《不用なし方》第72話
「詳しいことって、くんに訊けば分かるかな? あ、佳山くんも陸上部の岡部さんと仲がいいから知ってるかも……」
考えていることがそのまま聲に出ている亜を見て母の表がし綻ぶ。
「口にするお友達の名前が増えたわね」
「え……あ……」
母の呟きに顔を上げると、視線がぶつかった。無意識に聲が出てしまっていたようだ。なんだか途端に落ち著かなくなって居心地が悪くなる。
しかし、気のせいかもしれないけれど……母の様子が今までとなにかしだけ違う気がした。悪い意味ではなくて、いい意味で。
「……優希くん、久しぶりの大會って言ってたから、みんなで応援にいってあげたら喜ぶんじゃないかしら」
「そう……なんだ……。じゃあ、明日くんに訊いてみるよ」
「くんも同じ大學にいるのよね」
「うん、佳山くんと仲が良くて、時々一緒にいるのを見掛けるよ。佳山くんって年齢も學部も関係なく遊関係が広いんだよ、すごいよねぇ」
四人で過ごすことが多いとは言わない方がいいだろうと思った亜は、佳山との仲がいいという事実だけを話した。
「そう……じゃあ、會って相談するのは難しくないのね」
「うん、佳山くん経由で連絡取れると思う。っていうか、そういう話をしたときに、お母さんにも応援にきてって言ってくれたんじゃないの?」
の連絡先を知っていることも話さない方がいいと思った亜は、他の話を振ることで追求から逃れることにした。
とはいえ、疑問に思ったのも確かだ。
母が応援にいきたいかどうかを訊いてきたのは、彼がってくれたからだと思ったのだ。よく知っているわけではないけれど、真面目で不用な彼が母に話をするのに母をわないはずがない。
案の定、母が一瞬顔を強張らせた。その表は亜の言葉を肯定したも同然だった。
「お母さんは……ただ、大會に出るって聞いただけよ」
彼は……どんな気持ちで母に大會の話をしたのだろう? 正月に顔を合わせたときはどちらの両親もなんだか余所余所しいじがした。特別に親しいということはないだろう。
われたはずの母がどうしてそれを否定するのか……二人の間に……家族と優希さんの家族との間になんだかの蟠りがあるということだろうか?
もしかしたら、欠けている記憶と関係があるのかもしれない。自分と無関係ではないような気がする。おそらく、きっと……自分の勘は外れていない。
気になってしまうけれど、母に尋ねたところで正直に答えてはもらえないだろう。
無駄だと分かっているので訊きはしないけれど……こうして母の口から彼の名が出てきたのだから、いい方向に向かっていると信じたい。
母の小さいようで大きな変化は優希によって齎されたと思っていいだろう。
彼にメッセージを送ってもいいだろうか? 母から話を聞いたと言えば、なにを話したのか教えてくれるかもしれない。
亜は不自然に顔を背けてリビングへとっていく母を見送りながら、優希にどんなメッセージを送ろうかと考えていた。
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