《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第334話

「ハアァーー!!」

「「っ!?」」

一言呟くと、サンティアゴの魔力が膨れ上がる。

すると、その姿が変化しだした。

の形が変わり、見えているの部分に鱗が生えだした。

「……龍?」

変化し終えたサンティアゴの姿を見て、ケイの息子のカルロスは小さく呟く。

最終的な姿は竜というより龍といったじで、2足歩行の青い龍といった姿だ。

に纏っている魔力は先程の人型の時よりも増えていて、これまで以上に手強い相手になったことは容易に想像できた。

「それがお前の本って奴か?」

「その通りだ」

魔族には人の姿と、魔の姿が存在している。

當然魔族の王であるサンティアゴも変化した姿を持っていると考えていたが、どうやら龍の姿が本だったようだ。

“スッ!”

である龍人と化したサンティアゴは、ケイとカルロスに向かって構えを取る。

纏う魔力の上昇によって、これまでとは違うくらいのプレッシャーがケイたちに襲い掛かる。

「気を付けろよ」

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「あぁ……」

これまでよりも危険になったことは間違いないため、ケイは構えを取ったサンティアゴの方へ顔を向けたままカルロスへ警戒するよう忠告した。

カルロスも圧しかかるプレッシャーから危険度をじているので、頷きと共に短い返事をした。

「ハッ!!」

「っ!?」

先にいたのはサンティアゴだった。

魔闘の魔力が増えたことにより、人型の時以上の速度でケイへと襲い掛かる。

前の時と同様に、どこからか出した剣でケイへと斬りかかってきたため、ケイはそれを両手に持つ銃でけ止めた。

「速っ!!」

側で見ていたカルロスは、サンティアゴの速度に驚きの聲をあげる。

見えはしたが、自分に向かって來ていたら対応が遅れていたかもしれない。

そんな速度の攻撃を、初見でけ止めてしまう父はさすがだ。

だが、いつまでも心している場合ではないため、カルロスはケイの援護に向かった。

「シッ!!」

「ッ!!」

鍔迫り合いのような狀態になっているケイとサンティアゴ。

けないでいるサンティアゴに対足、カルロスは刀を振る。

ケイと膠著狀態だったサンティアゴは、脳天へ振り下ろされる攻撃をバックステップして躱す。

「ハッ!!」

「フンッ!!」

後退したサンティアゴに対し、カルロスは左手の銃で魔法を放つ。

飛んできた數発の魔力弾を、サンティアゴは剣で弾き飛ばして防ぐ。

その様子を見る限り、相當勢を崩さない限りこの攻撃を當てることはできそうにないようだ。

「土魔法で急造した割には頑丈な剣だな……」

「そうだね……」

短いやり取りにより、ケイは思ったことを口にする。

手ぶらのはずのサンティアゴが、いつの間にか剣を持っている理由。

それは、戦闘中地面にれた時、サンティアゴは魔力を流していつでも武を作り出せるようにしていたのだ。

「それにしても、あの姿になったことでだいぶきが速くなったね?」

「あぁ、あの姿になったのは耐久力を上げるためだ」

「耐久力? ……あぁ」

を変化させたことで、サンティアゴのきが格段に速くなった。

そのことを告げると、ケイから答えのようなものが返ってきたが、カルロスはその中の言葉に首を傾げる。

しかし、すぐにケイが何が言いたいのかを理解した。

魔闘は纏う魔力が多い程強化をおこなうことができるが、魔力を増やすとなるとに相當な負擔がかかってコントロールすることは難しい。

魔闘で使える魔力量は、地味に毎日の魔力作訓練の積み重ねによって増やしていくのがには負擔のない方法だ。

使用できる魔力量を上げる方法は他にもある。

を強化することで、多の負荷をけつつも使用するという方法だ。

獣人でありながら魔闘を使えるリカルドがいい例だ。

高い能力により、負擔をけつつもき回っているというのが彼の魔闘だ。

これは能力の低いエルフには無理な方法のため、ケイたちにはできない方法だ。

息子のレイナルドやカルロスにも、地道に鍛えるように教えている。

そのため、の耐久度といわれてもしっくりこなかったのかもしれない。

サンティアゴがとったのはリカルドの使う魔闘と同じで、能力の高い本によって魔闘の使用魔力を増やしたのだ。

「ハーッ!!」

「チッ!」

「父さん!?」

ケイたちが話をしているのを無視するように、サンティアゴはまたも襲い掛かってきた。

もうし戦うための分析をしたかったケイは、思わず舌打をする。

そして、後手に回るわけにはいかないため、自らも前へと出た。

「援護頼む!」

「わかった!」

を現して戦闘力を強化したサンティアゴは、カルロスでは手に余るかもしれない。

なんとかなるかもしれないが、対応できるようになるにはしの時間が必要だろう。

そのため、まずは自分がサンティアゴの相手をすることで、きに慣れてもらうことにした。

「フンッ!!」

「クッ!! なかなか重いな……」

魔闘の魔力量を増やしたことにより、速度だけではなくパワーも上がっている。

速度は何とかなるようだが、その攻撃を防いだ時の振が強い。

「でも……ハッ!!」

「っ!?」

振り下ろされた剣を右手の銃で防ぎ、空いている左手で反撃をしようと、ケイは銃口をサンティアゴの腹へと向ける。

再生するとは言っても、攻撃を食らうと痛みをじる。

そのため、サンティアゴは反的にを捻って攻撃をさせない。

「セイッ!」

「っと!!」

を捻る作を利用し、サンティアゴはケイへ裏拳を放ってくる。

その裏拳を、ケイはダッキングをする事で回避した。

「この……、っ!?」

ダッキングしたケイに対し、サンティアゴはそのまま蹴りを放とうと足を振り上げようとした。

しかし、それをする前に橫へと跳び退く。

先程までサンティアゴが立っていた場所を、魔力弾が通り抜けた。

ケイの背後から、カルロスが放った魔力弾だ。

「ハッ!!」

「クッ!! ガッ!!」

橫へと跳び退いたことで、自分との距離がしできた。

その機會を利用し、ケイは両手の銃をサンティアゴへと向けて発する。

離れた位置からなら恐れるに値しない攻撃だが、近い距離からの攻撃に対応しきれない。

放たれた2発の弾丸のうち、片方は剣で防がれたが、もう片方がサンティアゴの右肩を貫いた。

狙ったのは頭部だったので、躱したことで當たったと言った方が良いかもしれない。

「ガンガン行くぞ!!」

「おうっ!」

1発當てようと、どうせすぐに回復してしまう。

しかし、再生には魔力を要する。

2人の攻撃で魔力を削り、きが鈍った所で脳天に攻撃を加える。

そんな狙いを頭にれつつ、ケイとカルロスの連攜による攻撃がおこなわれていった。

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