《最弱能力者の英雄譚 ~二丁拳銃使いのFランカー~》48話
2か月前。
僕の前に一つ風がなびいた。
髪は、しだけ舞い上がり、そして、いつもの定位置に戻るようにして収まる。
森のように、コンクリートのビルたちが競い合うようにして、生えているこの中心街。
僕たちは、目の前の作戦に著手した。
市街地であるが、あたりには靜寂が流れている。
しかし、耳には騒音が流れていた。
「ターミナルビル北口、BF07。すべての出り口の閉鎖を理的な手段で完遂させた」
エマは、調子がいいように、背びをするような聲をあげていた。
「またいつものように、人目に見られるようなことはするんじゃないぞ」
僕はエマに、咎めるように言った。
「あーいよ、リーダーさん」
エマは、はいはいと閉口した。
市街地カメラからの彼の映像が流れる。
やはりこいつはかなりの形だ。
イタリア人の父親と、母の香江子さんが日本人なので日本人のような顔立ちをしている。
見かすような二重の目でカメラ越しに俺を見ていた。なぜだか彼はこういうたぐいの直観ンはとても冴えている人間なんだよな。
黙って、まともにしていればそれなりの人なのにもかかわらずに、もったいない。
僕よりも10センチもでかい、180センチある長はいつ見てもよかった。
「こっちみんなよ」
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エマが僕にそんなことを言ってきた。
「自意識過剰だね。ついでにおケツもでかい」
「作戦が終わったらお前もついでに殺してやる」
トウマとミライがその會話を聞いて笑っていた。
「こちら、BF09。地下駐車場、総排気口前。換気システムを作戦と同時にシャットダウンできる狀態までに至りました」
ミライはいつでもいいとのことであった。
「了解、突用スモークグレネードを使った実演だ。くれぐれもヘマはしないでくれよ」
僕は、やさしくミライに言った。
カメラでミライの姿を捉えた。
彼は貯水の能力が扱える。
S’ESPと呼ばれるたぐいの人間だった。
數ない俺とミライだけが技者であり、俺が戦闘が行われる作戦で、前線へと出向くときは俺の代わりに指揮をしてもいる。
ドイツと、日本人の両親だと言っていた。
そのとおりに、目は青く、髪は赤が混じった金のショートカットであり、目は一重でありながら大きく開いている。
普段はジト目のようなじでありながら、それでも希を牛わないような強い力をじるひとみだ。
背は165センチ、重45キロと標準である。
エマよりも、おが大きかった。
格はそれなりにきついが。
「あったりまえじゃない! あまり私を見くびらないことね」
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通信が切れた。
そしてまた復活した。
「ファ〇クユー」
はいはいと、次の紹介に移った。
「ターミナルビル東口玄関対局、ソンホワ保険會社ビル屋上、BF11。ターゲットをスコープで捕捉」
一人の男の聲が流れた。
名前は、影鶴トウマ。超筋力系統の持ち主であり、その力の大半は、視力だけに使うことができる。
これにより、視力は、通常の人間の100倍。高速100キロでいている対象にも正確に撃をすることができる。
特に説明することがなかった。
「っておい、このトウマ様の説明をしねえってのかよ!! 俺は西暦1997年生まれ、歳はこの2015年で、17歳ということになる!! 何よりも、このトウマ様のトレードマークは、このニット帽である。大正義ウニクロ様からご購いただきました。いつもウニクロは用しています。ありがとうございます」
「ターゲットの映像を送ってくれるかい? トウマ」
トウマはそれなりにイケメンだけれど、中はとんでもない殘念なやつだった。
なによりも、腰抜けであった。
本人いわく、ヒットランの戦いが得意なんだと。
こいつ、走るのはとんでもなく遅いのにな。
50メートル、9秒臺だぞ。
いま時の小學生すら出すことができない記録だ。
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背も格もそれなりに良いのに、本當にこいつは……
「これでどうだ?」
トウマが、映像を送ってきた。
僕の目の前のPCに表示される。
しかし、送られてきた映像は、シーツを著た男の職員達の頑張っている姿であった。
このビルで企畫ものの、A〇Vが撮影されているのかと聞いてみたくなるくらいに、激しいものであった。
「めっちゃ発期の犬みたいに盛り合っている人間がいるぞ」
「どこだ!?」
トウマは食いつくように、僕の話題に乗ってきた。
