《お人形令嬢の私はヤンデレ義兄から逃げられない》10歳と12歳

「よろしくお願いしますレイモンドお義兄様」

と私がカーテシーをするとレイモンド・オルガ・カークフィールドとなったお義兄様はしだけ頭を下げて

「……よ、よよよよ」

と言った。そしてパッと口元に手を當て震えた。

ガタガタと恐れるかのように…。

お父様が優しく諫めた。

「レイモンド…怖がらなくていいよ?ここには君をめるものはもう何もないのだからね?」

と言うがレイモンド義兄様はその日は震えていたりこちらをチラチラと見たりばかりだった。

夕食に豪華なおを見てゴクリと唾を飲む音がした。

「さぁ、食べていいんだよ?」

とお父様が言うと私の方を見た。

え?

「…いただきますわ」

と言い私は綺麗な所作で口におを運ぶとそれを見てフォークを取りカタカタ震えながら頬張った。黙々と食べるお義兄様。一口食べフォークを置いて私達が次のものを食べるのを待っている。

「レイモンド…自由に好きな時に食べていいんだよ?私達を待たなくても…」

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とお父様が言うと怯えたようにふるふると首を振った。

よく見ると手に鞭で撃たれたような赤い痕があった。まさか前の伯爵家では食事さえ満足に出されなく自由に食べる事もできなかった!?

流石の私も同せずにはいられない。もっと打ち解けないとお義兄様は心を閉ざしたままになってしまうわ…。

「レイモンドお義兄さま…。明日一緒に遊びましょう!?この家に來たばかりだからいろいろ侯爵家を案してあげますわ!」

と言うとお義兄様はペコリと頭を下げた。

お父様は苦笑いしていた。

しかしその夜お義兄様の部屋から悲鳴みたいなのが聞こえた。どうしたのかと見に行った。侍従のジョルジュさんが困っていた。

「どうしたの?ジョルジュさん」

と聲をかけると

「あ、お嬢様…。レイモンド様が…お風呂にるのも著替えも一人ですると聞かなくて…」

「やだ!やだぁ!來ないで!來ないで!一人でやります!一人でやりますから!!お願いやだぁ!」

とこちらの聲が耳にらないかのようにおかしい。部屋の隅で蹲ってしまい涙を流して震えていた。

私はジョルジュさんに

「ジョルジュさん、きっと大人が怖いんだわ。私に任せて」

「でもお嬢様…大丈夫ですか?」

「大丈夫よ。さあ、下がって」

と言うとジョルジュさんは下がり著替えを私に渡した。

「お義兄様?大丈夫ですか?ここには悪い大人はいませんよ?お風呂にられたらいいですの」

と言うとお義兄様は

「いや…僕…ちが……一人でれる…らなきゃいけないんだ」

と言う。

「?どうして…」

「醜い傷があるんだ。見られたくない。ごめん」

と言うのでそう言うことかと思う。

「お義兄様…大丈夫です。傷の事はにしてあげましょう。もう痛くないですか?」

「…うん」

と言い、お義兄様は布をけ取り所とお風呂に一人で向かい、數分したら戻ってきた。早すぎる!

「お義兄様とても早いですわ!もっとゆっくりバスタブに浸かりました?それとも傷が痛むのですか?」

と聞くと首を振り

「バスタブにはらない。汚したら…怒られた」

とお義兄様は頭を抱えている。きっと前の伯爵家でそんな酷い事もされてたんだ。

私はお義兄様に近寄るとギュッと抱きしめ安心させるように

「怒る者なんてこの家にはいませんよ?大丈夫です」

と優しく言うとお義兄様が一瞬ビクッとして私の蒼の目と目があった。そしてなんだか赤くなる。

「……………はい…」

と言う。

「お義兄様…私に敬語はいいのですのよ?お義兄様の方が年上ではないですか」

と言うと…お義兄様は照れて

「……だって君…お人形みたいに綺麗なんだもの…」

と言われた。

「よく言われますわ。さあもうベッドで眠ってください」

とお義兄様のベッドを指差すと天蓋付きのベッドにお義兄様は震え

「……あんな…上等なベッドに一人でなんて…ぼ、僕怒られる」

「怒られません。あれはお義兄様のベッドですよ?好きに使っていいのですよ?」

と言う。前の伯爵家ではどんな部屋を與えられていたの?

その答えはすぐにわかる。

「僕…僕は屋裏でなくていいの?」

「えっ!?」

裏?噓でしょ?そんな所にお義兄様は暮らしていたの!?伯爵家…酷い!

「もうそんな所で暮らさなくていいんですよ。この部屋で好きに過ごして。あ、眠れないのですか?私のクマちゃんあげますわ!」

と持っていたクマの人形を渡してあげた。

「…いいの?」

もう12歳のお義兄様には子供っぽいだろうけどこの時のお義兄様はまるで子供のようだと思ったから私は快くそれをあげたのだ。

「ええもちろんどうぞ!お休みなさいお義兄様!また明日!」

と頰にお休みのキスをするとまたビクッとなり赤くなった。私は手を振り扉から出て待っていたジョルジュさんにもう大丈夫だと伝えたのだった。

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