《最弱能力者の英雄譚 ~二丁拳銃使いのFランカー~》2話
次の日、いつもの授業が終わり、剣先生の住居へとお邪魔させていただいた。
「おう、佑來たか」
大きな門を開くと、黒いタンクトップの上に、當時著ていただろう軍服で剣先生が出迎えた。
左腕には竜の刺青があった。タンクトップの橫から黒いひもが見える。鎖骨から汗が流れ、それのおかげか剣先生が凄いっぽく見える。
「う、うっす。今日からよろしくお願いします」
その格好に、慌てて目をそらす。家の中のはかなりの古風な日本の屋敷だった。
「ああ、久しぶりにしをかしててな。それより奧のほうでやるからってこい」
ニヤけながら彼はそう言う。バレたんだろうか。気にしないでおこう。
屋敷の奧のほうにっていく、家の橫に道場のような建があった。
剣先生が一禮してる。俺も真似をして、広い道場のような空間に一禮する。
「よし、お前はある程度のはできているな。早速だが戦闘のノウハウから教えてやろう」
剣先生の授業をけたことが無いため、まったくというほど分からない。
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「ノウハウ? 俺プロレスぐらいしかできませんよ」
「大丈夫だ、いくらアホなお前でも私の教育センスでどうにかなる」
そうして俺の特訓は始まった。
基礎力は合格とのことだ。日頃の運の果が出ているようでしばかり嬉しかった。
教わった容は、オーソドックスな対人、そして戦いにおける神統一の呼吸法、反応強化、接近戦ばかりのようでどうも気になったが、お前は接近の素質があるのだと言われた。
戦いは銃撃戦による戦いだと思っていたが、能力者の場合によっては、そんなものは通用しない者がいると言っていた。
超拒絶系統の相手には銃など喰らわないからだ。
だから無能力者が能力者に対抗するなら、近中遠距離のオールグランダーでなければならないということらしい。
死に狂いで剣先生の訓練に耐えて耐えた。
あの日から3か月が経った。
外見的な変化はあまりないが、行の先読み、いかに戦闘で無駄をはぎ取るか、そのあたりにおいて、かなり強くなっていた自信があった。
わずか3か月で、たまにだけど、剣先生から一本を取ることができるようになっていたのだ。
さすがは剣先生の指導だ。
しずつ大していく自信が、確信へと変わっていった。
8月4日早朝、いつものように自宅を出る。
中等部は集団寮だが、高等部になると一人部屋が用意される。
Fランクの俺には小さな空き地のコンテナの中に住んでいる。
他の奴らのように、マンションですくすくと溫まるということはない。
食事は近くの売店で食品を購し、各自で料理を作ることが義務付けられる。
俺だけこのような仕打ちなのは、実力主義のランク制のせいでもあるんだが、何よりも空き部屋が無いからと言われ、俺の前に住んでいた部屋を追い出されたからだ。
世の中理不盡だらけで、俺には楽しい瞬間は、趣味ぐらいの時でしかない。
「おはよ、タスク兄さん!」
いつものように、ハリボテのドアを閉めると隣のマンションの、ユウが元気に挨拶をしてきた。
歳は一つ下で、外見は黒い髪のロングに、ぱっちり二重の目。
背は155くらいだろうか。たまに一緒にご飯を食べたり、食べなかったり。
そんな仲の隣人だ。
「ちょっとー、タスク兄ぃ、無視は酷いですよ」
彼はあざとくほっぺたをふくらませる。
特別なが湧かないその理由は、こいつは超筋力能力者の、とんでもない怪力だからだ。
おかげでというか、散々な目に合っている。
とくに酷かったのが、このハリボテのコンテナハウスを、ダンボールを解するように壊した時だ。
あのときは膝をガックシと降ろして、ひざまずいて、おいおい泣いてしまったことを覚えている。
彼のランクはB級、凄まじい怪力と並外れたの強さで、並み大抵の能力者には勝てるほどの実力である。
「むぎゅぅ! おお、この前よりも格が変わってるね」
急に彼に抱き著かれた。あざとすぎる、普段は無口で可憐な人というキャラで通っている。
しかし、俺と二人きりになると今のように甘えてくるのだ。いや暑苦しい、もう8月だぞ。
彼は俺のにフーッ!と飛び込むと、鼻を俺の右脇の匂いを嗅ぐように移させ、フンガフンガと臭いを嗅いでいる。
抱きついたが、ほどよく富んでおり、大きなを俺の腹あたりにボヨンボヨンと押し付ける。
うむらかい。俺のにれるたびに白いシャツのボタンとボタンの間から、健康的なのらかそうな谷間が見えた。
下の方には、を支えていると思われる、ピンクの気のあるの生地、白い金がはちきれんばかりに、引っ張り合っている。
男から見ると、おっぱいはらかそうに見えるのだが、実際にってみると意外とかったりする。
まあこいつの場合は脂肪のおかげでぼよんとしてはいるが。
「ちょっ……、わかったから! いい加減にしないと夜中に襲うぞ」
どうせ返り討ちに合うかもしれないが。っていうか本當に暑苦しい。
「そんなこといって、もっとおっぱいが當たってしいって思ってるんでしょ?」
俺の心を読むな。もっと當てろ。
そのまま、彼と一緒に學習館に行った。
いつものように寮の階段を下り、ユウと學園まで歩く。
「そういえば今年のランク戦は出るんか?」
「出ませんよー、A級には上がりたくはないですからね」
そういえばこいつB級だったな。Fランクの俺とは天と地ほどの差がある。
「ほーん、俺今年は出ようと思うんだ」
「え、マジですか! 能力が使えないのに大丈夫なんですか?」
大げさにびっくりしながら、道の端まで彼は後退した。そんなに驚くことは無いだろう……
「余計なお世話だよ。毎日授業終わりにな、剣先生に特別授業をけさせてもらっているんだ。かなり自信はあるぞ」
いままで誰にも明かしたことはなかった。しかしユウになら明かしても。
「あの先生に……格が変わったと思ったら、そういうことだったのか…… さすがは私が見込んだ人ですね、凄いとやる気。さすが私の佑兄さんだなあ」
言い終わるとニコッと笑い俺のほうを見た。すこしあざと可いが、キュンとはしない。
「って、いつからお前のになったんだよ。ふざけるな」
「てへぺろこつーん」
ユウは俺のほうを見て、舌をピョっと出しながら、こぶしを軽く頭にぶつける。
「ていうかさ、お前彼氏いるのに、俺と一緒に通って大丈夫なのか」
ホントこいつ、彼氏がいるのに俺とこうして歩くんだから、ふざけてやがる。
彼氏はしは束縛してもいいだろうになあ。
「大丈夫です。顔と頭はいいけど察しが悪い人なので」
「そうなのか(ビッチめ)」
「今は、佑兄さんと登校をしたい気分なんです。いいじゃないですか」
なんとも楽観主義過ぎて、もし俺がユウと付き合っていたら、こんな俺と登校しているところを見て激怒しそうだな。
っていうか普通にキレている。
「まああれだ、付き合っている相手がいるんだから裏切るような真似はやるなよ」
「別に裏切ってないです。佑兄さんといても何も言わない、あの人の方が悪いんですから」
ユウは追い越したようにし俺の前を歩く。
顔は見えないが、し怒っているようにも見えた。
それから何も話すことはなく學習館に付いた。
世間一般で言う學校のようなところだ。
「じゃあまた後でな」
「はーい!」
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