《不用なし方》第82話
病室を離れた優希は二十分ほどで戻ってきた。
それからはお手洗いにいく以外ずっと亜に付き添っている。
亜の母も同じ病室にいるけれど、壁際の簡易ベッドから二人を見つめているだけだ。
亜が病院に運び込まれて二日。彼はおそらく一睡もしていない。亜の母は娘だけでなく優希ののことも心配していた。
そして、彼の様子を見守りながら大きな罪悪に襲われていた。
亜が通事故で病院に運ばれたときの彼の様子が重なる。病室にくるなとと言われた彼が屋上で亜の無事を祈っている様子を目にしていた。亜が退院した後のことは知らないけれど、きっと今とそう変わらない。
そう思ってしまうほど…… 彼は眠らないことに慣れ過ぎていた。
スポーツをしている以上、薬に頼ることはしないだろう。スポーツに興味はないし詳しくもないけれど、以前有名選手が大會前に飲んだ風邪薬でドーピング検査に引っ掛かって失格になったというニュースを思い出した。
彼を安心させてあげられるのは……彼を眠らせてあげられるのは、おそらく亜だけなのだろう。
それなのに……と、亜の母は己の愚かさにシーツを握りしめた。
亜が病院に運び込まれて三日目の朝。
廊下が朝食の準備で賑やかになってきた頃、再び亜が目を覚ました。亜の母は自宅にいる夫と優希の実家に定期連絡をれるために部屋を出ていた。
「亜っ」
「……ゆ……き、くん?」
亜は不思議そうに優希を見上げている。
「合が悪いとか、どこか痛いとかないか?」
優希の不安げな顔に向かってそっと手をばす。頬にれるとその手に大きな手が重なった。
「優希くんの方が、合悪そう……」
「俺のことなんてどうだっていい、お前はどうなんだよ?」
「私……? なんか、凄くスッキリしてる……なんでだろう?」
優希はナースボタンに手をばし掛けて、寸前で手を引っ込めた。
「……優希、くん……って言ったか?」
「え? だって……優希くんは優希くんでしょ?」
  穏やかな顔で微笑む亜に違和を抱く。
「……記憶、戻ってるのか?」
「え? 記憶?」
亜は優希の言葉の意味が分からずに不思議そうな顔をしていたけれど……やがてその視線が落ち著きを失い彷徨い始めた。記憶が津波のように一気に押し寄せてくる。 
note+ノベルバ+アルファポリス+電子書籍でエッセイ、小説を収益化しつつ小説家を目指す日記
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