《不用なし方》第53話
「……やっと寢たか」
亜の意識がなくなり、肩に重みをじた優希はようやくといったじで瞼を持ち上げた。
「別に寢たフリする必要はなかったと思うけど?」
「俺が起きてたらコイツ寢ないだろ」
優希は彼の背後から手を回し、支えるように亜の頭を抱き寄せた。久しぶりに嗅ぐ亜の香りは懐かしさをじるよりもが痛む。
「コイツ、合悪かったのか?」
「心配ないわ、あなたと一緒でいかにも寢不足な顔してるくらいよ。あなたも寢たら?」
「寢れたらな」
優希の呟きのような返事を聞いて、大沼は小さな溜め息をらした。
陸上を再び始めてからは多眠れるようになったとはいえ、ほとんどがなかったんだけど転寢程度の淺い眠りである。こんな狀態でよく走れるものだ、と思う。
「足の調子は?」
「まぁ……悪くはない。たまに裏がくなることはあるけど」
「ストレッチをしっかりやって、を無駄に冷やさないようにしなさい」
 「……今故障するわけにはいかないからな」
「インカレ……出るの?」
インカレとは、陸上の選手権大會のことだ。通常、関東インカレは五月、日本インカレは九月に開催される。文字通り、九月の日本インカレのほうが規模は大きい。
「四継には出るつもりでいる」
怪我をする前のタイムにはまだまだ及ばない。けれど、短距離では部二位のタイムを出せている。
「無理するんじゃないわよ」
「あぁ……怪我は、もうこりごりだ」
できることならば、亜に応援にきてくれと言いたい。彼の見ている前で表彰臺に立ちたい。
自分には彼を想う資格などないのかもしれない。特に、自分の想いはそう簡単に口にすることはできない。伝えるためには、それなりの覚悟と絶対條件がある。
先ず、想いを伝えるならば彼がすべてを思い出した後でなければならない。優希自の非道な行いをなかったことにはできないからだ。
思い出せば嫌われるのは間違いない。おそらく避けられるだろうし、逃げられるだろう。今のように話をすることも難しくなるかもしれない。
彼に対して行ったことの反が、彼の記憶が戻ってくると同時に優希に返ってくる。
優希が覚悟しなければいけないのはそれだ。
しかし……どれだけ自分が傷付き、心臓を抉られるほどの傷を負ったとしても、彼への想いが簡単には消えてくれないことも分かっていた。
稚園の園式で一目惚れしてからこっそりと育ててきた長い長い一方通行の想い。
亜を攫っていくのは……やはり佳山だろうか? 彼の一番近くにいる異はあの男だけだ。
優希はふと佳山と初めて言葉をわした日のことを思い出した。
あの日、佳山は言ったのだ"彼に際を申し込んでもいいか?"と。亜に対して特別なを抱いていることは間違いない。そして、彼も佳山を嫌ってはいない。
人同士になった二人を想像して勝手にを痛める自分に嗤う。
「どうかした?」
「……いや、なんでもない」
亜が記憶を取り戻さなければ、優希の時間は止まったままである。
どんな未來が訪れようとも、優希は甘んじてそれをけれるつもりだ。とはいえ、その覚悟はまだできていない。
「もうし……時間が必要だな」
「え?」
優希の呟きが聞き取れなくて大沼が問い返す。
「なんか、寢れそうな気がしてきた。もし寢てたら著いたときに起こしてくれ」
「了解」
亜の頭にキスを落として目を閉じると、懐かしい香りが優希を穏やかな夢の世界へとっていった。
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