《不用なし方》第5話
「ま、勝手に勘違いしてわざとぶつかってケンカ売るようなと付き合いたい男もいないだろうけど」
花の言葉に二人が赤面する。
「栗林さん、岸さん、ここは空気が良くないみたいだから他の場所に移しようか」
「そうだね」
佳山の言葉に笑顔で答えた花が、亜の腕を摑んで口へと歩き出したとき、賑やかな集団がラウンジにってきた。その中心には優希がいる。
亜の手が大きく震えたことに気付いた花が、優希の姿を発見して睨み付け、佳山も優希の前で足を止め、わざとらしく溜め息を吐いた。
「……松澤、きみの友関係に口を出すつもりはなかったけど、多は考えた方がいいと思うよ」
「かなり余計なお世話だな」
「僕もそう思うけど……栗林さんが巻き込まれるとなれば看過できない」
「え……?」
亜の名を聞いて優希が眉間に皺を寄せる。
「そこの二人……栗林さんにわざとぶつかって絡んできたよ。きみと栗林さん、付き合ってたっていう噂があったみたいだけど、違うならきちんと否定すべきだったんじゃないかな?」
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優希の怒りを含んだ視線が二人に向けられる。途端に、たちの顔が変わった。言葉はなくても殺意に似たを察知したのだろう。
「優希、私たちは別に……っ」
「噂ごときでなに暴走してんの? すっげぇ迷なんだけど」
優希の言葉に二人が口許を震わせる。
彼が激怒しているのは誰の眼にも明らかで、ラウンジ全が張に包まれる。優希は攜帯電話を取り出し、顔面蒼白の二人の連絡先を目の前でブロックしてその畫面を彼たちに向けた。
「サヨナラ」
のない聲で告げ、攜帯電話をポケットに突っ込むと、優希はなにもなかったかのように二人の橫を通り過ぎる。一緒にいた友人たちも戸いながら彼に付いていく。
特等席ともいえるいつもの席に腰を下ろした優希は、ラウンジから三人の姿が消えていることに気付いて、傍にあった椅子を力任せに蹴飛ばした。
現在の友人たちは全員大學にってから知り合った連中なので、亜を知る者はいないはずだった。しかし、高校時代の同級生が多く通っているせいでなんらかの噂を耳にした可能もある。こうなると分かっていたら佳山に言われるまでもなく否定していた。
子に纏わり付かれるのが鬱陶しくて、亜に肯定も否定もするなと言ったことを今になって後悔する。
しかし、否定しなかったのにはもうひとつ理由があった。亜に好意を抱いている男子を遠ざけたかったのだ。勿論ただの我儘である。
大學にってからも、下心を持って亜に近付く輩をこっそりと排除してきた。
つまらないことに巻き込むつもりはなかった。だから、大學では関わらないようにしてきたというのに……自分の行は無駄でしかなかったのだろうか?
  関係を裝っている以上、優希が亜を助けるわけにはいかない。相當不本意だし、心底悔しいので、禮を言う気は頭ないけれど、佳山の存在を初めてありがたく思ってしまったのは痛恨の事実である。
先程の二人が優希に対してを抱いていることには気付いていた。しかし、本気で想いを寄せてくる……それも友人同士がライバルという面倒臭い関係の二人に手を出そうなどとは思うはずもない。面倒なことになるのは明らかなのだから、気付かないフリをするのが最良の選択だったはずだ。
とはいえ、亜にに絡んだことを許すつもりはない。
優希は友人たちに、自分は今後一切二人と流を持つつもりはないと告げた。友人たちが今まで通り二人と付き合っていくのは自由だけれど、その場に自分を呼ばないようにとだけ付け加えた。
優希の怒りが相當だったことを語るように、騒ぎの翌日から彼のいる集団の中に、二人の姿を見ることはなかった。
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