《不用なし方》第26話
フィールドでは陸上部員がいくつかのグループに分かれて練習をしていた。
その中で短距離走の選手と思われる人たちがスタート地點でスタンバイして合図を待っているのを見つけると、がトクンと小さな音を立てた。不快はない。むしろ懐かしささえじる心地よさだ。
陸上は好きだったと思う。自分自が走るのも好きだし、今現在こうして見學しているのも楽しいと思っているのだから嫌いなはずがない。
不安や焦りの中にいるからこそ、好きという気持ちや楽しいという気持ちは大事にしたいと思う。
花や佳山と過ごす時間も楽しいけれど、見えないなにかから守られているような気がして時々落ち著かなくなる。そんなときはこうして一人で歩いてみるのだ。一人になることに不安がないわけではない。けれど、一人のときでしか分からないこともあるのではないかと考えたのだ。
かじかむ手に息を吹き掛けてり合わせながら練習風景をただ眺める。陸上部員たちに視線を向けられることはないので邪魔にはなっていないと思う。
Advertisement
 記憶を失う前の私は、一なにをしていたのだろう? そんなことを考えていると足先が冷えて痛みをじ始めていた。腕時計を見れば三十分以上経過している。あっという間に思えた。
「こらっ、こんなところでなにしてんのっ」
急に背後から聲を掛けられて、亜のが大きく震える。
「まぁったく、いないから探しちゃったじゃない」
亜が振り返ると、呆れたような顔で花が立っていた。
「花ちゃん……」
「寒いからさっさと中にいくよ」
花は亜の腕を摑むと同時に彼の背後をチラリと見た。休憩している優希と視線がぶつかる。
攜帯電話を握った手が追い払うように小さく振られたのを見た花は、小さく頷いてからその場を離れた。
花が姿の見えない亜を探しているときに、優希からメッセージが屆いたのだ。"亜が陸上の練習を眺めてるけど、なにか言ったのか?"と。
優希が正式に陸上部に部したときに、花の方から連絡先の換を願い出ていた。
今でも信用できるとは思っていないし、許せない気持ちもある。けれど、なにかあったときのために連絡先を知っていれば困ることはない。備えあればなんとやらである。
花も佳山も……優希も、今の狀態でいいとは思っていない。三人は思い出したいという亜の意志を尊重したいと思っていた。
「花ちゃん、私……陸上やってた?」
花の背中に亜が問い掛ける。
「高校のときは一緒にクッキング部だったじゃん。中學校とか小學校の頃は知らないけど、なくとも高校では助っ人參加はしてなかったよ。まぁ、足はかなり速かったけど」
花と亜は高校にってからの友人なのでその言葉に噓はない。
花は建の中にってようやく歩く速度を緩めた。
「あぁ、暖かい……」
亜の腕から手を放して花が息を吐き出す。本當に寒かったらしく鼻の頭が赤くなっていた。
「花ちゃん……私、早く思い出したい」
「焦ってもいいことないよ。私もよく分からないけど……多分、辛いことは一つや二つじゃないだろうし」
「それでも……思い出したい」
「……そっか」
高校時代の優希の転落事故がすべての始まりであるだろうことは想像に難くない。
事故後に陸上をやめた優希が荒れて問題児と化し、亜を避けるようになった。その後、再び二人の距離がまったとじたのは高校三年生になってからだ。
本人から直接聞いたことはない。けれど、明らかに亜の表が変わったのだ。彼に暗い顔をさせるのも、笑顔にさせるのも……すべて松澤 優希絡みで間違いない。
亜が優希を特別に想っているのは一目瞭然だった。あの頃の彼の世界は彼を中心に回っていた。
花は諦めたように溜め息を吐いて、先ずは話を聞こうと不安と期待を抱きながら亜の話に耳を傾けた。 
とても人気ある生徒會長の姉は、ブラコン過ぎてヤバイ(暴走気味)
俺の義姉は生徒會長をしている。 容姿もよく、スポーツも勉強も出來るので全校生徒の憧れの的となっていた。だが、唯一とても殘念なところがあった。義姉がとてもブラコンなところだった。 「和樹ー!一緒の布団で寢ない?」 「ちょ!姉さん!わかった!分かったから抱きつかないで!」 6月21日 ジャンル別日間ランキング2位にランクインしました! 6月24日 ジャンル別週間ランキング4位にランクインしました! 7月27日に9話をかなり改変しました
8 162男女比1:599
頭が悪く進路がなかなか決まらない中學3年生の小坂 光。最後の最後に滑り込みで入學できた高校は今年度から男女共學になる元女子高。不安になりながら迎えた入學式當日。なんと今年度の男子合格者は光1人だった! 笑えて感動するちょっとありえない戀愛ストーリー。
8 57非リア充の俺がまともに戀なんてできるはずがないと思った
高2の吉井成彌 (なるみ)は、コミ障だ。 オタクで、休日になると家からほぼ出ない。 そんななるみは、早川千遙に告白される。 しかし……。
8 78病気の私に舞い降りた突然の戀 〜実録戀物語〜
吉田由奈26歳 うつ病持ちでドクターストップで働けない彼女の唯一の趣味、それは配信アプリで配信をして、ファンのリスナーと他愛もない話をして過ごす事、そんな彼女に突如現れたリスナーSEROと言うニックネームを持つ佐々木涼太20歳との出會いで彼女は涼太との出會いで少しずつ変わり始める実話を元に描かれた戀愛物語
8 188乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?
「イザベラ、お前との婚約を破棄する!」「はい?」悪役令嬢のイザベラは、婚約者のエドワード王子から婚約の破棄を言い渡されてしまった。男爵家令嬢のアリシアとの真実の愛に目覚めたという理由でだ。さらには義弟のフレッド、騎士見習いのカイン、氷魔法士のオスカーまでもがエドワード王子に同調し、イザベラを責める。そして正義感が暴走した彼らにより、イザベラは殺害されてしまった。「……はっ! ここは……」イザベラが次に目覚めたとき、彼女は七歳に若返っていた。そして、この世界が乙女ゲームだということに気づく。予知夢で見た十年後のバッドエンドを回避するため、七歳の彼女は動き出すのであった。
8 91戀した魔法少女~生まれ変わった魔法少女が、15年ぶりに仲間と再會する~
「あの時死んだ魔法使い、佐倉町子は私だよ!」 二〇世紀も殘り僅かとなった時代。 大魔女から力を授かり、魔法使いになった五人の少年少女が居た。 最初こそテレビのヒーローのように、敵を倒して意気揚々としていたが、楽しいことばかりは続かない。 ある日、魔法少女の一人・町子は、不可解な行動をする仲間を追って戦闘になり、この世を去る。その魂が蘇った15年後の世界で、彼女は仲間だった魔法使い達に再會して-ー。 仲間との年齢差・約16歳の、記憶と戀が求める未來は? ※過去に新人賞用で書いていたものです。以前カクヨムにアップしていました。 完結済み作品なので、毎日更新していけたらと思っています。 よろしくお願いします。
8 57