《最弱能力者の英雄譚 ~二丁拳銃使いのFランカー~》3話
8月5日ランク祭當日。
早朝4時半、人生初めてのランク戦により張して早く起きてしまった。
幸いなことにの調子はいつもと変わらない。そして頭の回転はいつもよりさえている。コンディションとしては完璧な狀態だ。
しランニングをした。の細胞一つ一つが研ぎ澄まされていく。
ランニングを終え、寮の自宅に著いた頃には、朝食を食べに夕の靴があった。
「あ、おはようございますタスク兄さん!」
ドアを開けると、近くの臺所にユウがいた。いつもとは違いエプロンをに著けている。
「俺の家の臺所に立って…… どうしたんだ?」
「いつも食べさせてもらっているので、今日のランク戦にお禮を兼ねて、私が作ってあげたいなって」
いつものようにあざとく返事をする。部屋にはカツ丼の調味料の匂いがした。
「どれだけ上手くなったのか楽しみだな。この匂いはカツ丼か?」
「當たりです! 出來上がるまでお風呂ってきてください」
さっとを流した。
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風呂に出たころには完されていた。
盛り付けられた牛丼をたいあげる。し醤油が多いと思ったが、普通に食べられることができた。卵焼きすらまともに焼けなかった時期が懐かしい…… こいつも長したもんだな。
「何ですか、その師匠ヅラは…… 」
「いやいやいや、俺が料理を教えてあげて以來、こんなに長したんだなって」
と言い、ささっとカツ丼をたいあげる。
「あれからいろいろ練習したんです。まあまだ丼系しか作れませんけど」
「まあ普通においしいから、彼氏に作ってあげられるじゃん。よかったな」
「私はタスク兄さんに食べさせたいんですけどね」
そう言い夕は、ぷいっとをかせ、食べ終えた食を臺所に持って行った。急に機嫌が悪くなって…… 俺は何かいけないことでも言ったのかよ。
時計を見ると7時前だった。ランク戦のエントリーは7時半からなので早く行かなければならない。
さっと制服に著替え、食を洗い終わった夕に言う。
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「學校行こうか。今日はエントリーあるから早く行かないと」
「はい、準備しますね」
夕はそう言うとエプロンをぐ。そして鞄を取りに自分の寮まで戻った。
來るまでの間にラジオを聴いていた。どれどれと聴いてみたら、どこかのお嬢さんが何者かに拉致されたとかで、騒なニュースだ。
「タスク兄さん行きましょ」
いつものようにユウと學習館まで足を運ぶ。
「んじゃ俺エントリーしてくるから、また後でな」
著いた後、夕にそう告げてエントリーの付まで歩いて行った。
「おはようございます。ランク祭のエントリーお願いできますか?」
「あ、タスク君おはよう! お、エントリーだね」
そう言ったのは事務のお姉さん、名前は知らないがよく俺のことを気にかけてくれるやさしい人だ。
「そういえば、タスク君をランク祭に出させるために、剣先生が局長に抗議してたんだよ」
書類に何かを書きながら俺の會話にこたえる。
「ま、マジなんですか?」
修行も抗議もさせてくれるなんて…… これは勝って恩返ししなければ。
「うん、剣先生も君のことを見越してだと思うんだ。だからというか、今日は頑張ってね!」
「はい がんばります」
用紙に必要な報を書いてエントリーを終え、教室に向かう。
教室にりランク戦までの時間をひたすら瞑想をして過ごしていた。
「おい、聞いたか! Fランがランク祭に出るんだってよ」
「マジ! あいつ能力使えないんだろ。こりゃ見だわ」
後ろでEランクのクズどもが俺の噂をしていた。あいつらは能力が使えるものの、その力は全くというほど役立たずな連中だ(俺ほどではないが……)。そのためかAランクの能力者からよく見下されている。
多分その鬱憤晴らしで、俺にちょっかいを出しているんだろうと思う。
下が下を見下す、これが実力主義の現実だ。
「トーナメントができた。出場者は各自確認しておくように」
擔任の矢吹がトーナメント表を持ってきた。
ここでランク祭の説明をしようと思う。
ESP學園で行われる、年に1度のランク合同のトーナメント戦。この學園で一番の能力者を決める毎年恒例の大會だ。AからEまでのランカーが自らの強さを証明するためこの大會に出場する。參加希などは個人の自由であり、戦闘の容によってはランクが上がることもある。日程としては3日間で終わるようになっている。ランク祭は、14歳から申し込みが可能。
トーナメント表を見ると、俺は2戦目からとなっていた。まさかこんなに早くからできるとは……
し張してきた。追い打ちをするようにクラスのクズ共が、俺をネタに話をしていた。
「うっはあのFラン、2回戦目からだぞ!」
