《最弱能力者の英雄譚 ~二丁拳銃使いのFランカー~》11話

目の前は、自然にある斷崖絶壁の崖。足元には足をらせる罠のように石が転がっている。

目の前の視界いっぱいには、都市開発が進んでいない野原だった。

目の前からは、風、風、風、を鍛えているため、よろけはしなかったが十分に強風とも言える風だ。除くように崖下を見た。

深呼吸をして、高さという恐怖を映像という一つの報にする。

崖から離れ目をつぶる。近くにある木から鳥が2羽飛んで行くのが、聴覚からの報がった。

風が止む――助走をつけた俺は勢い良く崖から飛び降りた。

落下というものは俺が想像をしているものよりも遙かに早く、しっかりと周りを凝視すれば見えるものの、脳に景と認識させれば、周りの景が淡い線を引いているようにも見える。

できるだけ早く、拳を地面を毆るように構える。

空中で落下する最中、おおよその著地地點を見定めた。

著地と同時にそのまま毆れば肩の関節が外れるため、著地は機械の腕に任せ、を取る。

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地に付いたパワーを分散させるためだ。前転をしながら俺は地に立った。

腕関節の義手の扱いには慣れてきた。

全てのをこの義手に託しているが、あの博士の言っていたように、ちょっとやそっとの負荷では壊れない。

機械の腕というものは、生の人では無いため、無茶は通じるらしい。

それからも15メートル上から俺は何度もフライハイしていた。

端から見ればスタントマンの練習か?と思われるだろう。もしくは狂人の類。

「義手の調子はどうだ?」

剣先生が、簡略式ペットボトルを俺に投げてきた。義手の腕でキャッチする。

目の前でけ取ろうとしようとしたものの、義手のパワー力に風船のように中が俺の顔面へと掛かった。

「ダメですね。こればっかりは……」

そうこの義手の握力調節はかなり難しい。昨日博士からこのことを言ったものの、『そればっかりはお前の訓練次第じゃ』と言っていた。

大雑把な俺には、パワーの調節というものは時間が掛かるだろう……

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でも絶対に、この腕を使いこなしてやる。

その二日後に、俺は晝食を作っていた。

スライスされている豚を9枚を熱せられているフライパンに引いていく。

拾ってきた特注であっただろう大きなフライパンは、いい音を立てながら豚の油を搾り取る。

月曜日は決まってづくしの料理を作る。慣れたように三人分の料理を作っていた。

生姜焼きは焦げが気になるため……

ってなんで3人分の料理を作ってるんだ俺は!!

「佑兄さんごはんはまだですかァ!?」

「匂い…… いい匂い(ジュルリ……)」

夕と舞がこちらに持って來いと言わんばかりに、小さい四角のテーブルに向かい合って座っている。

食事代がさすがに馬鹿にならない……

舞はいいとして夕からはしっかり金を取らなあかんな……

「夕、舞! 皿ぐらいは用意してくれ!!」

こいつら…… とても意気投合しているのだ。

仲が急に良くなったり悪くなったりと、とんでもない連中だ。

俺にはの子の気持ちなんて全くと分からない。

明後日にはランク祭2回戦目というのに…… もうちょっとはだな、俺を気遣え!!

