《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第337話
「どんどん行くぞ!」
に反のあるパワーアップも、再生能力のあるサンティアゴなら気にする必要はない。
人間には真似できない方法のパワーアップにより、形勢は完全にサンティアゴ有利へと移った。
それを理解しているサンティアゴは、機嫌よくカルロスとの距離を詰める。
「クッ!」
またしてもとんでもない速度での接近してくるサンティアゴに、カルロスは武を構えて対応しようとする。
ここまで速いと、こちらから攻撃できる手段がないため、カルロスは防一辺倒になることを覚悟し、左手に持つ銃は腰に付けたホルスターへとしまった。
「そらっ!」
「っ!!」
土魔法で作り出した剣による攻撃。
サンティアゴの攻撃を、カルロスは両手に持ちに変えた刀でけ止めた。
速度についてくるのに必死な様子のカルロスから、隙を見た攻撃に警戒する必要をじなくなったのか、サンティアゴの攻撃は大振りだった。
大振りな分威力も大きく、カルロスのけ止めた手にはかなりの衝撃が走った。
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「ほらほら! ちゃんとけないと怪我じゃすまないぞ!」
「くっ!!」
次々と繰り出されるサンティアゴの攻撃。
カルロスはそれを手に持つ刀で必死にけ止めるが、そのたびに痺れるような衝撃が走る。
サンティアゴの言うように、け損なえば一撃で致命傷になりかねない攻撃ばかりだ。
しでもサンティアゴからの攻撃を回數を減らそうと、カルロスは必死にき回る。
しかし、速度の違いからあっという間に追いつかれて防することになった。
「おらっ!!」
「ぐあっ!!」
き回りながらの防がしばらく続いた。
何度も攻撃をけ止めたことで、カルロスの両腕は段々と痺れてきた。
そんな両手では、サンティアゴ攻撃の威力を完全に抑えることなどできなく、け止めた途端に吹き飛ばされるようになってきた。
またも接近と共に斬りつけてきた攻撃を防ぎ、カルロスは後方へと吹き飛ばされた。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
「そろそろ力も限界か?」
何度も地面にを打ち付けられながら、カルロスは追撃を警戒してすぐに立ち上がる。
攻撃は當たってはいないが、度重なる地面への衝突でカルロスは息切れをしてボロボロの狀態でなんとか立っている。
そんなカルロスを眺めながら、サンティアゴはつまらなそうに呟く。
仕留めようと思えば、簡単だと言いたげな態度だ。
「それにしても、これだけ痛めつけたのに出てこないなんて、もう1人の奴は薄だな?」
ハーフエルフの方を痛めつけていれば、姿を消したエルフも出てくると思っていた。
しかし、ハーフエルフの方がこのような狀態になっているというのに全く出てくる気配がない。
何かを企んでいるようだったが、ここまでして出てこない所をいると逃げてしまったのだろうか。
「ハハッ! お前なんて俺1人で充分てことだよ」
「…………」
逃げ回り、防するだけでボロボロになりながらも、大きな怪我は負っていない。
だからと言って、とても形勢逆転できるような立場でもないにもかかわらず、カルロスはサンティアゴに対して挑発するように呟く。
その挑発をけたサンティアゴは、これまでの余裕の笑みを浮かべていた表から無表へと変わった。
「っ!? うがっ!!」
「こっちは遊んでやってるってのに、調子に乗るなよ!」
挑発に腹を立てたらしく、サンティアゴは急接近してカルロスの腹へ前蹴りをれた。
これまで以上の速度に驚いたカルロスは、反応できずに直撃を食らう。
手を抜いているというサンティアゴの言葉は本當のようだ。
今のも本気だったのか分からないが、とてもカルロスが対応できるレベルではないようだ。
「ぐうぅ……」
前蹴り1発でのたうち回るカルロス。
それでもこのまま橫になっているわけにはいかないため、刀を杖代わりにして何とか立ち上がる。
“ガサッ!!”
「「っ!?」」
立ち上がったは良いものの、今の1撃でくのもきつい狀況だ。
これ以上戦えないと思っていた所に、突然森の方から草がこすれる音が聞こえてきた。
何が來たのかと、カルロスだけでなくサンティアゴも反応すると、
「大丈夫か? カルロス」
「あぁ……、何とか……」
現れたのはケイだった。
待ちんだ父の登場に、カルロスは安堵しつつ返答した。
「……よく頑張った」
ボロボロの息子を見て、ケイは一瞬眉をひそめる。
1人でサンティアゴを相手にするのは、やはり苦労したのだろう。
自分の指示とは言え、きちんと時間稼ぎをしたカルロスに、ケイは労いの言葉をかけた。
「おぉっ! ようやく現れたか?」
いなくなっていたケイが戻って來たことに、サンティアゴは楽しそうな笑みを浮かべた。
ようやく久々に本気で戦うことができると思ったからだ。
「父さんが戻ってきたってことは……」
「あぁ、準備できた」
「ハハッ! そうか……」
サンティアゴのことを視界にれながら、ケイとカルロスは言葉をわす。
それにより、予定通りに準備が整ったことを知ったカルロスは小さく笑みを浮かべた。
「何がもういいんだ? それに、お前どっか行ってたと思ったら顔悪くないか?」
いつでも攻撃できるというのに、余裕によるものなのかサンティアゴは攻撃をして來ず、ケイとカルロスの會話を聞いていた。
何をしてくるのかを楽しみにしているのだが、よく見たら戻ってきたケイの顔を見て違和をじた。
いなくなる前と違い、戻ってきた今の方が顔が悪くなっているようにじ、何をしていたのか気になり問いかけた。
「いくよ?」
「あぁ!」
“ドンッ!!”
カルロスの問いにケイが返答する。
すると、カルロスは魔法を発する。
「っ!? 何を……」
カルロスに捕まった狀態で、ケイは風魔法によって上空へと飛び上がる。
かなりの高度まで上がると、2人は上空で制止する。
逃げる様子がないため、サンティアゴは何をするのか様子を見ることにした。
「ハッ!!」
「んっ? 何だ?」
浮遊狀態のケイは、両手を下へと向けて魔力を放出する。
何をしてくるのかとサンティアゴがケイを眺めていると、すぐに異変が起きる。
地面に魔法陣のようなが浮かび上がったのだ。
「何だこれ?」
魔法陣が浮かびあがると、島全を覆うように半円狀の明ののようなが出現した。
何が起きたのかと、サンティアゴは突然出現したにれたり軽く叩いてみると、とんでもない度をしているのが分かる。
「永久に閉じ込められてろ!!」
「貴様!! まさか……」
の外にいるケイの言葉を聞き、サンティアゴはようやく現狀を理解した。
「封印!!」
「くっ!! おのれっ!!」
ケイの更なる魔力放出により、地面に描かれている魔法陣がり輝く。
すると、サンティアゴは足からジワジワと魔法陣の中へと吸い込まれ始めた。
この狀態になって、ようやくケイが何をしていたのかを理解した。
「くそっ!! くそーーー……」
魔法陣の中へと吸い込まれて行くサンティアゴは、何とか出しようと剣で自分の足を斬り落とそうとする。
しかし、それが仇となる。
自分で自分の足を斬るために、抵抗を減らそうとに纏っていた魔力を解除した瞬間、魔法陣に吸い込まれる速度が急激に加速したのだ。
そのままサンティアゴはケイへの怨嗟の聲と共に魔法陣の中へと姿を消していったのだった。
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