「相手は斷絶の空間歩行者、卍城王也じゃねーか」
「これは面白いやろうなあ」
極力、聞かないようにクラスから出た。
向かった先は、ランク祭が行われる、ESP學園の闘技館。あまりの張で手先からの気が引いていくのをじる。からはいやな脂汗が出ていた。ダメだ、こんなに張して頑張れるのか……
その時、正面からユウが歩いてくるのが見えた。
「あ、タスクにいさーん。ってすごい顔悪いですよ。大丈夫ですか?」
彼が話しかけてきた。俺の顔を覗くように調をうかがっている。
「マジかよ、俺の顔がそんなにイケメンに見えるのかよ」
「ふざけている場合じゃないですよ。本當に大丈夫なんですか?」
「だ、大丈夫だよ、張しているだけだから」
「張したら、そんな顔になるんですか?はははははははhh」
彼はなぜか腹を抱えて笑った。お辭儀をするように腹を抱えているので、シャツの隙間から谷間がいいじに見えた。
も、もうし屈むだけでで全像が…… いつもは何とも思わないんだが、この時ばかりは気のおかげで嫌な張はほぐれてきた。
「タスク兄さん、これ」
彼の後ろにまわしていた手から簡略式水筒が飛び出してきた。
「お、サンキュー」
「お守りとして持っていってください。勝って必ず私に返すこと! いいですか?」
彼は、あざとく俺の顔を覗き込むように見ると、可らしい笑顔が溢れ出た。
「まあ、一勝はできると思う。見といてくれ」
「はい! 応援していますね」
話を終えると闘技館にった。もうしで開會式が始まる。
第1試合を終え、開始まで待合室で待機していた。
ユウから貰った水筒を一飲し、瞑想をして集中力を高める。
「佐部佑、準備を」
係の矢吹が俺にそう告げた。
「うっす」
そう言い太ももを叩いた。良いじにも出來上がっており集中力も隨分とある。
「佐部佑、場をお願いします」
アナウンスがそういった。カーテンを抜ける。
直徑50メートルの円の中央にして、二本の白線がある。そこまで真っ直ぐと進み、相手の選手が出るまで待機していた。場には観客席がある。歓聲は無いが、俺とその対戦者を取り囲むように、學園の生徒が満遍なく並んでいた。
前から卍城王也が場してきた。彼の人気が高いのか歓聲が一斉に上がる。
卍城王也の外見は、中途半端に長い髪が、顔のセンターで分かれている。顔は白のイケメン、背は俺と同じくらいだろうか。いやしあちらの方が大きいようだ。
白線に止まると、手を顔に當てた。
「俺の名前は(ここから先は聲が低すぎて聞き取れない)」
そう彼が言った。
うわっ…… なんだこの嫌悪は。
こんな殘念イケメンがBランクときたもんだから、とても不條理な世界だなとそんな思いにふけってしまった。
いかんいかん、戦いに集中だ。
「両者、武の確認を」
アナウンスが確認をとる。
武の確認をする。
ランク祭では、各々が好きな武を使える。銃は2丁に刃武は三本までとのこと(代わりにオリジナルの武を使うこともできる)。開始と同時に能力を使うことが許可される。周りを囲む白線から出ると即失格となる。勝つためには先に相手を倒す(文字通り)ことと、白線に相手を追い上げること。一応ここは傭兵學校、殺し合いになることもある。一歩間違えれて即死なんてこともあったため、油斷はだ。
フィールドは直徑50メートルの円形である。均等に並べられた障害、建を模様したものや水が溜まっているところがある。
ちょうど同じに武の確認が終わった。相手は、大きな鎌のようなものを頻りに見せてきた。大きさは彼長と同じくらいで、縦の刀が最大30センチほどの大きさから大きく橫に弧を描くように曲がっている。俺には絶対に重くて使えない代だ。
開始まで相手の攻略法を考える。
リーチは銃を持っている俺が圧倒的に有利。しかし開始と同時に突っ込んでくると厄介だ。
先ほどの、武の見せびらかしに、二つ名セカンドネームが『斷絶の空間歩行者』。
異名からして、鎌による剣が凄いのかもしれない。しかし、きだけは剣先生についていけた俺だ、圧倒的に俺のほうが早い。距離を取りつつ銃で攻撃を行えばいいな。
よし! いける!
「第2回戦、右手に見えるのは今人気急上昇中のAランク、ESP學園序列6位、卍城王也だぁーーー!!」
実況が威勢よくんだ。
「左手は、Fランク能力者。佐部タスクだあーーーー!! 初実戦、無能力ということで何を見せてくれるのか!!」
俺の無能力という説明に、場がヒソヒソと話をするようにざわめく。一部では一方的な殺戮ショーの始まりだと痛快に腹を抱えて笑っている。
――そうだよ、俺は……
無能力者だ!!
「両者、準備はいいですね」
アナウンスが聞く。
「「はい」」
お互いに返事を返した。會場が靜まり返る。
「ファイッ!!」
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