《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第327話
「魔人族か……」
近付いてくるラファエルを見て、アマドルは小さく呟く。
ドワーフの魔道などを見て喜んでいたのとは違い、どういう訳だか冷めた目になっている。
魔人族には興味がないのかもしれない。
「魔王と聞いたが、本當なのか?」
「あぁ、アマドルという」
ラファエルの質問に、アマドルは返答する。
しかし、視線は話しかけてきたラファエルではなく、ワーフたちの武にいっている。
おもちゃと馬鹿にしていたが、魔道好きなのだろうか。
「そうか……本當に存在していたんだな」
「ん? まるで分っていたような言いだな?」
ラファエルの呟きに、アマドルは反応する。
自分たち魔王という存在がいるということを、知っているかのような口ぶりだ。
そんな人間存在しているとは思わなかった。
大抵が殺してしまっているからだ。
「ギジェルモという魔族を倒した人から聞いていた」
數年前、人族大陸に出現した魔族を倒してもらうために、魔人族はドワーフ王國を通じてケイに依頼した。
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その時、ケイはギジェルモという魔族から魔王という存在がいることを知ることになった。
そして、その報はケイによって々な國へと伝えられた。
だからラファエルだけでなく、魔人族や獣人族の多くの人間が知っているはずだ。
「……ギジェルモの奴か。あいつは使い勝手の良い奴だったんだが……」
ラファエルの口から出た部下の名前に、アマドルはギジェルモのことを思い出すかのように呟く。
人間を殺すことばかりしている魔族。
その王というのだから冷徹な存在を予想していたのだが、部下には一応の思いがあるようだ。
「お前はあいつを殺した奴の仲間か?」
「……倒したのは俺の師匠だ」
「そうか……」
ギジェルモの話をしてから、笑みを消して真面目な表に変わったようだ。
それと同時に、アマドルがに纏う魔力がジワジワと増え始めた。
「じゃあ、お前を殺せばそいつも姿を現すのか?」
「かもな……」
どうやら部下を殺されたことに腹を立てているのだろうか。
しかし、理由は何であろうと、魔王の本気が知れるのは良いことだ。
人類にとってどれほどの脅威なのかが分かるからだ。
「そうか。では、お前と遊んでやろう」
「……ぐっ!? 『何て魔力だ……』」
これまで腕を組んでいたが、ラファエルの相手をすると告げるとそれを解く。
それと同時に、アマドルは更に魔力を上げてきた。
圧迫されるような覚に曬されながら、ラファエルは武である刀を抜き去った。
「ハッ!!」
「……ホォ~」
ラファエルが発した魔闘に、アマドルは心したように呟く。
その魔闘が、淀みをじないほどに洗練されていたからだろう。
「しは楽しめそうだな……」
「ハッ!!」
ラファエルの魔闘を見ても、アマドルは何の揺も見せないどころか若干喜んでいるようにすら見える。
だらりと構えた右手を上げて、アマドルはラファエルを手招きする。
上から目線の挑発でしかないが、ラファエルはそれを戦闘開始の合図にすることにし、アマドルへ向けて地を蹴った。
「くらえ!」
アマドルへ迫ったラファエルは、突如方向転換をして撹するようにき回る。
そのきに、アマドルの視線が付いてこなくなる。
それを見越して、ラファエルはアマドルの首を目掛けて刀を振る。
「っ!!」
「なかなか速いな……」
「……手甲? 拳闘家か……」
首へと迫るその攻撃を、アマドルはほぼ見ることなく右手を上げて防ぐ。
金屬を叩いた音と共に、振がラファエルの手に伝わる。
アマドルは武を持っていなかった。
攻撃を防いだ金屬音は、手に裝著した手甲によるものらしい。
その手甲を見て、ラファエルはアマドルの戦闘方法を理解した。
「その通り。全兇こそが戦いの理想だ」
「あっそ……」
拳のみで戦うことこそが最強の証と言うかのように、腕の筋を見せてくるアマドル。
拳闘家は筋バカな人間が多いが、魔王であるアマドルも似たような考えの持ち主なのだろうと、ラファエルはじていた。
ラファエルとしては、どんな戦闘方法でも強ければそれでいいという考えなので、アマドルの主張にはいまいち共できない。
「ハッ!! セイッ!!」
「いいぞ! がんばれ!」
一撃を止められたからと言って、戦いは始まったばかり。
余裕の表をしているアマドルに対し、ラファエルは上下へと剣を振って攻撃をする。
しかし、それをアマドルは右手の手甲のみで防ぐ。
「……実力差を見せつけているのか?」
「その通りだ」
いくら攻撃をしても、アマドルは右手の手甲で防を続けるだけで反撃をして來ない。
その態度が気にらないラファエルは、その意図を問いかける。
案の定、アマドルは右手だけでラファエルの相手をするつもりでいるようだ。
「しかし、誇るがいい。俺に片腕を使わせているのだから」
「気にらないな……」
ケイですら苦戦したギジェルモ。
それ以上の存在だというから、魔王という存在はとんでもない強さなのだろうと思っていた。
し戦っただけだが、たしかにとんでもなく強い。
しかし、ここまで舐められると腹が立ってきたラファエルは、ある考えが浮かんでいた。
「その余裕を奪ってやる!」
「いい意気込みだ」
右手だけしか使わないというなら、その條件を利用する。
その防を突破して、一撃食らわせてやろうとラファエルは考えていた。
決意の言葉を呟くラファエルに、アマドルは応援するようなことを言って來る。
余程自分の実力に自信があるようだ。
「ハー!!」
これまで通り、アマドルへと斬りかかるラファエル。
々な角度から斬りつけるが、アマドルはそれを右手だけで防ぎ続ける。
『くそっ! きもしないのか!?』
攻撃を続けながら、ラファエルはアマドルの違和に気が付いた。
戦いが始まってから、アマドルは一歩もいていない。
ここまでの差になってくると、さすがにラファエルもきついものがある。
しかし、味方が來る時間を稼ぐくらいはできる。
そして、しでもアマドルの本気を引きだそうと、ラファエルは懸命に攻撃を続けたのだった。
「…………」『この期間に長しているのか?』
ラファエルからの攻撃に、アマドルは段々と無口になってくる。
そして、いつの間にか余裕の笑みはなくなって來ていた。
止められてもお構いなしに攻め続けるラファエル。
その攻撃が、しずつだが鋭さを増しているのをじていたからだ。
「ハッ!!」
「っ!?」
迫り來るラファエルの攻撃に、アマドルは右手を上げて防しようとする。
しかし、刀の軌道が途中で変わり、上げた右手をすり抜けるようにして首へと迫ってきた。
その攻撃を防ぐために、アマドルは反的に左手を使っていた。
「ハハッ! とうとう左手も使ったな……」
「魔人ごときが……」
自分で決めたことを覆されたため、アマドルは笑みを消してラファエルを睨みつけたのだった。
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