《最弱能力者の英雄譚 ~二丁拳銃使いのFランカー~》30話
”あそこ”でもそれなりに勉強をしていた俺は、特に何をするわけでもなく、ただ普通の生徒と同じように勉強をこなして、一日を過ごした。別に一日の半分以上をずっと座っているというのもなかなか新鮮ではあるが、いかんせんがなまってしまうかと、最初のころは心配になったが、今となってはなんとも思わなくなっていた。
  その日の學校は終わった。俺とマイは家へと帰るべく、學校から抜けて駐車場までの通學路に行こうと歩いていた。
  年相応で普通の高校生活というものは、勉強が大半を占めているらしい、なんせ彼らはちょうど験のシーズンであるからだ。俺は験と言うものをあまり詳しくは知らないが、これらが今後の人生に大きく影響されるとマイは言っていた。マイは元から頭が良かったらしく、験する必要もなく財閥のお嬢様というだけで推薦が來ていると言っていた。彼もこれが最後の年の高校生活ということになるらしい。となると俺は彼と共に歩まなければならないため、同じ大學に行く必要があるな。剣先生にでも裏口で學させてくれるように言う必要があるんだろう。
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  ここまで普通の生活というもに馴染んでいると、心がこっち側に吸い込まれてしまいそうな気がしてならない。いざというとに俺という人間は、けなくなってしまうんだろうか。いまこうして、マイと渡り廊下を歩いているその瞬間に、連中が攻めてくるとなると焦る気持ちがわずかながらにあった。
  それを見かねたマイは、俺に気を使っているのかいつものように話しかけた。
「タスクぅ、今日はさ味しい食べを食べに行こうよ」
「あ…… そうだな。味しいものだなだな」
暗い気持ちを取り払って、彼の話を聞くことにした。
「うん、バス停前で新しいお店ができたんだよ。そこのパフェがなかなかに味しいんだって」
ここはテレビで出るような東京のような都會ではなく、移手段はバスが大方である。電車も地下鉄があるわけでもない。それはここが離島であるからだ。しかし都市としてのまあまあな設備はあるので、娯楽と言うものに飢えるということはあまりない。
  気付くと駐車場エリアまで彼と歩いていた。
「ところでパフェってなんだ?」
「焼いた生地をくるって巻いて、その中にクリームや果をれるあれだよ!」
「なんだか恵方巻みたいだな」
「え、恵方巻じゃないよー!」
「わかった、軍艦巻きだな!」
「お壽司ネタから離れてー!」
「マイが今履いているやつだな!」
「それはパンツ! ここまでくると一文字しか合ってない!」
こんなじで彼と喋りながらポツポツと歩いて通學用の車両に著いた。そして彼を後ろの座席に座らせるために、後方のドアを開けた。
「マイ、どうぞ」
「パフェ絶対行こうね、私楽しみだよ」
「分かったわかった」そう言って俺は彼が車に乗ったのを確認すると、ドアをゆっくりと占めた。
そして俺も、運転席へとると、彼が乗っているかバックミラーで確認して、そして車のエンジンをれる。どうやらこの車両には特殊コーティングが施されているらしい。アメリカの大統領が乗るようなガッチガチの裝甲ではなくとも、それなりに頑丈に作られていると運転しているとわかる。
 
 マイのお父さんは、どれほど用心深いのかその一端を見た。そしてエンジンを付けて、サイドブレーキをあげて車をバックさせて、止めていた車両から抜け出した。
  そして、県道前の歩道で止まり、左右を確認していると、マイがこちらへと話しかけてきた。
「そういえばさー。きょう、マイ宛にってラブレター貰ったの」
「へ? 誰から?」
あまりに驚いてしまった俺は、歩道からはみ出る前にしだけブレーキを押してしまった。持ち直せる
ほどの弱いブレーキだったため、マイに驚いてしまっっているとはづかれてはいない。思わず後方確認用のミラーで彼の顔を確認した。
「なんだか字がさ、昔の字みたに筆記で書かれているの」
「変ないたずらだな、しかしまあラブレターではないんだろ?」
「えへへ、うん」
「……ちょっと驚いてしまったよ」
「たしかにちょっと揺してたよね」
