「優希くんっ」

いが公園でサッカーボールを蹴っている年に駆け寄っていく。

「亜」

年はの姿を見つけると満面の笑みを浮かべて足を止めた。

稚園時代の亜と優希である。

男友達と遊んでいても、亜がやってくると優希は嫌な顔をすることなくいつだって相手をしてくれたし、自分の弟や友達の弟がやってきてもの中にれてあげていた。そんな優しい男子集団と一緒に外を駆け回っていた稚園時代の亜は、この頃のどの寫真も男子に囲まれている。同と寫っているのは集合寫真くらいだ。

小學校にってからもサッカーやドッジボールに混ぜてもらって男子と一緒に校庭を走り回っていた。

運會での走りを見て才能があるとじた教師に勧され、陸上を始めた優希のタイムを計ったり、晴れた日の早朝に優希と彼の弟と彼らの父とともに四人でランニングをしたり……それは二人にとって特別なことではなかった。

しかし、高學年になると徐々に男子は男子としか遊ばなくなって、気が付けば亜はクラスで孤立していた。同の友達がいなかったためである。

聲を掛けるのは難しくない。しかし、話題が合わない。日焼けを気にして外で遊ばない子が多く、連続ドラマや子向けのアニメに興味も知識もない亜は完全に聞き役だった。

話に付いていけないせいで、同じ方向に帰る子に一緒に帰ろうと聲を掛けることができなくて、いつも一人で帰路に就く。

そんなとき聲を掛けてきてくれたのも、クラスが分かれてしまった優希だった。

「亜、一人？ 一緒に帰ろうよ」

 満面の笑みを向けられて、亜の目から大粒の涙が零れ落ちる。

「え……ちょ……なんで泣くの？！」

慌てる優希に亜は泣きながら微笑んだ。

「嬉しい……聲を掛けてもらえて……」

亜は優希と並んで歩きながら、溜め込んでいた思いをしずつ吐き出した。

「男子とか子とか……面倒臭いよな」

「……うん。私は外で遊びたいけど、他の子は日焼けするから絶対に嫌だって言うし……最近じゃ男子も子と遊ぶのは嫌だって言うから仲間にもれない……」

「じゃあ……また一緒に走ろうよ。亜だって毎年リレー選手に選ばれるくらい足が速いんだから俺の練習に付き合うの余裕じゃん」

優希のいはとても嬉しかった。登校する前の短い時間ではあったけれど、優希と二人で早朝ジョギングをするのが楽しみになった。

ランニングコースのある近所の総合公園では休日に地元のジュニアサッカークラブが練習をしていて、その中にいる同級生がからかってきたりもしたけれど、、亜と真剣勝負をして慘敗した男子は徐々に差別的な言葉や冷やかしの言葉を口にしなくなっていった。