《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第345話

「リカルド様!」

「ムッ?」

ラファエルへの攻撃を防ぐように、魔王アマドルの前に現れたカンタルボス王國國王のリカルド。

リカルドは祖父のケイの友人であり、エルフ王國にも何度か來たことがあるため、顔を知っていたオスカルはすぐに聲をかけた。

「……お前はたしか、ケイ殿の……」

「孫のオスカルです」

エルフ王國の人間と言っても、ケイの孫の代になると獣人の特徴の方が強い。

そのため、一瞬どこの國の獣人なのかと、リカルドは一瞬悩む。

しかし、すぐにその顔からケイの面影をじ、その系譜の者だと思いだした。

エルフ王國に來ていると言ってもケイと共にいることが多いため、オスカルたちはそこまでリカルドと話したことはない。

しかし、挨拶は毎回しているため、覚えてもらえていると思って聲をかけたのだが、思った通り覚えていてもらえたようだ。

「そうか……、お前も・來ていたか……」

「……も・?」

「気にするな。それよりも……」

話しかけてきたオスカルを見て、リカルドは笑みと共に話しかける。

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それをけたオスカルは、若干の違和じた。

まるで、他にも誰か來ているかのような発言にじる。

そのため、その疑問を問いかけると、リカルドは流すようにけ答えた。

「魔人の者、よくぞここまで耐えた」

「いいえ、助かりました。ありがとうございます」

ドワーフ王國の國王であるセベリノから、魔人の國からいち早く援軍が來ているという話しを聞いていた。

それがこの若者だと気付き、リカルドはラファエルに向かって話しかける。

先程危ないところを救ってもらったこともあり、話しかけられたラファエルは謝の言葉を返した。

「ハノイ殿! もうし我慢してくれ」

「あぁ、しかし……」

「大丈夫だ。報告はセベリノ殿から聞いている」

「……分かった」

2人の若者との挨拶を済ませ、リカルドは隣國の王であるハイメへと話しかける。

アマドルの攻撃力を見て、盾役としての役割を擔うことを選んだのだろう。

それがあるため、この2人もここまで大怪我をせずに済んだのだ。

リカルドが來たこともあり、こちらの攻撃力も上がった。

アマドルとの戦いのために、リカルドは盾役の継続を頼んだ。

それは構わないことなのだが、問題はリカルドが増えてもアマドルに勝てるとは思えなかった。

というのも、アマドルはダメージを與えても回復してしまう。

回復に魔力を使っているようだが、たいして減っているように思えない。

それ程の魔力量を有している。

それに引きかえ、こちらは魔力も消費して疲労が蓄積されていく。

リカルドの參戦で最初のうちは有利に進めることができたも、長期戦になればなるほどアマドルの方が有利へと変わっていってしまう。

急所を破壊しても死なない相手にそんな事を続けても、結果がどうなるかは予想できるからだ。

そのことをリカルドに言おうとしたのだが、ここまでの戦いは見ていたドワーフ兵がドワーフ王のセベリノへ報告していたようだ。

アマドルの回復力が分かった上で戦闘の継続を言って來るのだから、何かリカルドに策があるのだとハノイは理解し、てて薬の継続を了承した。

「2人もこれまで通り戦ってもらうぞ」

「「はい」」

ダメージを與えてもすぐに回復してしまう相手と戦うなんて経験したことが無い。

戦闘は1対1が基本のリカルドでも、この相手にそんな事言ってられない。

援護として、オスカルとラファエルもこのまま戦闘に加わることを求めた。

自分たちだけこのまま逃げる訳にもいかないため、オスカルとラファエルの2人はその求めをれた。

「今度は獅子の獣人か……」

突如現れ、先程まで戦っていた者たちと會話を終えたリカルドを見て、アマドルは呟く。

その姿を見て、どこか嬉しそうに見える。

「獣人の中でもかなりの強さなのだろうが、どんなに強くても俺に勝てる者はいない」

「はっ! そうかよ!」

リカルドが加わったというのに、余裕の表のアマドル。

そんなアマドルに対し、リカルドは戦闘態勢にる。

魔法の指から出したのは、ハンマー型の武

以前ドワーフ王國にも魔族が出た時、ケイと共にその魔族を倒したことから謝の形でもらったものだ。

元々、リカルドは々な武の戦闘を期から習っている。

しかし、大抵の武が自分の全力に耐えきれないことから、素手での戦闘をする事が多かった。

だが、この武はドワーフ製ということもあってか、かなり丈夫で、全力にも耐えうる強度を誇っているため、リカルドはこの武を主武にするようになっていた。

リカルドが構えたのと同時に、他の3人も構えを取る。

それを見たアマドルも、ゆっくりと戦闘態勢にった。

「行くぞ!」

「「ハッ!!」」

初めにいたのはリカルド。

アマドルとの距離を詰めるように、一直線に突き進む。

それを援護するように、オスカルとラファエルが魔法を連する。

「フンッ!」

オスカルが放った魔法は風の刃で、ラファエルが放った魔法は火の矢。

ラファエルの魔法をオスカルの魔法が加速させるようにして、アマドルとへと襲い掛かる。

その魔法たちを、アマドルは多くの魔力を纏った拳で弾き飛ばす。

魔力にを言わせた力技だ。

「オラッ!」

「グッ!」

オスカルたちの魔法に気を向けている間に、リカルドがアマドルのところへたどり著く。

獣人の中でもトップレベルに立つ腕力に任せ、リカルドは武のハンマーをアマドルへと振り下ろした。

リカルドによる脳天への攻撃を、アマドルは両手を差させた手甲でけ止める。

あまりの衝撃に、アマドルは苦悶の表へと変わり、足が地面にめり込んだ。

「ハッ!」

「おっと!」

リカルドの攻撃を防いだアマドルは、すぐに反撃に出る。

片手をリカルドの顔面へ向けて、サッカーボール大の魔力球を発した。

しかし、その反撃に気付いたリカルドは、すぐさま首を傾けることで回避する。

「ドラッ!!」

「っ!!」

魔法攻撃を躱したことで、リカルドの勢が崩れる。

その隙を逃さず、アマドルはリカルドへ拳を突き出す。

「ムンッ!!」

「チッ!」

アマドルの拳がリカルドへ當たる前に、橫からハノイが割り込み、リカルドへ向けて放たれた拳を手に持つ盾で防いだ。

攻撃を防がれたアマドルは、いつの間にか自分の左右を挾むように移していたオスカルとラファエルを見て、舌打ちと共にその場から後ろへと跳び退いた。

「確かに先程よりも面倒になったな……」

たった1人、リカルドがったことで、更にバランスが良くなったような気がする。

そのため、アマドルは敵ながら天晴とでも言うかのように、想を呟いたのだった。

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