《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第339話
「さて、雑種とは言え、大人しく我に従えば家畜としての未來を保証しよう」
「レイナルド様を雑種呼ばわりなど許せん!!」
「ふざけるな!!」
「お前なんかに従う訳ないだろう!!」
この日のために対し作り出した人工島で、向かい合うレイナルドたちと魔王ソフロニオ。
レイナルドの耳を見て、ハーフだと分かると雑種呼ばわりしてきた。
そのふざけた言いに、レイナルドではなく他の者たちが怒りをわにした。
エルフ王國とは言うものの、現在純粋なエルフは建國の王であるケイのみ。
しかし、そんなこと関係なく、流れ著いた自分たちの祖父たちに安住の地を與えてくれたケイたちの子孫には敬意を稱している。
そんな彼らを侮辱することを、國民の彼らは我慢ならなかった。
「うるさい獣共だ……」
「黙れ!! 彼らは我が國の大事な仲間だ!! 獣呼ばわりは許さん!!」
レイナルドに代わって怒りをぶつけた獣人たちを、ソフロニオは獣呼ばわりする。
それに対し、今度はレイナルドが怒りをぶつける。
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彼らは同じ國に住む仲間であって、家族のような者たちだ。
そんな彼らを侮辱することが許せなかった。
「……仕方がない。痛めつけて分からせるか……」
「「「「「っっっ!?」」」」」
自分の提案に従う様子のないレイナルドに、ソフロニオは呆れたように呟く。
そして、呟いてすぐ、殺気と共に魔力を放出させた。
「……なんて魔力量だ」
ソフロニオが放出させた魔力に、レイナルドたちは戦慄する。
とんでもない程の魔力が放出されたからだ。
その発せられる魔力量に圧され、レイナルドは嫌な汗が頬をつたい、獣人の彼らは尾を下げた。
「どうした? かかって來ないのか? 來ないならこちらから行くぞ?」
獣人たちが自分へ向けた武が僅かに震える様を見て、ソフロニオは嘲笑しながら問いかける。
自分の殺気と魔力に、彼らが圧されているのが分かっていながらの発言だ。
そして、ソフロニオは爪をばした。
どうやら、その爪が彼の武のようだ。
「ハッ!!」
「っと!!」
獣人たちに目を向けていたソフロニオに対し、レイナルドがく。
母である花に、生前訓練をけていたこともあり、レイナルドもカルロスと同じくらい刀を使った戦闘はできる。
しかし、刀の戦闘よりもケイのように銃で魔法を放つ闘いの方が、彼の中では格的に合っている。
そのため、隙と見たレイナルドは、銃でソフロニオに魔力弾を放った。
顔目がけて飛んできた攻撃に、ソフロニオは咄嗟に首を傾け回避する。
「痛えな……」
レイナルドの攻撃を完全には回避しきれず、ソフロニオの頬を掠った。
掠った所からが流れたのを確認したソフロニオは、これまでの余裕の表が消え去った。
「っ!! 傷が治った?」
「その通り。この程度の傷など何の意味もさん」
レイナルドの攻撃で出來た傷が、すぐに傷が治ってしまった。
そのことに気付いたレイナルドに、ソフロニオは冷ややかな目をして答える。
傷は治るが、痛みはじる。
痛みをじさせられたことが不快にじたのかもしれない。
『父さんの言っていた通りか……』
父であるケイから、再生能力の高い魔族と戦った話を聞いた。
もしかしたら、魔王も同じように再生能力を持っているかもしれないと父は考えていた。
どうやら考えは間違いではなかったようだ。
そうなると、かなり面倒なことになる。
これだけの敵を相手を倒すことはかなり難しくじたからだ。
「我に傷をつけたことを後悔させてやる!!」
真剣な表へと変わったソフロニオは、ばした左手の爪をレイナルドへと構える。
そして、レイナルドへと向かって襲い掛かろうとした。
“ボッ!!”
「っ!? ケセランパセラン?」
しかし、レイナルドへと襲い掛かる前に、上空から魔力弾が飛んできたため後退した。
攻撃を回避したソフロニオは、誰が攻撃してきたのかを確認するため上空へと視線を向ける。
すると、上空に浮かんでいたのは、弱小中の弱小と言われているケセランパセランだった。
「キュウ!!」
その姿をいたレイナルドは、そのケセランパサランの名前をぶ。
父であるケイの従魔であるキュウだったからだ。
「ガウッ!!」
「ムッ!? ……犬?」
上空に視線を向けたソフロニオに対し、更に魔法が飛んでくる。
今度はペットとしてたまに見る犬の魔が、魔法を放ってきた。
それを躱したソフロニオは、今度はレイナルドの側に犬がいることに気付いた。
「クウ!!」
元々は母である花の従魔だったが、花の死後、ケイの従魔になった柴犬のクウだ。
念のためケイが留守番を頼んだ2匹が、ソフロニオとの戦いに參戦してきたのだ。
「お前たちはセレナやみんなの護衛を頼んだだろ?」
【みんなは子供たちに任せてある。だから大丈夫!】
「……そうか」
魔王の出現により、西へと避難したレイナルドの妻であるセレナたちの護衛を頼んでいたのだが、この場に現れたことにレインルドは戸った。
しかし、キュウの子供たちが殘っていると聞いて、すぐに安心した。
キュウの子供であるマルたちは、以前山の噴火を抑え込むことで命を落とした。
その後、キュウは數年に1度子供を産みだしていた。
その子供や孫たちも、キュウに似て魔法が得意な特殊なケセランパサランに長している。
彼らがいれば、余程の事でもない限り大丈夫だろう。
「……何だ? そのケセランパセランは……ペットか?」
「うちの家族だ!!」
ソフロニオは、ジッとキュウのことを見つめる。
何やら、気になった所があるのだろうか。
そのソフロニオの問いに対し、レイナルドは強めに答える。
キュウは父のケイとずっと共に過ごしてきた。
それは母である花より古い仲だ。
生まれた時から共に過ごしているレイナルドにとっても、キュウは家族という思いしかない。
そのため、ペット呼ばわりしたソフロニオの言葉を強めに否定した。
「弱小のケセランパセランの変異種か? 面白い……。そいつを我に寄越せ!」
「ふざけるな!! 渡すわけないだろ!!」
ソフロニオの中では、もうペットにする気でいるのだろう。
珍しい生を好むソフロニオは、手招きするように話しかけてくる。
家族であるキュウを當然渡す訳もなく、レイナルドは怒りの言葉と共に銃をソフロニオへと向けた。
「いちいち否定しおって……、まあいい、そいつも無理やり手にれよう」
結局、レイナルドと共にキュウを力盡くで手にれることにしたソフロニオは、武である両手の爪をばし、戦闘態勢にったのだった。
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