《不用なし方》第21話
花の怒鳴り聲を背中で聞きながら亜の許を離れた優希は醫務室の前で足を止めた。
ノックもせずに扉を開けると、中で書きをしていたがふと顔を上げる。
非常勤醫師の大沼 未知おおぬま みちだ。
「あら、いらっしゃい」
「ベッド空いてんだろ」
返事を聞くこともなく白いカーテンを開けて中のベッドに橫たわる。
「顔悪いじゃない、また寢てないの?」
「あぁ」
優希は傍にやってきた大沼に背を向けるように寢返りを打った。
「ホント、デリケートよね」
「うっせぇ」
「あら、頭にこんなもの付けて……なにをしてきたのかしら?」
大沼は優希の髪にれるとオレンジの小さな花を摘まみ取った。
「クセェからさっさと捨てろよ」
「その頬はどうしたの?」
「にやられた」
噓ではない。
「ったく……あんた、いつか後ろから刺されるわよ」
「俺がやられるのは自業自得だろ」
「そこで開き直らないでくれる?」
「俺に返ってくるならいいんだよ」
憎しみが亜に向かった結果があの事故だった。
突き飛ばされるべきだったのは自分のはずなのに……。
優希の中で亜に謝らなければいけないことばかりが増えていく。
「さっき……走ってたわね」
「……」
「あんたが走る理由なんて考えるまでもないか」
「……寢かせろよ」
「添い寢は必要?」
「死ね」
大沼は優希が高校時代に怪我をした際の擔當醫師だった。出産を機に病院を辭め、非常勤醫師として大學にやってきたのである。
優希は學直後の再會に驚きはしたけれど、同時に醫務室に顔を出しやすくなったという安心を抱いた。
優希の院中、亜が見舞いにきていたことを大沼は知っている。
しかし、優希の生活が荒れていくと同時に彼の姿を見ることも減っていった。
久しぶりに二人の姿を見て眼を細めたのは學式翌日だっただろうか。
「記憶がない方が……アイツは幸せなのか?」
自分のしてきたことを考えると、記憶が戻らないままの方が幸せになれるような気もする。
大沼は白のポケットに両手を突っ込んで天井を見上げた。
「幸せかどうかは分からないけど……彼は思い出したいらしいわよ?」
事故から四ヶ月が経とうとしていた。
事故後、記憶が欠如している不安から、亜はたまに醫務室へとやって來て不安を口にしている。
優希の院時から大沼を知っていた亜だけれど、復學後に現れた彼は大沼に自己紹介をした。それは、大沼もまた彼の記憶に殘っていない人の一人だということだ。彼に合わせて初対面を裝ったけれど、ショックをけたのは言うまでもない。
彼の現狀を知りたくて、記憶のない不安は溜め込むよりも吐き出しなさいと醫務室へったのは大沼だ。
 「アルバム類は全部隠されてるらしいわよ。見つからないとか言ってるみたいだけど、明らかに噓だわ。彼も噓だって分かってるけど、これ以上心配させたくないからなにも言えない、って」
亜から聞いた話を、大沼はたまにやってくる優希に聞かせていた。プライバシーを守るべきなのは分かっているけれど、優希の神面を心配した大沼なりの配慮である。
「高校のときの、事故のことを思い出してほしくないんだろ」
「でしょうね」
掛け布団を握り締める優希を見下ろしながら、大沼はポケットの中の手をギュット握り締めた。
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