《不用なし方》第64話
部屋に荷を置き、著替えを持って階段を下りるとリビングに母の姿を見つける。花が渡した三つのお土産のお菓子をテーブルに並べて何やら考え込んでいるようだった。
亜は邪魔をしないようにそっと浴室へと向かい、ゆっくりとを溫めて歯磨きも済ませて寢る準備萬端で出てきたのだけれど……リビングにいる母の姿勢は浴前とまったく変わっていない。
さすがに心配になって亜はリビングに足を踏みれた。
「お母さん、どうかしたの?」
  亜の聲に金縛りが解けたように母が勢いよく顔を上げる。
「あ……もう出たの? しっかり溫まった?」
「うん、いつもより長いくらいってたよ」
「……これ、選んだの亜でしょ?」
母がお土産を見ながら小さく笑った。
「そうだけど……なんで?」
母の笑みの理由が分からずに首を傾げると、母の手がお土産のは瑚を一つ一つでるようにった。
「覚えてるか分からないけど、亜ね……前にもここに行ったことがあるのよ」
「あ……」
「覚えてる?」
「……初めてじゃない気がしたのは、そのせいなのかな……って」
優希が中學校卒業前の行事で出掛けたと言っていたことを思い出す。花は高校からの友人なので彼から聞いたと言えば噓がバレてしまう。瞬時にそう思って、でも噓ではない言葉を咄嗟に紡げた自分に拍手を送りたい。
「お土産が、あのときと一緒でビックリしちゃったわ」
そんなに驚くようなことなのだろうか?
「お父さんが帰ってくるまで食べられないのが殘念ね」
「……そうだね」
泣きそうな顔で微笑む母に困しながら亜は一言だけ答えて部屋へと戻った。
バッグの中から攜帯電話を取り出してロックを解除する。
浴中もずっとどんなメッセージを送ろうかと考えていたけれど、結局はいい文言は思い浮かばなかった。
『今日はありがとうございました。とても楽しかったです』
起きたときにいなくて驚いたとか、ちゃんとお禮を言いたかったとか、々伝えたいことはあったけれど……長々と送るのは迷な気がして、簡単な言葉を打ち込んで紙飛行機のようなマークにれる。
すぐに既読が付いて可らしいキャラクターが親指を立てているスタンプが送られてきた。
それを見つめるだけで口許が綻んでしまう。
嬉しいような恥ずかしいような……なんだか落ち著かない変なじ。上手に説明できないけれど、不快ではなくて寧ろ心地よい。
亜はの奧がポカポカと溫かくなるのをじながらベッドに潛り込んだ。 
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