「この作りからB棟、三番目の部屋だ」
「見えた!!」
トウマは、眼で確認したらしい。
「こりゃあやべえ」
僕は驚いている。
トウマもまた、腰を抜かしているようだった。
任務中であるにも関わらず思わず見ていた。
「でっけえアレだなあ、めっちゃらかそう」
トウマはそう言ってきた。たしかにくそ大きい。
「確かに、これは僕たちの同じチームでは味わえない大きさだな」
「ガラスにくっついてやがるよ。くぅああ、うらやましいぜえ」
「あの大きさは犯罪的だ」
「となりをとおりすぎたら、思わず三度見してしまうくらいだなぁ」
「これなら飯三倍は余裕だな」
飯とは回數のことであった。
余計な説明はいい。
「しっかし、A〇Ⅴの企畫ものかよぉ!?」
「それわかるわ」
トウマと僕が興味津々で見ていたところに、エマとミライが、怒鳴り散らしてきた。
「「いいからはじめるッ!!!!」」
耳が壊れそうだった。
「映像をターゲットのものにしてくれるか?」
「ちょっと待ってくれぇい、珍ポジを変える」
と、三秒後にやっとターゲットが映った。
「こちら目標を確認した。ターゲット、ミドラ製薬社長、歳は45歳。この若さで、社長の座に就き、よくいるコネクション形のうまい人間だ。彼は、1994年非合法な、スピイデイという麻薬を裏に部下に作製させ、世界中へと無數の人脈で、大金を不當に得ている。結婚はしていないとのことだった。男子の趣味があるらしい。トウマ、奴の相手をしてやったらどうだ?」
「あんまり俺をほめてくれぇるのはやめてくれ」
マジで照れている聲だった。
「トウマ、タスクはね、あなたのこと馬鹿にしてるのよ」
ミライは、あきれたように真実を言った。
「まったく……」
エマは、困り果てているようだった。
「だってタスクが俺のことをぉ、男子だってお」
彼にはすまいないが、頭もそこまでだった。
「とにかく、こんな仕事はDEA(Drug Enforcement Administration、アメリカ麻薬取締局)の仕事だが、こんにちは、我が國のDARPA、ペンタゴン支局の人間が、どれほどまでに、隊として使えるのかという判斷で、この作戦に配屬されることになった。多分だが、僕たちは監視されているぞ」
軽い冗談で、監視されていることを伝えてみた。
すると……
「マジで監視されているじゃねえか」
エマが、その一人を見つけたらしい。
「よし、というわけで、今日もできるだけミスはしないように、張り切っていくぞ」
僕は三人に、そう言って頭を抱えた。
狀況を整理して、僕たちは、作戦を実行した。
エマは、中央からの突破。
もちろんそれには、それなりの潛在捜査の力が必要となる。
エマは、できるかといえば、そこそこであったために、というよりか、このチームは、誰もがそんな用ではなかった。
変裝といえば、たしかに、エマはスーツを著ている。たぶんだけれど、大丈夫だ。
黒のスーツを著ていたために、のラインが協調されて、大抵の男は釘付けだろう。
エマを信じよう。
続いて、トウマの仕事は、正面突破をするエマの援護であった。
護衛の人間を長距離ライフルで狙撃すること、それがトウマの仕事だ。
作戦が行われる、ターミナルビルの向かいにある、ソンホワ保険會社ビル屋上で構えている。
長距離での撃は彼がチームで一番得意であるために、彼に起用することとなった。
腕はヤングサンクションズの中でも五番目なので、このさいは、こいつに頼る。
普段はダメダメであるが、しかしこことばかりに、活躍する存在が、彼でもあった。
いまだにマイクから荒い聲が聞こえるが……
「トウマ、いい加減に発を押さえろ。これは失敗ができない作戦だぞ」
僕は一言彼に言った。
次は、ミライだ。
彼には、ターゲットの階層には、防災システムが発されないように細工をしている。
それは、事が大事にならないよう、職員をあらかた移させて、エマがきやすい環境を作るためだ。
おまけに、すべてが終わって、容易にとんずらするときにも、このやり方は、案外使えるものだ。
學校など公共の施設などで試してみるといい。
その際の責任は一切背負うことはないが。
話を戻して、ミライは地下にあった空気洗浄裝置をいじらせて、排気口から煙が出るように、ありったけのスモークグレネードを用意させ、エマがすべてを終わらせた段階で、その罠を作させ、エマの後ろから迫ってくる敵を排除するという作戦だ。
狀況によって、僕も出撃する。
しかし相手は能力者ではなく、対人というわけでもあり、僕の出る幕は、それも、対Sランク強能力者がでるというわけでもなかった。
この市街地でのトリックスターズの報もない。
しかし、いくら相手が人間だとしても、警戒を怠るわけにもいかない。
