《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第60話

「みんなはどうした?」

村に戻ったケイは、見張りをしていた息子のレイナルドに村の狀況を尋ねた。

花が先に戻ったはずなので、最近の異常の真相と狀況は説明されていると思う。

そのため、自分が戻るまでの間に、みんなで何か話し合ったはずだ。

それを聞いておこうと思ったのだ。

「いつでも避難できるように、貯蔵庫になってる窟の中に最低限の生活道何かを々運んでいるよ」

「なるほど……」

ケイがこの島について初めに拠點として使っていた窟は、部の溫度が一定な長所を利用して、現在は貯蔵庫として使用している。

ケイが土魔法で部屋を幾つも作ったので、々な種類の保存食が分かれておかれている。

部は? 部屋なかったよな?」

噴火した場合、り口さえ塞いでしまえば頑丈に作られたは安全だろう。

しかし、部の部屋はほとんど保存食などで埋まっている。

全員がれるほどの部屋はなかったような気がする。

そのことが気になり、ケイは問いかける。

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「カルロスが魔法で広げてた」

「あっそ……」

ケイと花の2人の息子は、ハーフとはいえエルフのを継いでいるからか、ケイ程ではないにしても魔法のレベルが非常に高い。

どんな魔法も使えるが、レイナルドは火や風の魔法が、カルロスは水と土の魔法が得意な方だ。

レイナルドとよく組み手をしたりしていたのが原因なのか、カルロスは魔法攻撃を防ぐために、どちらかというと防系の屬が得意になったのかもしれない。

「お前は何で、ここにいるんだ?」

「噴火したら諦めるしかないけれど、ギリギリまで畑は守らないと……」

ケイが噴火による被害を減らす細工をしてきたが、何をしようと火山灰が降ってくることはどうしようもないだろう。

そうなると、畑にも降り積もることになるため、作長に悪影響が出るのは目に見えている。

どれほど続くか分からないが、噴火がおさまるまでは畑は諦めていた方が良いかもしれない。

今畑を守ったところで、あまり意味がないようにも思える。

「イバン兄たちが一生懸命育てている畑だからね。可能は低いけど、噴火しないって可能もあるし……」

「なるほどね……」

レイナルドが言ったように、噴火しないという可能もたしかにある。

しかし、魔が逃げているような現狀では、はっきり言って期待はできない。

それでも何もしない訳にはいかないのだろう。

自分も手伝っているが、イバンたち夫婦は一生懸命みんなのために作を育てている。

食べのありがたみをよく知るケイや花は、息子2人に耳にタコができるほど、食べへの謝を忘れるなと教えてきた。

それが、ちゃんとレイナルドには屆いていたのが分かり、非常時でありながら何だかちょっと嬉しかった。

「噴火したら諦めろよ。種もとってあるし、畑はまた作ればいいからな」

「あぁ」

イバンたちの頑張りは分かるが、ケイが言うように畑は作り直せばいい。

不作の年のことも考えて、野菜全部の種は保管してある。

自然が相手とは言え、理不盡に思うのは仕方ないが、守ることに意地になる必要はない。

的に、レイナルドもそこまでこだわっているようには思えないので、ケイはみんなの手伝いに行くことにした。

「地震が頻発してきましたね……」

ケイと花が噴火の兆候を確認してから3日が経った。

遠くに見える煙は、しずつ大きくなっているように見える。

それと、ルイスが言うように、地震の頻度が増えてきた。

震度的には1か2くらいのものだが、數が増えると不安がどんどんと募って來る。

子供たちやは、いつでも避難できるよう窟から離れないようにしてもらっている。

「噴火が近いのかも……」

地震の數が倍々に増えていっているのは、恐らく噴火が近い証拠だろう。

分かっていても何もできないのではどうしようもない。

ケイができることと言えば、できる限りいつもと変わりないように過ごすだけだ。

とは言っても、窟の付近から離れる訳にはいかないので、みんなには室を作ることにした。

この世界には前世と同様にトランプがあると、ルイスたち獣人たちから聞いた。

ならばと、厚めの紙を使ってケイは錬金でトランプを作しておいた。

紙のことだが、島には小さいが竹藪がある。

竹から紙を作れるということを知っていたケイは、それを材料に錬金を試してみた。

そうしたら、り的には荒めだが、れっきとした紙が作された。

この紙を使い、子供たちには算數などの學問を教えたりしている。

“ゴゴゴゴ…………”

「まただっ!!」

「ぐっ!?」

晝食をみんなで食べ、子供たちがトランプで遊ぶ中、ケイがルイスと話し合っている最中にまたも地面が揺れ始めた。

「今までより強い!?」

「子供を避難させろ!!」

これまでとは段違いの振に、みんな慌て始めた。

そんな中、ケイは落ち著いて指示を出す。

言われた大人のたちは、みんな子供を連れて窟の奧へとって行った。

“ズドーンッ!!”

「とうとう噴火したか!?」

魔力を目に集め、視力を強化してケイが山の方を見てみると、モクモクと煙が上空へ登っていく様が見えたのだった。

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