そして、特に何もなくランク祭當日。俺は學習館へと來ていた。

舞は剣先生に任せ、今は次の対戦相手の知らせを待つ。

2階にある教室へ上がる階段を登る。以前はあんなに重かった足並みがこんなにも軽くなっていることに驚いた。

左を曲がり、俺のクラスの奧の方を進む。

廊下で佇んでいた人たちはみんな俺を見ている。なんで俺を見ているんだ。あるものは俺と目を合わせると逸らす。

教室へとドアを開け俺の機へと進んでいった。

卍城王也を倒したためか、クラスの連中の俺を見る目が変わっていた。

Eランクの連中は、完全に俺をし見ると、すぐに會話を始める。

アレに勝ったんだから評価も変わるんだろうなと思う。

あるものは完全に避けている。元からそんなもんだったから大して気にはしない。

もとからゴミを見るように見るお前らのことが大嫌いだからだ。

対戦相手の発表がもうすぐだ。

「対戦表だ。出場者は確認を」

黙想をしていると擔任の矢吹がランク祭の表を配った。前の席の男が俺にへと配る。

どらどらと確認してみると3回戦目、佐部佑 盾田剣士という文字が並んでいた。

クラス中がざわめく。

「では、出るものは各自準備をしておくように」

いつものようない顔をしながら矢吹は教室を出ていった。

「あの…… 佑くんでいいんだよね」

表を確認してすぐに、後ろの彼から聲が聞こえてきた。

振り向きつつ名前もしらないため、どんな対応をしたらいいのか俺には分からず敬語を使う。

「はい佑です…… なんでしょうか?」

俺は何をビビってるんだろうかと思いながら彼の顔を見た。

「次の対戦相手、盾田剣士ってこの學園最強の能力者だよ…… どうするの?」

どうするのって言ったてなあ……

「えっと…… やるしかないでしょう?」

そのことを聞くと、彼は世間知らずを見るように俺を見た。

なんだよ當たったからには勝つしかないだろう。

「アレは人じゃない…… アレには絶対に勝てない」

は俺を心配するように見た。

「ここにいる大方の人たちって、テレビに出てきているような普通の人ではないですよ…… 一応調べてみます」

そう言い返し、手元の攜帯端末で學園のデータバンクにある能力者報を調べる。

前回もそうだが何故俺が対戦相手の調べをしないのかというと、結局戦場では素の知らない相手と戦うということが當たり前なので、大して意味は無いと思っていたからだ。

歳16歳、育機関取締役、北九州事変にて多大なる戦果をあげる。その若さで全勝無敗の戦闘力を誇り、去年はその健闘を讃え……

「見た? 付いた二名セカンドネームは、『拒絶の王』。第22回生のなかで一番S級に近い存在……」

寫真は、短く後ろに固まった髪、力でねじ伏せる武士のような四角い厳格な顔立ち。

16歳とは思えない、百戦錬磨の戦士とも言えるそんな顔だった。

どれほどの戦場を越えてきたのかは彼の顔を見れば分かる。彼は相當のやり手だろう。

「……どんなに強い相手だろうとやるしかないでしょう?」

あの人のようになりたい。そう願った。それを葉う環境を貰った。

そうだろうオレ一人ではここに座ってもいないだろうし、このランク祭にも出られなかっただろう。そのために俺を応援している人のためにもやらなければならない。

昔の戦爭は數である程度の戦況が決まったらしい。

今は能力者の個人的な強さにより戦況が決まる。だからA級はすぐに戦場に送られる。

「あなたがどうしようとも構わない。今更言うのも…… だけど時には引くことも肝心よ あなたには無」

真剣な顔は、無謀に立ち向かうとする戦士を見るような目で見ていた。

この言葉でどれほどの重みか――。それでも、それでも。

「俺はやるよ…… 心配してくれてありがとう」

の顔を見ると、できるだけの笑顔を向ける。そして俺は席を立った。

無謀と言う彼に背を向けて。

「なんでいつもそんなに距離を取るの!?」彼の放ったそんな言葉さえ、今の俺には伝わらなかった。

闘技館に向けて歩いていた。

いつものような足取り、完璧とも言えるの調子、機械の腕、足、視覚、嗅覚、聴覚、その全てがいつも通り。

唾を飲み込むといつものように胃の方へと送られていく音が聞こえる。

全てが何も変わらなく、特に不調もない。

意識も変わらない、ってくる報を全て処理するこの脳も。

出場者の待合室まできた。勝つためにと仕上げてきたこのも鮮明なほど普通。

何も考えることもなく椅子に座り、黙想を始める。

余計なことを考えないほど、思考も安定しているのを実する。

「佐部佑準備を」

待っていた係である矢吹の言葉。靜まり返った待合室は彼の言葉だけが響いた。

「やってやろうじゃあねえか!! 無謀ってやつを負かしにッ!!」

無謀? こちらはそんなの鼻からわかってんだよ!!

引け? 誰が引くんだよ。

前線無敗? だからどうしたんだよ。

S級? 何だそれは!?

俺は勝つんだよ全てをかけて、命をかけてぇッ!!!

やつを倒すという前のめりになった意識とを抑えつつ闘技場へとる。

周りの観客席は、卍城王也戦の時よりも人數が多くなっていた。

誰もがヤツを応援しているんだろう。俺には支えてくれた剣先生、舞、夕がいる。

絶対に彼らの前で負けたりなんかしねえよ。こちとらパワーがな、無限大なんだよッ!!

用意された白線まで俺は歩く。張もなく、ただ真っ直ぐに正面を見據えて待つ。

前の扉が開いた。左右同時にに開いたその扉、中央にいた大柄の男に會場のライトがる。

ずっしりとした丸鉄のような格は、全てを威圧するように気配を漂わせていた。

戦車いや、鉄の城をイメージするような巨に扉はその男にとって紙のように見える。

男は歩いた。地を躙するが如く剛腳は、地にいるものすべてを踏み潰しそうである。

たまらない、見るだけでも彼がどれほどの手練かということが分かる。

ヤツを倒すんだ。そして俺がやれるということを分からせてやる。

彼を睨みながらそう心のなかで唱えた。

ヤツを倒さない限り、俺は憧れのあの人にはなれない。絶対になるんだよ、あの人のように。

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