どんな狀況でも、依然として構えて、敵を打たなければならなかった。
それが作戦を遂行する心構えであると、僕はヤングサンクションズという部隊として、あたりまえのことを決意する。
それから、僕はモニターをもう一つ用意して、クワトロモニターにし、近辺の報をできるだけ集めた。
なんとなくとも、警戒を怠るのは、この時ばかりは、どうしようもなく、してはいけないことと、僕はそう思ったからであった。
決して、危機が発しているとか、嫌な予がするとかそういうものではないと、僕は教えておく。
すべては萬全であった。
たとえ、國が僕たちを監視していてもやり遂げて、この部隊、そしてヤングサンクションズという組織にすこしでも貢獻できるなら……
「作戦開始だ」
自分への決意とともに、僕は各員に告げた。
エマは、張り切った様子で、ビルの中へとっていった。
僕もまた、スーツに著替えていたために、彼がヘマを踏んだなら、すぐにでも助けに向かうことはできる。
いやしかし、彼はそんなことはしないだろうという信頼があった。
だからといって要人に越したこともない。
トウマもまた、一息ついて、僕に通信をした。
「ターゲット依然変わらず、というよりも、見てわかるとおりに展ガラスで中は筒抜けだけどな」
僕は、トウマの一言に、肩の力が抜けた。
トウマののんきさが、今の張をしている僕の肩の力を下ろしたというだけでも、彼には恩がある。だからこそ謝を一言。
「おk。報提供ありがとう。ターゲットの観察を続けてくれ」
「らじゃ」
トウマは靜かになった。
「タスク」
ミライが俺に話しかけてきた。
「エマじゃなくても、私が直接行けばよかったんじゃない?」
作戦への、すこしだけの意見であった。
たしかに、話が得意なミライなので、そうかもしれないが。
「いいやここは、エマに任せてくれ。たしかにエマのぶっきらぼうな格じゃ、だめかもしれないが、一対大衆じゃあ、群を抜いて、超筋力をもっているエマのほうがいい」
「そうね、あなたの言う通りだわ」
ミライは、警報機のアクセスウォールを順調に突破したらしい。
「これで、警報機は、いつでもならせることができる。あとはあなたの指示しだいね」
「わかった、あとはエマを信じよう」
そう言って、僕とミライはエマの無事を祈った。
「もうしで、エマが作戦を終わらせるタイムリミットだ」
僕は、ターミナルビルの東口出口の大きなワゴン型の車の中にいた。
秒読みで進んでる機械のデスクトップを眺めながら、エマがくるであろう時間を、トウマとミライの両者に伝えた。
「エマだよりね」
ミライはつぶやく。
「まあな、こればっかりは」
どうしようもない、と僕はそういう。
「おっと。タスクよぉ、目標がき出したぞ」
トウマが、こちらに伝えてきた。
僕は、耳にあった通信機を押さえながら、地図があるインターフェースを見た。
トウマがカメラ作をしている映像へと切り替える。
「なんだって?」
まさかこちらの作戦が知られてしまったのかと、半ば疑心暗鬼になってしまった。
映像を見た。
一人の男が、社長椅子に座っている男の耳元で、ささやいているところだった。
そしてガラスが割れる。
「何がっ!! 何がどうしたんだ?」
僕はトウマに怒鳴りつけるように言った。
「わかんねえよぉ!! ハイエナか!?」
まだブツは押収しているわけではない。
別勢力の突は考えられない。
「まて、エマ…… かよぉ?」
「あれほど、念を言うように言ったんだぞ。さすがにそれは……」
僕は、黙り込むように言葉が小さくなっていることに気が付いた。
「何かがあったに違いないじゃない!! 煙幕を展開させたのちに、BF09、彼の援護に行くわ」
ミライが急かすように聲を荒げた。
「わかった、プランAから派生。プランDへと移行。通信を非回線に切り替えた。1分後にエマとも連絡が付くようにしている。各自通信は五分まで、作戦終了の後、市街地エリアBの887-22まで」
Bの887-22とは図書館で待ちあうことだ。
「らじゃ、おまいら死ぬんじゃねぇぞぉ!!」
「おk、タスクあなたも來るのね」
トウマの回線が切れた後に、ミライが言ってきた。
「準備している」
僕は淡々と、武裝していた。
エマがしくる、というよりも、予想以上にいや事前に知らされた報以上に、警備は固いものだったのかもしれない。
このまま、エマを見捨てるわけにもいかない。
彼は、いまだに世間に存在が知られていないESPであるからだ。
ここで、ESPの組織の報…… ヤングサンクションズの報を敵に渡るのは、機関として、たまらないものだ。
それにここで見捨てるわけにもいかない。
彼は、エマは、僕の仲間であるからだ。
