《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第89話
「……知らない天井だ」
「何言ってんの?」
ベッドの上で目を覚ましたケイは、お決まりのセリフを呟いた。
その橫でイスに座って看病していた花は、目を覚ました旦那が急に発した言葉にツッコミをれた。
花のその目は、ケイの頭を心配している目だ。
「……あぁ、倒れたんだっけ?」
自分がこうしてベッドで橫になっているのは、怪我をしているからだというのは、中の痛みで分かる。
しかし、その怪我をどうしてしたのかが、記憶がいまいちハッキリしない。
「……そうだ。戦ったんだっけ……」
「そうよ」
王都に著いてからのことをゆっくり思い出していたら、リカルドと戦って怪我をしたことを思いだした。
結果的に引き分けに終わって、気が抜けて倒れたのだった。
それからどれだけ目を覚まさなかったのか花に聞くと、ほぼ1日経っていた。
“コン! コン!”
「はいっ! どうぞ!」
扉をノックされ、花は返事と共に扉を開けて客人を招きれた。
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「目を覚ましたかケイ殿! ガッハッハ……」
って來たのは、ケイと戦ったリカルドだった。
元気そうなケイの顔を見ると、安心したのか元気に笑い出した。
「リカルド殿……ぐっ!」
「あぁ、起きなくて大丈夫。そのままで結構です」
わざわざ確認にきてくれるとはありがたい。
寢たままでは悪いので、ケイは起き上がろうとするが、の痛みでなかなか起き上がれない。
その様子に、リカルドは言葉と手で制止の合図する。
この狀態にした張本人だから、當然と言えば當然かもしれないが、れっきとした國王なのだから他にも仕事があるだろう。
そっちは大丈夫なのだろうか。
「いやー、參りました。隨分痛め付けられました」
「それはこちらのセリフですよ」
花に出された椅子に座り、橫になったままのケイに話しかけた。
言葉とは裏腹に、今のリカルドは戦った時ケイが負わせた怪我はどこにも殘っていない。
どうやら回復薬で治したらしい。
獣人は魔力がない種族がほとんど。
魔法で回復させるようなことができないため、薬師という職業が発展してきた。
々な病気や怪我、毒に対しての回復薬の製造にも長けているが、骨折を治すような薬はまだ存在していない。
なので、リカルドの怪我は治っているが、ケイの折れた腕と肋骨は治っていないらしい。
「結果は引き分けだけど、今の狀態をみればケイの負けが一目瞭然ね?」
「ぐぅ……」
「……花殿は手厳しいですな」
あまりにもっともな花の意見に、ケイは何の文句も言えなかった。
気を失って、ベッドに橫になっているケイと、普通に國王としての仕事をしているリカルド。
お互い降參したとは言っても、その後の狀態は全く真逆。
ケイ自も、立場が違えば花と同じことを言っていただろう。
たった一言でケイを打ちのめした花に、さすがのリカルドも引いていた。
「帰るのが遅くなって申し訳ないですが、肋骨の痛みがなくなるまでは一応休んでいて下され」
この國の醫者によってケイの骨折の治療はしてある。
とは言っても、骨が付くまではこのまま固定して安靜にしてもらうのが前提だ。
ケイはもうこの國にとって要人なのだから、きっちり治して帰ってもらいたい。
「あぁ、それならちょっと待っててください。イタタタ……」
「……?」
リカルドとの會話を一旦區切ったケイは、花に手伝ってもらい上半を起こす。
痛みでし顔を歪ませるが、何とか座禪を組んだ狀態になる。
別にこの狀態でなくてもいいのだが、この狀態が一番やりやすいのでちょっと我慢だ。
何をするのか分からないため、リカルドはただ黙って見ている。
「……………………」
座禪を組んだケイは、無言になり瞑想をし始めた。
すると……
「おぉっ!!」
ゆっくりとケイを包むように魔力が膨らんでいき、まるでに覆われているような狀態へと変化していった。
とても幻想的な景に、初めて見たリカルドは嘆の聲をあげた。
しの間その狀況が続くと、しずつの加減が弱まっていき、座禪を組んだ狀態のケイに戻っていった。
そして、瞑っていた目を開くと、折れていた右手を曲げたりばしたりし、を右左へ捻ってみたりした。
「もう大丈夫です。治りました」
さっきの景は、自分で自分の怪我を治す回復魔法を行なったのだ。
エルフのケイは魔力量が多いため、回復魔法も使える。
程度に差はあるが、他人を治すのは比較的早く覚えられた。
しかし、痛みで集中が途切れたりすることがあるので、自己治癒を使いこなせるようになるのは結構時間がかかった。
その時、集中しやすい方法として、座禪を組むという方法を試してみた。
すると、ピタッとハマったというか、上手く回復できるようになったのだ。
「……すごいですな。骨折をすぐに治せるなんて……」
先ほども言ったように、この國では薬師により大の怪我や病気などは治せるが、骨折した腕を即座に治せるようなことはできない。
獣人の場合、骨折は、ちゃんと処置をすれば、高い自己治癒力から大した時間がかからず治る。
人族の三分の二程度の時間といったところだろうか。
それもあってか、薬師たちは骨折をすぐに治せるような回復薬の製造を研究しているとは言っても、あまり熱心とは言えないレベルだ。
あっという間に治したケイに、リカルドは驚きと羨ましいで呟いた。
「……やはり、もうし我が國も骨折の治療薬の研究を進めさせるべきか……」
「……リカルド殿?」
ベッドから降りて、もう何ともないように立つケイを見ていると、早急な対策をした方が良いのではと考え込み始めた。
自分の世界にってしまったようにブツブツ言い出したリカルドに、ケイが呼びかけるが、返事はしの間戻ってこなかった。
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