《不用なし方》第51話
「どうかしたの?」
「彼、頭が締め付けられるじがするって言ってるんですけど……ちょっとワケアリみたいなので心配で……」
主任が言葉を濁しながら伝えると、大沼は納得したように頷いた。
「あぁ、なるほど。今も続いてるじ?」
「……はい。あ、でも……さっきよりは弱くなった気がします」
大沼は様子をじっくりと観察しながらいくつかの質問をし、亜はそれに答えていく。
「急を要するような癥狀ではないと思うけど……もし不安なら薬を処方するわよ? どうする?」
「あ……いえ、そこまでは……大丈夫です」
鉢巻きで頭を締め付けたような圧迫がある程度で、年末のような耐えられない痛みではない。
「時間的に、もう終わりよね?」
すぐに立ち去ると思っていた大沼の言葉に亜が目を丸くする。
「はい、今最後のミーティングをしていたところなので」
「じゃあ……栗林さんをこちらで引き取っても大丈夫かしら?」
「はい、問題ありません」
「ありがと。じゃ、栗林さんは私と一緒にきて頂戴」
「え」
「こっちは大丈夫だから先生に従って」
「は……はい」
実習でお世話になっている亜に拒否権などあるはずもない。荷を纏めて大沼の許へと向かう。
「おつかれさま」
「おつかれさまです」
大沼と主任が挨拶をわして背を向ける。
「あ……あの、今日もありがとうございました。またご指導よろしくお願いします」
亜は主任やスタッフたちに頭を下げて大沼を追った。
「栗林さん」
子更室の前で足を止めた大沼が振り返る。
「はいっ」
「著替えが終わったら送るわ」
「えっ……いえ、そんな……」
大沼の言葉に慌てて手を橫に振るけれど、決定事項なのか彼は亜の言葉を聞く気がない。
「ここで待ってるから、著替えていらっしゃい」
更室の扉を開けて亜のを室に押し込む。
「あの、先生……っ」
「大丈夫、送るのはあなただけじゃないから」
亜は大沼の言葉に怪訝な顔をする。
「著替えて出てくれば分かるわ」
そう言って大沼は説明することなく更室の扉を閉めてしまった。
気を遣わせないための噓かもしれないと思いながら急いで著替えを済ませると、亜は荷を持って更室を出た。
「……あ」
更室の前に大沼以外の人が立っていることに気付いて小さな聲をらす。
「どうして……ここに?」
亜は大沼と一緒にいる人に問い掛けた。
「お前こそ、ここでなにしてんの?」
優希である。
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