「念能力者を仲間に加えるべきだったと思うぜぇ」
トウマは、これから向かおうとしている僕にそんなことを言ってきた。
たしかに、どんなに高度で作っても傍される通信機は、意味がない。
あいにく、エマは事前に聞かされていない防力の集団を相手にしているのだ。
「何言ってるんだ。どこに行っても通じ合える念能力者なんて、どれほど価値があると思ってるんだ」
実際に、SSS級のミッションにしか出されないのが念能力者であった。
念能力はそのまま、相手に念を伝えることで、地球の裏側にいても、伝えることが可能だ。
「今どきのこのご時世によぉ、こんな作戦ならば、普通用意しておくもんだろうがよぉ」
トウマの言っていることは確かだった。
世界勢が不安定のなか、報は高値で取引される。だからこそ、どこもかしこも、上級層の人間は、まずセキリュティーの強化を始める。
當たり前のことだった。
「そんなことを言っていても、しょうがないものはしょうがない」
僕はそう伝えて、ピストルを組み立て、ピストルをスライドさせて、腰にあるサムホルダーの中へととれた。
銃の名はSIG SAUER P229。
通常のP228よりも軽量化が施されている。
両脇に二丁、両足の太ももにも二丁、そしてコ腰に一丁。
重火は僕の専門ではない。
あれほどまでの大型の代は僕のスタイルにあうものではなかった。
不死を生かして、敵陣に突っ込んでいくのが、僕のスタイルだったからだ。
あんな重たいものを扱うのは中距離と、遠距離だけでいい。
初めのころは、そんなおもちゃで戦うのはアホだとエマに言われたな。
あながち彼の言い分は、彼が扱うのなら間違いではない。
しかし僕には、これが最適解であったのだ。
「縦と」
自車の縦を自に切り替えて、作戦が終わりいづれ集合する、Bの887-22、図書館へとAIの自縦を使った。
ここに置いておくのは、付屬警備に目をつけられてしまう。
だから移させるのだ。
三十秒後に、自運転に切り替わるとのことだった。
「よしじゃあ暴れてきますかね」
と、僕が東口出口で人が大量に出てきているところであった。
人々は口にマスクをしていて、火事が本當にあるかのような迫真な表で建から逃げ出していた。
「昔ながらの敵陣をハッキングしたあとに、乗り込むのが私は好きだったのよね」
左から道路を歩いてくるのはミライであった。
彼は大きなローブにを包んで、まるで妊婦のような変裝をしている。
「仕方ないだろう、日々セキュリティーはインフレーションを起こしているんだから。簡単に跡が殘ってしまうよ」
ミライにわかりきったことを言った。
「そうよね、まあ、あなたの妻を助けに行きますか」
「そうだな、ってまだエマとは結婚してないよ」
突っ込むようにミライに言った。
「タスク、おめえエマと結婚してたのかよぉ!! なんでそれを早く俺に、このトウマ様に言わなかったんだぁ!!」
トウマが、こちらのジョークにマジで返してきた。
「まだ結婚なんて歳じゃない。それよりもさっきからお前からの報がないんだけど、きはないのか?」
トウマに諭すようにいった。
ミライと僕は人がだんだんとなくなっている人ごみのなかを進んでいった。
「ないぜえ、まるで人がいなくなったように靜かになったんだよ」
トウマがそういった。
付のが、僕に戻るように指示をしているが、僕は構わず進んでいく。
「ん? ターゲットは?」
僕はトウマにそう聞いた。
「いまだのんきにしている。あ、まて! いま側近の一人が、ターゲットに話している」
トウマの実況が聞こえてきた。
「ズーム、視訳するぜぇ」
トウマが、ターゲットの話を見ていた。
そして視覚からの報で、こう言った。
「今、ヘリが屋上に到著する!!」
衝撃が走った。
ターゲットはヘリで逃げ出すのか!!
エマはエマはどうなったんだ!?
「エマはどうなったんだ!!」
通信ができるこの狀況下で、エマの聲がオープン回線になった僕たちの通信から聞こえない。
気づけば怒鳴っていた。ミライと僕はエレベーターの前に立っている。
その通信を聞いていたミライは、深刻な顔つきで僕のほうを見て、エレベータのボタンを押した。
「知らねえ! こっちからじゃ、ターゲットしかわかんねえんだよ!!」
これもまた、冷靜になればすぐにわかるようなことをトウマは言っていた。
僕がどれほどまでに、余裕がなくなっているのかわかった。
まさか…… エマがやられるのか?
エレベーターに乗ったのちに、後ろのドアに僕はこぶしをぶつけた。
「なわけあるか!!」
ミライは僕を見てただ黙っていた。
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