《エルティモエルフォ ―最後のエルフ―》第363話
「よりにもよって赤ゴリラかよ!?」
従魔のキュウとクウを拠點に殘し、ケイは1人で95層の攻略を始めた。
そして、って早々、あまり遭遇したくない魔に遭遇した。
赤ゴリラこと、赤に近いをしたゴリラだ。
魔の中でも能力の高い魔だ。
しかも、このダンジョンでは逆に當然のようになっているが、が巨大化した変異種だ。
「探知も使えないから慎重に移していたのに……」
どういう仕掛けなのか、この室は魔力を吸い取られる。
そのせいで、魔力を使っての戦闘がメインのエルフであるケイは、いつものように攻略を進めることができない。
魔力を使っての探知ができないため、この赤ゴリラとの遭遇も予想外だった。
「ガアァーー!!」
「ぐおっ!?」
赤ゴリラに遭遇したケイは、ひとまず距離を取ろうとする。
しかし、赤ゴリラの方が移速度が速いため、一気に距離を詰められる。
赤ゴリラの方も魔力を使っていないが、元々の能力が違うのだろう。
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距離を詰めた赤ゴリラは、そのままケイに毆りかかってきた。
魔力を吸い取られてしまうため、いつもの拳銃が使えないため、ケイは妻の花の形見である刀で魔と戦うことにした。
その刀を使って、ケイは赤ゴリラの攻撃をけ止めた。
しかし、パワーが違い過ぎる。
け止めたケイは、そのまま吹き飛ばされていった。
「く~……、ビリビリする」
吹き飛ばされたケイは、態勢を整えて著地する。
刀でけ止めたので無傷ではあるが、衝撃で手が痺れた。
「ガアァーー!!」
「おわっ!!」
手の痺れを取るために手を振るケイ。
しかし、その間に赤ゴリラがまたも距離を詰めてきたため、ケイは慌ててその場から移した。
「魔力無しじゃマズイな。……待てよ」
魔力あってのエルフ。
赤ゴリラの変異種と魔力無しの戦闘はかなりきつい。
そのため、ケイは思わず愚癡る。
しかし、どうやってこの赤ゴリラを倒すかを考えていると、ケイには一つの考えが浮かんだ。
「ガアァーー!!」
「フンッ!!」
き回るケイを追いかけ、赤ゴリラがまた接近して毆りかかてきた。
その攻撃に対し、ケイはまたも刀でけ止めに行った。
“ガキンッ!!”
「グルッ!?」
毆りかかった赤ゴリラは、またも刀でけ止めたケイが引き飛ぶと思っていたようだ。
しかし、そのようにはならず、ケイは刀でけ止めても微だにしなかった。
「やっぱり!!」
思い通りの結果になり、赤ゴリラから距離を取ったケイは笑みを浮かべる。
これで垢ゴリラだけでなく、この階層で戦っていく方法が見つかったからだ。
「もうお前なんて恐れるに足らない。かかってこいや!!」
ケイが思いついた方法。
それは、魔闘を瞬間的にだけ使用する方法だ。
この階層で魔闘を使用していると、その間ずっと魔力を吸い取られている狀況になる。
エルフだからといっても、魔力が無限にある訳ではない。
戦闘中にずっと魔闘を使用していれば、魔力切れを起こしてそれこそ戦うことができなくなってしまう。
そのため魔力を使用しない戦闘を考えたのだが、やはりエルフの自分にはそれは難しい。
ならば、瞬間的にだけ魔闘を使用するようにすれば、魔力切れを起こすようなことにはならない。
友人であるカンタルボス王國のリカルドと、試合をした時と要領は同じだ。
それが分かればもう問題ない。
余裕ができたケイは、赤ゴリラを挑発するように手招きした。
「グルアァーー!!」
「フンッ!!」
ケイの挑発に乗った赤ゴリラは、接近と共に左右の拳を連打してきた。
しかし、魔力の瞬間利用という方法が有効だと分かったケイには通用しない。
赤ゴリラの攻撃を、ケイは全て刀でけ止めた。
「ハッ!!」
「ゴウッ!!」
赤ゴリラの攻撃の隙をつき、ケイは反撃に出る。
それにより、赤ゴリラの心臓部に風があいた。
「この距離なら、こっちも使えるって事だ」
攻撃に使用したのは、刀ではなくいつもの拳銃。
赤ゴリラはケイのように魔力を使用できない。
なので、変異種といっても魔力を使用していない狀況であるため、防力も落ちている。
この階層だと距離を取っての攻撃では使えないが、至近距離なら問題ない。
そう思って使用してみたのだが、こちらも予想通りの結果に終わった。
「探知も瞬間的に、近場のみ。これで危険は下がるはずだ」
「キシャーー!!」
「っっっ!!」
倒した赤ゴリラを見て、これからの攻略にが見えたケイは、刀を鞘にしまって一息つく。
そして、いつものように広範囲ではなく、近距離の探知に魔力を使用した。
すると、探知を使用したタイミングでまたも魔が出現した。
「今度はカンパネロかよ!?」
ケイと赤ゴリラの戦闘音に寄ってきたのだろう。
現れたのは、カマキリの魔。
蟲系のため、これまた能力の高い魔だ。
「シャー!!」
「おわっ!! 危な……」
現れたカンパネロは、両前腳の鎌を振ってケイに斬りかかった。
先程思いついた瞬間魔闘で、その攻撃を橫に跳んで躱す。
カンパネロの攻撃により、風の斬撃が飛んだのか、直線狀にあった樹々が斬り倒された。
ケイはこの特を知っていたからいいが、もしも知らずにバックステップをしていれば、この樹々のようになっていたかもしれない。
「もしも魔力無しで戦うことになっていたら全力で逃げてるけど、実験臺ゴリラのおで怖くない。ぶっ殺してやるぜ!」
「キシャッ!?」
笑みを浮かべてゆっくりと迫るケイを見て、カンパネロは戸うような聲を上げる。
戦闘音に反応してこの場に來たため、実験臺と言われても何のことだか分からないのだろう。
もしも赤ゴリラとの戦闘を見ていたら、ケイに襲い掛からなかったかもしれない。
「フッ!!」
「ッ!?」
ケイが息を吐くと共に瞬間魔闘を使用すると、一瞬にしてカンパネロの目前に移する。
目の前に車で反応できなかったカンパネロは、驚くようにを引く。
「おらっ!!」
「ギッ!!」
距離を詰めたケイはカンパネロを毆りつける。
頭部を毆られたカンパネロは、巨であるのにもかかわらず吹き飛んだ。
「お前も実験にさせてもらうぞ」
「ギッ……」
瞬間魔闘の使用に慣れるために、ケイはこのカンパネロを先程の赤ゴリラ同様利用させてもらうことにした。
そして、しの間このカンパネロで実験をし、この階層での戦闘法を確立したのだった。
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