思った2人は、勘違いだと判斷して先を進んだ。

「…………臭うな」

「でしょ?」

しずつ山を登り、探知も使って特殊な魔が存在しないか確認しているのだが、そんなのは存在しているように思えない。

それどころか、魔の気配が全くしない。

そして何より、微かに嫌な臭いがしてきた。

この匂いが花がし前に言っていた臭いのようだ。

「この臭いは……」

ケイにはこの臭いに心當たりがある。

「硫黃?」

溫泉地などで嗅いだことのある臭い。

卵が腐った臭いといったじだ。

「……ってことは?」

「え? ちょっと……」

この臭いが硫黃だと判斷したケイは、急いで山の頂上へ向かい出した。

そのケイに離されないように、花もし遅れて付いて行った。

    人が読んでいる<エルティモエルフォ ―最後のエルフ―>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください