しの間落石から守るための障壁を花に任せたケイは、レイナルドにキュウを任せ、急いで西へと足を進めた。

當然ケイに向かって大小の落石が落ちて來るが、今は自分のさえ守れば良いので、わざわざけ止めることなく、ただ躱して先へと進む。

「っ！？」

進んでいると、黒いが巖の下敷きになっているのがケイの目にった。

そのためケイは足を止めて、ゆっくりとそこに近付いて行った。

「…………ガン？」

近付いて確信した。

マルの子供であるガンだった。

「くっ……！！」

の一部が巖に押しつぶされ、臓が飛び出ている。

その姿を見たケイは、慌てて口に手を當ててみる。

だが、やはり呼吸をしていない。

いくらこの世界に魔法がある言っても、死んだ生を生き返らせることは不可能。

ガンの亡骸を前に、悲しみと苦しみが込み上げてきたケイは、歯を強く噛みしめるしかなかった

「くそっ！！」

このまま連れて帰るのは、他のみんな（特に子供たち）の心理的にも良くない。

息を引き取っているのは分かっていても、見た目だけでも治してあげようと、ケイは上に乗っている巖をどかして、治療魔法でガンのを治した。

「ここにってろよ……」

そう言って、ケイはガンをのポケットの中にいれた。

返事がないのは分かっている。

しかし、それでも聲をかけないといられなかった。

まだマルとドンを見つけないといけない。

なので、ケイはそのまま先に進むことにした。

「なっ！？」

またし行くと、またも黒いが落ちていた。

「…………ドン？　お前も……」

キュウの子供であるドンだった。

口から流れただまりに浸かりながら、やはりかなくなっている。

近くに巖が落ちている所から見て、防ぎきれずに直撃したのかもしれない。

ったからいって、臓が破裂したのだろう。

「…………お前はこっちな……」

ガンの時と同様に、せめて見た目だけでも治してあげようと回復魔法をかけ、もう一つのポケットの中にいれてあげた。

ケイの従魔であるキュウたちケセランパサランは、ケイのポケットがお気にりの場所だった。

一番多くっているのはやはりキュウだが、他の子たちもりたがる。

子供が出來てガンやドンはる機會はなくなったが、やはり甘えたいときはポケットにって來ていた。

今は両方とも空いているので、中でゆっくりしていてしい。

そんな思いをしながら、ケイは殘りの従魔のマルを探しに重くなった足をかした。

「くっ…………！」

ケイがマルを探してずっと西へ向かって行くと、溶巖の流れを二手に分けた壁の近くにまでたどり著いた。

溶巖からは離れているとはいっても、ここまで來ると強烈な熱風がケイに押し寄せてくる。

魔闘で熱の耐も上がっているのにもかかわらず、汗が噴き出してきた。

「………………マル？」

熱に耐えながらしずつ壁に近付いていくと、全のが焼けたマルがかなくなっていた。

「マル！！　マル！！」

急いでマルを拾い上げたケイは、この熱風地帯から離れた。

マルまでも死んでしまっていることをけ止めきれないのか、ケイは懸命に聲をかける。

「マル…………」

いくら呼んでも、マルはケイの言葉に反応しない。

壁の近くにいたということは、壁を作るのに全力を盡くし、魔力切れをしたのかもしれない。

魔力切れで気を失って、そのままあの熱に曬されたのでは、どんな生でもひとたまりないだろう。

「…………みんなの所に帰ろうな……」

回復魔法をかけて元のマルの姿に戻してあげると、目を瞑るマルを手に乗せたまま、ケイはみんなのいる窟の方へ向かって走り出した。

せめて１匹だけでも生きていてしいと期待を持って來たというのに、３匹とも死んでしまっていたことで、ケイは深い悲しみに包まれたのだった。

◆◆◆◆◆

「いい大人の男がいつまでも下を向いてるんじゃないわよ！」

みんながいる窟にたどり著くと、ケイはみんなにマルたちの亡骸を渡して外へ出てきた。

帰って來た時のケイの様子から、花とレイナルドもなんとなく察してはいた。

マルたちと一番長く一緒にいたケイが落ち込むのは分かる。

しかし、今は狀況的にケイに落ち込んでいられては困る。

「落ち込むのはこの危機が去ってからにしなさい！」

「……………………」

「…………あぁ！」

強い口調で叱咤する花だが、うっすらと涙が浮かんでいるように見える。

それが分かっているのか、レイナルドは無言で花を見つめていた。

花のいうことはもっとも、そもそもマルたちはみんなのために命を張ったのだ。

それに気付いたケイは、うつむいた表をやめて顔を上げた。

「レイ！　キュウと休んで魔力の回復に専念しろ！」

「あ、あぁ……」

大きな噴石はなくなりつつあるが、まだ予斷は許さない。

なので、障壁を張る役割を長時間任せられるのはレイナルドとキュウだ。

しでも早く魔力を回復させてほしい。

「花はもしもの時のためにこのまま近くにいてくれ」

キュウがやったように、大きな噴石がまた落ちてくるかもしれない。

その時のためには２人態勢の方が良いだろう。

花ならその役割をこなすことができるはずだ。

だから、もういてもらうことにした。

「障壁は俺が代わる」

「分かったわ！」

魔力量ではまだ障壁を張っていられるだろうが、花には急対応の方に気を付けてもらいたい。

なので、障壁はケイが張ることにした。

何も考えずにそうしている方が、今のケイには気が楽でいられたのだった。