《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第335話
「フンッ!」
「クッ!!」
接近したカルロスは、右手の刀でサンティアゴへと斬りかかる。
サンティアゴは、その攻撃を土魔法で作った剣でけ止める。
「ぐふっ!!」
カルロスに気を取られているサンティアゴの脇腹に、魔力弾が撃ち込まれる。
もちろん撃ったのはケイ。
魔力弾が直撃したサンティアゴは、脇腹から大量に出した。
「このっ!!」
「っ!!」
脇腹の一撃で剣を持つ手の力が抜ける。
その瞬間を利用して、カルロスはサンティアゴの脳天へ向けて拳銃を向ける。
ここまでの戦いよって、ケイとカルロスはサンティアゴの核があるのは、以前倒した吸鬼魔族のギジェルモと同じように脳の中にあるのだと考えた。
恐らく、その考えは正しい。
ケイやカルロスの攻撃に対し、サンティアゴはへの攻撃と違い、頭部の攻撃には過敏に反応しているからだ。
「危ね!!」
カルロスの銃から、サンティアゴの頭部へと向かって魔力弾が発される。
それを避けるように、地を蹴りサンティアゴは後退する。
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「うがっ!!」
後退した所に、またもケイの魔力弾が飛んでくる。
その攻撃を両腕にけ、サンティアゴは持っていた武を落とした。
「ハァー!!」
「くっ!」
武を落としたところを見逃さず、またもカルロスが刀で斬りかかる。
頭部へと向けた攻撃に、武を落としたサンティアゴは防出來ない。
そのまま刀がサンティアゴの頭部を斬り裂くと思えた。
「ゴハッ!!」
「なっ!?」
カルロスの刀が頭部へ當たる直前、サンティアゴは足下に魔法を放つ。
土の柱が出現し、サンティアゴはその魔法によって吹き飛ばされる。
自分で自分を攻撃した形だ。
その自攻撃によってダメージを負いつつも、サンティアゴはカルロスの刀攻撃を回避することに功した。
「ハハッ!! 痛え、痛え」
ケイの魔力弾による攻撃で脇腹と両腕にをあけ、自分の土魔法によってアバラがへし折れている。
そんなボロボロといえる狀態でも、サンティアゴは笑みを浮かべる。
「くそっ!」
「やっぱり治っちまうか……」
距離を取って時間が稼がれると、サンティアゴのの傷が修復されて行く。
彼が持つ再生能力による傷の修復だ。
傷を修復をするために、サンティアゴは魔力を消費する。
しかし、サンティアゴの魔力量は底が見えないため、減っているのかいまいちよく分からない。
サンティアゴは、以前倒したギジェルモのように特定屬の攻撃に弱いということはないため、修復にごっそり魔力を消費させるということができない。
サンティアゴ自もそれが分かっているため、にダメージをけても、頭部さえ無事なら構わないというような戦い方をしている。
しかし、ケイとカルロスのコンビネーションなら、危険な目に遭うことなく攻撃が與えられている。
アンヘル島のダンジョンに養分を與え、そこで訓練を積んだ果が出ていると言っていいだろう。
「何にしても、ダメージを與え回復させて魔力が底をつくまで減らし続けるしかない」
「分かった」
頭部への攻撃を功させるためには、これまでと同様に攻撃を與え、魔力を使わせ続けるしかない。
いくら魔王といえど、無限の魔力を持っている訳ではないはずだからだ。
もちろん狙えるなら頭部の破壊も仕掛けることを念頭に置きつつ、ケイとカルロスはサンティアゴへと攻撃を再開した。
「フゥ……」
「ハァ、ハァ……」
ケイとカルロスの有利の狀態のまま、戦いは進んで行く。
しかし、肝心の頭部への攻撃は功せず、への攻撃しか功しないままの狀態だ。
攻撃を當てても回復してしまうため、サンティアゴはいまだに無傷。
ケイとカルロスも多の切り傷ならすぐに回復できるので無傷だが、戦闘が進むにつれて疲労が蓄積している。
そのため、ケイは額に汗を掻いてし深めの息を吐き、息子のカルロスは肩で息を切らす。
「ハハッ、息が切れてきているようだな?」
2人の様子に、サンティアゴは満足そうに笑みを浮かべる。
彼自も汗を掻いて息を切らしているが、それでも余裕の表だ。
それを見る限り、これまでと同様に戦い続けても、自分の頭部へ攻撃をけることはないと理解しているかのような反応だ。
「ちくしょう再生能力が面倒過ぎる」
カルロスが小さく愚癡をこぼす。
ケイとしても同意だ。
ギジェルモの時は弱點があった分、分かりやすく魔力を減らせることができたが、サンティアゴの場合自分たちと同程度にしか減っていないように思える。
このままでは雙方魔力が減っていくだけで、平行線のまま続いて行く未來しか見えない。
しかも、サンティアゴの方が消費魔力がないように見える所から、このまま続けば次第にケイたちの方が不利になってくるかもしれない。
「……こうなったら、あれをやる」
「しかし……」
サンティアゴと戦い始めて、ある程度の時間が経過している。
このまま戦い続ければ負けてしまう可能があるのなら、奧の手を使って早々に集結する方が最善手だとケイは判斷した。
その気持ちも分からなくないが、カルロスとしてはこのまま戦えば頭部への攻撃が功する可能もあると思える。
あくまでも奧の手は奧の手として、取っておくほうが得策な気がした。
「それに、やるなら俺の方が……」
「味方がお前だけだ。発までの時間を考えると俺がやる方が良い」
魔王出現時の対応策として取っておいた奧の手は、ケイが作り出して數人に教えた。
當然、考え出したケイが一番正確で迅速に使用できる。
そのため、ケイはカルロスしか味方の援護がない狀況では、自分がやるのが功する確率が高いと判斷した。
そう言われると、カルロスも納得できる。
同じことをするにしても、ケイと自分ではたしかにかかる時間が違うからだ。
「魔王は他の地にも出ているんだ。いつまでも時間をかけている訳にはいかない」
「……分かった」
ケイたちのエルフ王國にはレイナルドがいるし、島民の援護もある。
そのため、もしも他の魔王がサンティアゴと同等の戦力なら何とかなるはずだ。
しかし、ドワーフ王國に出現した魔王を相手に、ドワーフ族たちがどこまで戦えるか分からない。
そっちに參戦するためにも、ケイは一刻も早くサンティアゴを止めることを選択した。
ケイの言うように、カルロスも他の地のことが気になる。
概ねケイと同様の考えだ。
可哀想な話だが、2人の頭には人族大陸への心配は全く浮かんでいなかった。
【書籍化】隻眼・隻腕・隻腳の魔術師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔術の探求をしたいだけなのに~
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