《不用なし方》第18話
折りって相談があると言ってきた亜を花はカラオケへとった。勿論歌うためではない。防音設備が整っていて邪魔がらないと思ったからだ。
「で? どうしたの?」
個室にってからもなかなか口を開かない亜を、花は気遣わしげに見つめる。
「花ちゃん……これ見てくれる?」
亜は覚悟を決めたように息を吐き出して、バッグの中から取り出したものをテーブルの上に置いた。病院の診察券と薬だ。
「病院? これ、なんの薬?」
テーブルの上のものを手にとって花が首を傾げる。
彼にも過去の自分はなにも話していなかったのだとその様子を見て思う。
誰にも言わずに、どうしてこれを処方してもらうようになったのか、今の自分には分からない。
ネット検索すればある程度のことは知ることができる。けれど、亜にはその勇気がなかった。記憶が欠如した狀態で更なる疑問を持ちたくなくて目を背けただけかもしれない。
「……二年くらいもらってたみたい」
親には話せない。男に話せる容でもない。そうなると話せる相手は一人しかいなかった。
亜の話を聞いた途端に花の顔が険しくなる。
「なんで……こんなもの処方してもらってたのよ?」
「お母さんには生理痛が酷いって話してたみたい。……だけど」
亜が生理痛で苦しんでいる姿を花は見たことがない。ということは、彼が親に噓を吐いていたということだ。
花の表の変化を見て亜は確信する。なにも知らなかったとはいえ、彼には心當たりがあるのだと……。
「これ、預かってもいい?」
花は診察券と薬を見せるように持ち上げた。
「あ、うん」
 頷いた亜だったけれど、彼の怒りを含んだような瞳が気になった。花に話してよかったのかしだけ不安になる。 
「花ちゃ……」
「大丈夫、危ないことするわけじゃないから」
 亜は、危険なことはしないという花の言葉を信じるしかなかった。
そして、翌日。
花はある人を探してキャンパスを歩き回っていた。
用がないときは目の前に現れるくせに、探しているときはその姿を見つけられない。トコトン気にらないヤツだ。
「ねぇ、優希ぃ今日遊ぼ? 最近、付き合い悪すぎぃ」
「そういう気分じゃねぇんだよ」
ようやく探している人を発見した花は周囲の目を気にすることもなく近付いていった。
「……珍しいやつがきたな」
花の姿を見つけた優希が小さく嗤う。
「え? なに?」
「ちょっと顔貸して」
優希の目の前で腕を組んで仁王立ちする花に、傍にいたたちが不愉快そうな顔を向ける。
「隨分、気のないおいだな」
「私だって用がなきゃ近付かないよ。分かってるでしょ?」
「……悪いな、この怖い人と話してくるわ」
優希はたちのいを斷って立ち上がった。
「真面目な話だから邪魔のらない場所で話がしたいんだけど、そういう場所ってあんたの方が詳しいでしょ」
顔を見ることもなくラウンジを出た花は歩く速度を落として優希に先を譲った。優希は返事をすることもなく花を追い抜いて歩いていく。
建から出た優希は慣れた足取りで進んでいく。徐々に通りすぎる人の數が減ってきた。
高校時代の素行不良っぷりを知っているので、優希と二人きりの狀態に不安を抱かないといえば噓になる。
しかし、目の前を歩く男が執著しているのは昔からずっと亜ただ一人であることも花は知っていた。 
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