彼は、後ろの席からを乗り上げるように俺の顔へと近づいてきた。
「し、してねえよ」
ばれてたのかよ。彼は俺の顔を見てしだけニヤリとしていた。
  無理矢理話を変えるように、彼にその手紙のことをもうしだけ詳しく聞いてみた。
「昔の字って、どれくらいの昔の字なんだよ?」
「うーんと、たぶん江戸時代くらい?」
中立ちで乗り上げた狀態から、彼は座る位置に戻り、首をかしげながら、そんなことを呟いた。
「だいたいの容はわかったんだけど、えっとねえ……」
カバンからその手紙と言うものを広げて、彼は手元で広げていた。
やっぱり頭がいい彼は、そんな俺が見ても記號の文字としか認識できないものを、大まかに理解することができるのか……
「『おまえを、偽。世界から、つれだす絶対』だって」
お前は何を言っているのかとそんな拾い畫で見つけてきた想が浮かびつつ、道路わきに車を止めて、彼の顔を背中から振り返るようにして確認した。そしてそのふざけた紙を俺も見てみたいという好奇心が芽生えた。
「ちょっと騒だな…… 俺にも見せてくれないか」
「うんいいよ。べつにマイはタスク一人だけだから安心してね」
彼は、そんなことを付け加えて、俺へとその手紙というものを渡した。
  それはなんというか、時代錯誤という言葉がぴったりとはまっているような、そんな何百年も前の手紙であるかのようだった。紙が古いというわけではなく、自は比較的最近になって作られたような代である。しかしそのありようがどうも古臭くじたのだ。そして何よりも、やはり好奇心が、何が書いてあるのかと、この目で見たくもなった。この自の目で。
  容、というものは俺にはまったくとわからないものであった。しかしなにか執著心のようなものが文字からその、蛇のような文字からじ取れた。まるで摑みたいものを摑むためにと、いまにでも、”それ”を摑もうとしている。そんな恐怖にも似た、執著。
  たしかにこれを、け取ったのは、俺個人による好奇心というものであったが、しかし、この中を見ると、嫌な予と言うものが俺の中で渦巻いてきた。まるで何かが、大きな何かが始まってしまうかのような、そんな予だ。
そんな予を振り払おうと、彼にこの巻のようなものを、もしかすると、大事があるかもしれないと、そんな危機をじて、俺の方で貰っておくべきである。
  然るべきところで、それは俺がいた”あの人”に相談するべきである。
「マイ、これは俺が預かっててもいいか?」
「いいよー、それよりパフェ! パフェ!」
「よし、じゃあ行きましょうか」
嫌な予、いいやこれは不安か…… それを彼は見事に振り払うかのような、無邪気な姿で笑顔で振る舞いで俺を元気にさせた。そんな彼のために、それなりの謝がある俺は車を再度発進させた。
  あとでこの巻のようなものは、本部へ、”あの人”へ送る必要があると、これからの絶対忘れてはいけない頭の領域に報をしまっておいた。
そして車は、バス停前の小さな出店へと到著した。店の橫にある座敷スペース後ろに車を止めて、マイと共に、店前へ。
  二人でメニューを考えて、店番をしているお姉さんが、早速生地を焼き始めた。巧みな機材の使い方をマイは興味があるように見ていた。生地の焼ける匂いが、ここら一帯に広がって、いいじに小腹が、空いていたところだったとお腹をっていたらいつの間にか二人分のパフェと言うものができていた。てきとうにドリンクも頼んで座席エリアで二人して座る。こういうものにあまり知識が無い俺は、彼が食べるようにして上からかぶりついた。
「どう?」
「……これ味いわ」
  もぐもぐと口を忙しくさせながら想を聞いてくる。まあまあ味しかった。マイも満足できたようで、來て良かったなと、彼のほっぺについているクリームを見てそんな想が生まれる。
  持っていた彼用のハンカチでお口を拭いてあげる。
「もう、マイは子供じゃないよ!」
「まったく、くぁわいいなマイは」
ぷーと彼はそんな顔になるも、パフェを一口食べて、たちまち、その顔は笑顔満天になった。彼が幸せそうでなによりであった。
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